1.任意処分とは
この条項は、継続的売買取引契約などにおいて、買主が、商品の引渡期日に商品を引き取らないなど、債務履行が発生した場合、売主の側で商品を任意に処分できる旨を規定したものです。損害が発生した場合には、これを買主に請求することができます。
買主が商品を引き取らない場合、商法の規定に従うと、供託や競売等の手間のかかる手続きが必要となります。(商法524条)
売主としては、このような場合に、契約で、任意に商品を処分できる規定を設けておくと便利です。
2.条項の書き方の例:
1)一般的な例:
「第○条 (任意処分)
乙が引渡期日に本件製品を引き取らないなどの契約の不履行が生じたときは、甲は乙に対し書面により相当期間を定めて催告したうえで、乙が履行しない場合には本件製品を任意に処分し、その代価をもって乙に対する損害賠償債権を含む一切の債権の弁済に充当することができ、不足額があるときは、更に乙に請求することができる。」
2)売主に有利にしたい場合:
上記の条項の例では、書面により相当期間を設け、催告を行うこととを任意処分の要件としています。 この要件を以下のように簡易にすれば売主に有利になります。
「第○条 (任意処分)
乙が引渡期日に本件製品を引き取らないなどの契約の不履行が生じたときは、甲は乙に対し書面により通知を行うことにより、本件製品を任意に処分し、その代価をもって乙に対する損害賠償債権を含む一切の債権の弁済に充当することができ、不足額があるときは、更に乙に請求することができる。」
3)買主に有利にしたい場合:
任意処分の条項は、売主保護の規定です。この条項を削除すれば、原則通り、商法の規定に従うことになるので、買主に有利となります。