WITNESSETH, WHEREAS, NOW, THEREFORE, in consideration ofの解説

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英文契約書の基本表現である“WITNESSETH”, ”WHEREAS”, “NOW”, “THEREFORE”, “in consideration of”について解説します。併せて、例文をとりあげ対訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記を入れました。

1.解説:

1)WITNESSETH, WHEREAS, NOW, THEREFORE, in consideration ofとは?

“WITNESSETH”
”WHEREAS”
“NOW”
“THEREFORE”
“in consideration of”

は、通常、英文契約書の冒頭部分の、

契約の目的、背景経緯などを説明する

パートにおいて、これら五つの表現が一緒に使われます。(例文①をご覧ください)

以下、それぞれの表現についての説明です。

①WITNESSETH:

WITNESSETH” は、

(本契約は)以下の~を証する

と訳されます。

なお、”WITNESSETH“と同じような趣旨で記載される表現に

Recitals“(「前文・経過」)や、
Preamble“(「前文・経過」)

があります。 

従って、”WITNESSETH“は、

Recitals“または”Preamble“に置き換えて使用することもできます。

(ご参考):

WITNESSETH“、”Recitals“、”Preamble“については、

RecitalsとWITNESSETHとWhereas clauseの意味と例文

の記事でまとめて解説しています。

②WHEREAS:

WHEREAS“は、“as”と同じ意味です。

~なので

と訳されます。

③NOW, THEREFORE:

NOW, THEREFORE ~”は、

よって、ここに~

という意味になります。

④in consideration of:

in consideration of ~”は、

~を約因として

と訳されます。

ちなみに、”consideration”(「約因」)は、英米法に特有な表現で、これがない契約は拘束力がないとされています。

(ご参考):

in consideration of ~” は、全く別の用法となりますが、他に、

「~の対価として」

の意味で使われることもあります。(例文②をご覧ください)

(ご参考):

“WHEREAS”, “NOW”, “THEREFORE” は、

英文契約書の構成(structure of contract )

の記事の中で、英文契約書を構成するパートである “WHEREAS Clause” として解説しています。

2)なぜこれらの表現が使われるのか、そして現代のトレンドは?

WITNESSETH, WHEREAS, NOW, THEREFORE, in consideration of といった表現は、英文契約書の冒頭部分に頻繁に登場し、契約の法的有効性背景説明において重要な役割を担っています。

これらの表現が持つ機能と、現代の契約書作成におけるトレンドを理解することは、より深く英文契約書を読み解く上で役立ちます。

ア.これらの表現が持つ機能的な役割

WITNESSETH(「証する」):

この言葉は、契約全体が特定の事実や合意を「証言」しているという、一種の儀式的な宣言の役割を果たします。

特に古くからの英文契約書によく見られる表現で、契約の法的厳粛さを示す意図があります。

WHEREAS(「~なので/~であるところ」):

契約締結に至った背景、目的、当事者間の認識されている事実などを説明する部分(RecitalsまたはPreamble)で用いられます。

各WHEREAS節は、その後に続く契約条項の解釈の補助となり、当事者の意図(intent)を示す重要な役割を果たします。

例えば、秘密保持契約において、WHEREAS節で「両当事者が機密情報を交換することを望んでいる」と記載することで、その後の秘密保持義務の根拠が明確になります。

NOW, THEREFORE(「よって、ここに」):

WHEREAS節で述べられた背景や前提を踏まえ、「それゆえに、当事者は以下に合意する」という、前文から本契約の具体的な条項への橋渡しをする役割を担います。

このフレーズは、契約の核心部分、すなわち当事者間の権利義務が規定される本文への移行を明確にします。

in consideration of(「~を約因として」):

これは、英米法特有の「約因(Consideration)」の概念を明示する上で極めて重要です。

約因とは、契約の当事者が相手方から得る「対価」であり、これがなければ原則として契約は法的拘束力を持たないとされます。

例文①のようにin consideration of the foregoing premise and mutual covenants hereinafter contained(上記の前提と以下に含まれる相互の約定事項を約因として)と記載することで、前文で述べられた事実や互いの約束が、この契約を有効にするための対価であることを宣言し、契約の法的有効性を補強します。

また、例文②のようにIn consideration of the licenses and other rights granted by Licensor hereunder(ライセンサーによって許諾されているライセンスおよびその他の権利の対価として)のように、具体的な対価(ライセンスなど)を明示する場合にも用いられ、この場合は「~の対価として」と訳されます。

イ.現代の契約書作成におけるトレンド

近年、英文契約書の作成においては、より平易な英語(Plain English)の使用が推奨される傾向にあります。

これは、契約書をより分かりやすく、アクセスしやすいものにすることを目的としています。

このトレンドに伴い、伝統的なこれらの表現についても、以下のような変化が見られます。

WITNESSETH の省略:

WITNESSETH は最も古風な表現とされ、現代の契約書ではRecitalsやPreambleというタイトルで前文を始めるか、あるいは前文のタイトル自体を省略して、直接WHEREAS節を書き始めることが多くなっています。

WHEREAS 節の簡素化:

WHEREAS 節は依然として広く使われていますが、冗長な表現を避け、必要な背景情報のみを簡潔に記載する傾向にあります。

場合によっては、前文を箇条書きの形式で、WHEREASを使わずに単に「背景(Background)」や「目的(Purpose)」として記載することもあります。

NOW, THEREFORE, in consideration of の組み合わせ:

この組み合わせは、依然として多くの契約書で標準的に使用されていますが、より簡潔にThe parties agree as follows:(両当事者は以下のとおり合意する)や、Therefore, the parties agree as follows: のように表現されることもあります。

しかし、in consideration of の部分は、特に約因の存在を明確にするために、省略されずに残されることが多いです。

これは、約因の法的な重要性から、簡潔性を追求しつつもその本質的な要件を確保するためです。

これらの伝統的な表現は、英文契約書の歴史と法的な背景を理解する上で不可欠です。

現代のトレンドを把握しつつも、これらの表現が持つ意味と機能性を理解することは、どのようなスタイルの英文契約書にも対応できる基礎能力を築くことに繋がります。

2.例文と基本表現:

(注):例文中の“WITNESSETH”, ”WHEREAS”,  ”NOW”, “THEREFORE”, “in consideration of”は、青文字で示しています。

(注):他の基本表現をハイライトし語注を付けています。

1) “WITNESSETH”, ”WHEREAS”,  ”NOW”, “THEREFORE”, “in consideration of” の例文①

これら“WITNESSETH”, ”WHEREAS”,  ”NOW”,  ”in consideration of ”による記載の形式は、英文契約書の冒頭に見られます。

以下は、Confidential Agreement (「秘密保持契約書」)から例文です。

W I T N E S S E T H :

WHEREAS, the Parties wish to exchange certain information which may be confidential and proprietary to a disclosing Party, subject to the terms and conditions hereinafter set forth.

NOW, THEREFORE, in consideration of the foregoing premise and mutual covenants hereinafter contained, the Parties hereby agree as follows:

(訳):

本契約は、以下を証する

両当事者は、以下に規定される条件に従って、開示当事者にとって機密であり専有的な特定の情報を交換したいと考えている。

したがって上記の前提と以下に含まれる相互の約定事項を約因として、両当事者は以下のとおり合意する。

(注):

*proprietaryは、専有的なという意味です。

*the terms and conditionsは、(本契約の)条件という意味です。

*hereinafter set forthは、以下に規定されるという意味です。

*the foregoingは、上記のという意味です。詳しくは、the foregoingとthe aforementionedの意味と例文をご覧ください。

*covenant“は、約定、合意という意味です。詳しくは、covenantの意味と例文をご覧ください。

2) “in consideration of ~” ~の対価としての例文②

技術ライセンス契約からのロイヤリティ支払いの例文です。

In consideration of the licenses and other rights granted by Licensor hereunder, Licensee shall pay Licensor royalties on its sales of the Royalty Products as described in Exhibit.

(訳):

ライセンサーによって許諾されているライセンスおよびその他の権利の対価としてライセンシーは、別紙に記載のとおり、ロイヤリティ製品の販売について、ライセンサーに対し、ロイヤリティを支払うものとする。

(注):

*grantedは、許諾されているという意味です。詳しくは、grant licenseとgrant sublicensesの意味と例文をご覧ください。

 

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