Hardship(ハードシップ条項)

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英文契約書のハードシップ条項とはどのようなものか、そして不可抗力条項との違いについて解説します。例文をとりあげ、対訳をつけて例文の重要表現に注記を入れました。

1.解説:

1)Hardshipとは

Hardshipは、直訳すると苦難、困難という意味です。

英文契約書では、ハードシップ条項のことをいいます。

Hardship(ハードシップ条項)とは、

契約締結時に予測されなかった環境の変化、たとえば、著しい経済変動や、市場価格の高騰などにより、契約の履行が困難となる事態が発生した場合に、当事者が話し合いにより、契約条件を変更することができる

ことを定めた契約条文です。

2)Force Majeure(不可抗力条項)との違い

Force Majeure(不可抗力条項)は、

契約の履行が不可能となる場合の取り決めです。

一方、Hardship(ハードシップ条項)は、

不可抗力とまではいえず、契約の履行は可能であるが、著しい環境の変化によって、その履行が困難となる

ことに違いがあります。

3)Hardship(ハードシップ条項)で規定される内容

その規定される内容は、

契約締結時に予測できない不測の事態が発生し、いずれかの当事者が著しく不利な立場に追い込まれ、契約の履行が困難となった場合は、両当事者が契約内容の変更について誠実に協議する

というようなものになります。

以下に、Hardship(ハードシップ条項)の標準的な例文をとりあげました。

2.例文と基本表現:

(注):基本表現をハイライトしています。

Hardship(ハードシップ条項)– 例文

当事者の合理的な支配が及ばない、契約条件に該当しない事態が生じて、一方当事者に著しく不利となり契約履行が困難となる場合、両当事者は、妥当な合意が図れるよう速やかに協議する、と規定しています。

Hardship

In entering into this Agreement, the parties hereto recognize that it is impracticable to make provision for every contingency which may arise during the term of this Agreement and the parties declare it to be their intention that this Agreement shall operate between them with fairness. If during the term of this Agreement a situation arises which is beyond the reasonable control of either party and which is not covered by any of the provisions under this Agreement and if such situation results in a material disadvantage to one party and a corresponding material advantage to the other or results in substantial hardship to one party without an advantage to the other party, the parties agree to promptly negotiate in good faith towards reaching a mutually acceptable agreement dealing with such situation.

(訳):

ハードシップ条項

本契約を締結するにあたり、両当事者は、本契約の期間中に発生する可能性のあるあらゆる不測の事態に備えることは実行不可能であることを認識し、両当事者は、本契約が公正に両当事者間で機能することを意図していることを宣言する 。 本契約の期間中において、いずれかの当事者の合理的な支配が及ばず、且つ本契約の規定のいずれにも該当しない事態が発生し、かかる事態が一方の当事者に重大な不利益をもたらし、他方当事者にこれに対応する多大な利益をもたらす場合、又は他方当事者に何らの利益をもたらすことなく、一方の当事者に実質的な困難をもたらす場合、両当事者は、かかる状況に対処し相互に受け入れ可能な合意に到達するために、誠意をもって速やかに協議することに同意する。

(注):

*entering into this Agreementは、本契約を締結するという意味です。enter into(締結する)は、契約表現です。

*heretoは、これ(本契約)によりの意味ですが、意訳(訳はいれてない)しています。 くわしくは、hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafterの意味と例文をご覧ください。

*recognizeは、認識するという意味です。

*impracticableは、実行不可能という意味です。

*make provision for every contingencyは、あらゆる不測の事態に備えるという意味です。

*with fairnessは、公正にという意味です。

*beyond the reasonable control ofは、~の合理的な支配が及ばないという意味です。くわしくは、beyond the reasonable control の意味と例文をご覧ください。

not covered by any of the provisions under this Agreementは、本契約の規定のいずれにも該当しない事態と訳しています。

*material disadvantageは、重大な不利益という意味です。 materialについてくわしくは、material breachの意味と例文をご覧ください。

*a corresponding material advantageは、意訳(これに対応する多大な利益)しています。

*results in substantial hardshipは、実質的な困難をもたらすという意味です。

without an advantage to the other partyは、他方当事者に何らの利益をもたらすことなくという意味です。

*negotiate in good faithは、誠意をもって協議するという意味です。 くわしくは、good faithの意味と例文をご覧ください。

*a mutually acceptable agreementは、相互に受け入れ可能な合意という意味です。

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