hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafterの意味と例文

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英文契約書の基本表現のhereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafter を解説します。例文をとりあげ、対訳と語注をつけました。

1.解説

はじめに:

hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafter

は、堅苦しい言い回しで日常生活ではあまり使われません。

しかし、海外、特に英米圏から送られてくる英文契約書では当たり前のように使われています。

これらが分かるようになると英文契約書に親しみを感じるようになります。(ご自身でも使えるようになると翻訳式英語からの脱却です)

1)hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewithの構成

hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewithは、まず、hereの部分が、thisを意味します。

そして、this の対象が何を指すかによって、this agreement(本契約)とか this document(本文書、本書類)など、となります。

その対象が、this agreement(本契約)の場合、それぞれ to, of, in, by, under, with が接続される構成になっています。

したがって、hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewithは、それぞれ、以下のような意味となります。

2)hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewithの意味

・hereto は、to this agreement となり、これ(本契約)に、これ(本契約)のを意味します。(下記の例文①をご参照ください。)

・hereof は、 of this agreement となり、これ(本契約)のを意味します。 (下記の例文②をご参照ください。)

・herein は、in this agreement となり、 この(本契約)の中に、これ(本契約)にを意味します。 (下記の例文③をご参照ください。)

・hereby は、by this agreement となり、これ(本契約)によりを意味します。 (下記の例文④をご参照ください。)

・hereunder は、under this agreement となり、 これ(本契約)に従って、これ(本契約)に基づきを意味します。 (下記の例文⑤をご参照ください。)

・herewith は、with this agreement となり、 これ(本契約)により、これ(本契約)に従ってを意味します。 ( 下記の例文⑥をご参照ください。)

なお、hereinafterは、 hereinafter referred to as ~(以下、~という)の組み合わせで表現されます。 (文例⑦をご参照ください。)

3)here-系表現が契約書で多用される背景とその目的

hereto, hereof, herein といったhere-系の表現は、日常生活では馴染みが薄いものの、英文契約書では頻繁に登場します。

これは、契約書が「法的文書」として極めて高い精度と明確性を要求されるためです。

これらの表現は、主に以下の目的のために利用されます。

文書全体を明確にし対象範囲を限定する:

「this agreement」や「this document」といった具体的な名詞を繰り返し使う代わりに、here-系表現を用いることで、「この契約書(または文書)の中で」という対象範囲を簡潔かつ明確に示します。

これにより、「別の契約書」や「関連する他の文書」ではなく、まさに「この契約書」にのみ言及していることを明確にし、解釈の曖昧さを排除します。

これは、複数の契約書や付属文書が存在する複雑な取引において、特に重要となります。

冗長性を回避し簡潔にする:

「to this agreement」や「in this document」といったフレーズを繰り返すと、文章が冗長になり、読みにくくなります。

hereto や herein のような一語のhere-系表現を使うことで、契約書の記述をより簡潔にし、可読性を向上させます。

これは、特に条項数が多く、長文になりがちな英文契約書において、非常に有効な記述方法です。

法的安定性を確保する:

契約書は、将来の紛争発生時において、当事者の権利義務を明確に判断するための唯一の基準となります。

here-系表現を用いることで、「この契約書に定められていることのみが有効である」という法的安定性を強調し、後から「あの書類の内容も含まれるはずだ」といった主張を排除する役割を果たします。

これにより、契約当事者間の合意範囲が明確に固定され、紛争リスクが低減されます。

厳格な形式と伝統:

英文契約書は、長年の法的慣習と判例によって築き上げられた特定の表現形式を持っています。

here-系表現は、このような契約書の伝統的な形式の一部として定着しており、その使用は契約書の法的有効性や厳格さを示すものとしても認識されています。

 

これらのhere-系表現を理解し、適切に使いこなすことは、英文契約書を正確に読み解く上で不可欠であるだけでなく、自らの意図を法的に確実に表現し、将来の予期せぬ解釈の相違や紛争を回避するための重要なスキルとなります。

 

2.例文と基本表現 

(注):hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewithは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。

1)heretoの例文 ①:

This agreement constitutes the entire agreement between the parties hereto with respect to all the matters herein. 

(訳):

本契約は、本契約のすべての事項に関して本契約の両当事者間の完全な合意事項を構成する

(注):

*constitutesは、~を構成するという意味です。詳しくは、constituteの意味と例文をご覧ください。

*the partiesは、両当事者という意味です。

*with respect toは、~に関してという意味です。

2)hereofの例文 ②:

This Agreement embodies the entire understanding of the Parties as it relates to the subject matter hereof. 

(訳):

本契約は、本契約の対象事項に関連して、両当事者の完全な理解を具体化する

(注):

*embodiesは、~を具体化するという意味です。

*the subject matterは、対象事項、主題という意味です。詳しくは、subject matterの意味と例文をご覧ください。

3)hereinの例文 ③:

The company shall not be liable for any costs or expenses paid or incurred by Consultant in performing services for the company, unless specific exception is provided herein.

(訳):

当社は、本契約に特定の例外が規定されていない限り、当社に対しサービスを履行する際にコンサルタントが支払い、または負担する費用については、責任を負わないものとする。

(注):

liable forは、責任を負うという意味です。詳しくは、liable forの意味と例文をご覧ください。

*any costs or expensesは、費用という意味です。同義語を並べた強調表現です。

*is providedは、規定されるという意味です。

4)herebyの例文 ④ :

The company hereby disclaim all warranties express, implied or statutory including, without limitation, any warranty of merchantability or fitness for a particular use.

(訳):

当社は、本契約により商品適格性または特定の用途への適合性の保証を含むがこれらに限定されない明示的、黙示的、または法定のすべての保証を否認する。

(注):

*STATUTORYは、法令の、法定のという意味です。

*including, without limitationは、を含むがこれらに限定されないという意味です。詳しくは、including, but not limited to/including, without limitationの意味と例文をご覧ください。

*merchantabilityは、商品適格性(製品が意図する目的に適合し適格である)という意味です。詳しくは、implied warrantyとexpress warrantyの意味と例文の記事をご覧ください。

*fitness for a particular useは、特定の用途への適合性という意味です。詳しくは、fitness for a particular purpose(特定目的の適合性)の意味と例文をご覧ください。

5)hereunderの例文 ⑤ :

All of the obligations of the Guarantor hereunder shall be joint and several.

(訳):

本契約に基づき保証人のすべての義務は、連帯して負うものとする。

(注):

*be joint and severalは、連帯して負うという意味です。詳しくは、jointly and severallyの意味と例文をご覧ください。

6)herewithの例文 ⑥ :

The aggrieved party is entitled to elect to hold the party liable for breach of contract in accordance herewith, or hold the party liable for tort in accordance with any other relevant law.

(訳):

損害を受けた当事者は、本契約に従って、当事者に契約違反の責任を負わせるか、他の関連法に従って、当事者に不法行為の責任を負わせるかを選択する権利を有する。

(注):

*The aggrieved partyは、損害を受けた当事者という意味です。

is entitled toは、~する権利を有するという意味です。

*tortは、不法行為という意味です。詳しくは、tortの意味と例文をご覧ください

*in accordance withは、に従ってという意味です。

7)hereinafterの例文 ⑦ :

Client and the Developer shall hereinafter collectively be referred to as the “Parties” and individually as the “Party”.

(訳):

クライアントと開発者は、以下、総称して「両当事者」といい、個々に「当事者」という

(注):

*collectivelyは、総称してという意味です。詳しくは、collectivelyの意味と例文をご覧ください。

 

 

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