Non-Competition(競業避止条項)

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労働契約書などに設けられるNon-Competition(競業避止条項)についてとりあげます。条文の例文をいくつかとりあげ対訳と要点をつけました。例文中の基本表現に注記を入れました。

1.解説:

Non-Competition(競業避止条項)は、主に以下のような種類の英文契約書に設けられます。

Employment Agreement(労働契約書)

Non-Competition(競業避止条項)では、雇用者が従業員の競業について、雇用期間中やその後の一定期間、制限することを規定します。

注意点として、永久に競業を制限すると、従業員の転職を不当に制限するものとして無効となる可能性があります。

そのため、競業の制限について、制限期間、対象地域、対象業務、対象職種などの限定が設けられます。(下記の例文①例文②をご覧ください)

Stock Purchase Agreement(株式譲渡契約)

譲渡人(売主)が譲受人(買主)と同じ事業の行うと、譲受人(買主)にとって大きな障害となるため、Non-Competition(競業避止条項)において、譲渡人(売主)に対し、一定期間・一定範囲の競合避止義務を規定します。(下記の例文③をご覧ください)

Joint Venture Agreement(合弁契約書)

Non-Competition(競業避止条項)において、合弁会社の運営期間中は、合弁会社と同じ事業は行わないとする、合弁の各当事者の競業避止義務を定めます。

2.例文と基本表現

(注):基本表現をハイライトしています。

1)Non-Competition(競業避止条項)- 例文①

労働契約書からです。従業員の競業の制限について、制限期間、対象地域、対象業務の限定が設けられています。(下線部)

Employee expressly covenants and agrees that, during the Prohibited Period, he or she will not directly or indirectly engage in any Prohibited Activity in the Restricted Area. Notwithstanding the foregoing, in the event Employee resigns his employment or is terminated, for any reason, on or after a Change in Control, Employee shall have no obligations to comply with this Section 11.

(訳):

従業員は、禁止期間中制限地域内禁止行為に直接的又は間接的に従事しないことを明示的に誓約し同意する上記にかかわらず、従業員が理由の如何を問わず経営権の変更後に退職又は契約終了した場合、従業員は、本11条を遵守する義務を負わないものとする。

(注):

expressly covenants and agreesは、明示的に誓約し同意するという意味です。

he or sheは、英文契約書でもよく使われる表現です。直訳すると彼又は彼女ですが、日本語の契約ではこのように言わないので、文脈を判断して言い換えます。ここでは、従業員と訳しています。

*Notwithstanding the foregoingは、上記にかかわらずの意味です。詳しくは、notwithstandingの意味と例文をご覧ください。

*terminateは、ここでは、広い意味で(契約が)終了するという意味です。詳しくは、、terminateとexpireの意味と例文をご覧ください。

for any reasonは、理由の如何を問わずという意味です。

*Change in Controlは、経営権(支配権)の変更という意味です。

*comply withは、を遵守するという意味です。詳しくは、comply withの意味と例文をご覧ください。

2)Non-Competition(競業避止条項)- 例文②

労働契約書からです。従業員の競業の制限について、制限期間の限定が設けられています。(下線部)

In consideration of this Agreement, the Employee agrees that, during the Employment Term, and for one year thereafter, the Employee shall not act as a proprietor, investor, director, officer, employee, substantial stockholder, consultant, or partner in any industry supplier which does not sell the Company products or with any of the following manufacturing companies or their affiliates:

(訳):

本契約を約因として、従業員は、雇用期間中及びその後1年の間、会社の製品を販売し又は以下の製造会社若しくはその関連会社を持つ業界のサプライヤーの経営者、投資家、取締役、役員、従業員、有力株主、コンサルタント若しくはパートナーとして行動しないことに合意する。

(注):

*In consideration of~ は、~を約因としてという意味です。詳しくは、WITNESSETH, WHEREAS, NOW, THEREFORE, in consideration ofの意味と例文をご覧ください

proprietor, investor, director, officer, substantial stockholderは、それぞれ、経営者、投資家、取締役、役員、有力株主という意味です。

*partnerは、パートナー(=提携企業)という意味です。

3)Non-Competition(競業避止条項)- 例文③

株式譲渡契約からです。譲渡人に対し、一定期間・一定範囲の競合避止義務を規定しています。(下線部)

Seller agrees that for the period commencing on the Closing Date and ending on the fifteenth anniversary of the Closing Date, neither Seller nor its Subsidiaries will directly or indirectly sell, market, develop, distribute, manufacture or otherwise promote, pursuant to a license, any Competing Product in the Territory, or actively and knowingly assist any Third Party to do any of the foregoing.

(訳):

譲渡人は、クロージング日から始まり、クロージング日15年目までの期間譲渡人とその子会社が、指定販売地域において、競合製品を、ライセンス条件に従って直接的若しくは間接的に、販売、マーケティング、開発、流通、製造若しくはその他の方法で販売促進を行わなず、又は前述のいずれかを行うために積極的かつ意図的に第三者を支援しないことに合意する。

(注):

Sellerは、売主の意味ですが、株式譲渡契約なので、譲渡人と訳しています。

*the Closing Dateは、契約に基づく取引実行日(譲渡資産の受け渡し日)を意味しますが、クロージング日と訳されます。

*the fifteenth anniversaryは、直訳すると15年後の応当日ですが、15年目と訳しています。応当日(おうとうび)とは、契約期間中における毎年のクロージング日に対応する日のことです。

*or otherwiseは、若しくはその他の方法でという意味です。詳しくは、or otherwiseの意味と例文をご覧ください。

*pursuant toは、に従ってという意味です。

*actively and knowinglyは、積極的かつ意図的にという意味です。

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