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英文契約書で、タックス条項として置かれるTaxesについて、とりあげます。併せて、タックス条項の例文をとりあげ、対訳と要点をつけて基本表現に注釈を入れました。
1.解説:
1)Taxesとは
英文契約書で見出し条項として置かれるTaxesは、
税金を誰が支払うか、支払った税金を誰が負担するか等、税金に関する事項について定めたタックス条項
のことを意味します。
Taxes(タックス条項)は、国内の日本語契約書にはない契約条文です。
国内で契約を結ぶ場合は、当事者の間で、納税義務者がどちらなのかの認識が明確だからです。
一方、国際取引では、価格を決めるときに税金をどちらが負担するのかを明確にしておかないと、あとで問題となることがあるので、重要な規定と言えます。
相手国により、
消費税、付加価値税、源泉徴収税、資産税など各種の税金
が対象となります。
Taxes(タックス条項)は、対価の支払いが発生する売買契約書、販売店契約書、業務委託契約書、ライセンス契約等
の多くの英文契約書に置かれます。
Taxes(タックス条項)は、単独の条項としてでなく、Payment Terms(代金支払条項)とセットで規定されることもあります。
2)Taxes(タックス条項)で規定される内容
Taxes(タックス条項) では、当然のことながら、税金の負担と税金の支払いが重要です。
これについては、大まかに言うと、以下のような条項のバリエーションが見られます。
タイプ①:その国の適用となる法律の納税義務者たる当事者が、その法律に従って税金を負担し、支払いを行う。
タイプ②:契約金額を正味ベース(=税引き後の正味金額)で取り決める。
そして、税金が課税される場合は、契約代金の受領当事者がグロスベース(=税引き前の総額)で受領できるようにするため、契約金額を増額する。(下記の例文①をご覧ください)
タイプ③:法律で源泉徴収されるライセンス契約のロイヤリティなどの場合は、ライセンシー(=ライセンスを受ける側の当事者)が税金を支払った上で、その支払い証明書をライセンサー(=ライセンスをする側の当事者)に交付する。
納税義務を負うライセンサーが税額控除を受けれるようにするためです。(下記の例文②をご覧ください)
2.例文と基本表現:
1)Taxes(タックス条項)– 例文①
税金が課税される場合は、売主が契約代金をグロスベース(税引き前の総額)で受領できるようにするため、契約金額が増額されことを規定しています。(下線部)
All payments to be made by Buyer to Seller under this Agreement shall be made free and clear of and without deduction for or on account of tax unless Buyer is required by law to make such payment subject to the deduction or withholding of tax, in which case the sum payable by Buyer in respect of which such deduction or withholding is required to be made shall be increased to the extent necessary to ensure that, after making the required deduction or withholding, Seller receives and retains a net sum equal to the sum which it would have received and so retained had no such deduction or withholding been made or required to be made.
(訳):
本契約に基づく売主に対する買主の全ての支払いは、買主が税の控除または源泉徴収を条件として当該支払いを行うことが法律で要求されない限り、税金を理由に差し引かれないものとする。 当該控除または源泉徴収が必要な場合に、買主が支払うべき金額は、必要な控除または源泉徴収を行った後、当該控除または源泉徴収がなかったら、売主が受領し保有していたはずの金額と同じ正味金額を受領し保有するために必要な金額まで、増額されるものする 。
(注):
*free and clear ofは、制限なくという意味ですが意訳しています。
*without deduction forは、差し引かれることなしにという意味です。
*on account of~は、~を理由にという意味です。
*subject to~は、~を条件としてという意味です。
*deductionは、控除という意味です。
*withholdingは、源泉徴収という意味です。
*in which caseは、その場合という意味ですが、意訳しています。
*the sum payable by Buyerは、買主が支払うべき金額という意味です。
*in respect of~は、~に関してという意味ですが、意訳しています。
*a net sumは、正味金額という意味です。
*equal to the sum which it would have received and so retainedは、ここでは、売主が受領し保有していたはずの金額と同じ(正味金額)という意味です。
2)Taxes(タックス条項)– 例文②
法律で源泉徴収されるロイヤリティの場合、ライセンシーが税金を支払った上で、支払い証明書をライセンサーに送付することを規定しています。
To the extent Licensee is required by applicable law to deduct and withhold taxes on any payment to Licensor, Licensee shall pay the amounts of such taxes to the proper tax authority in a timely manner and promptly transmit to Licensor an official tax certificate or other evidence of such withholding sufficient to enable Licensor to claim such payment of taxes.
(訳):
ライセンサーがライセンサーへの支払いに対する税金を控除および源泉徴収することが適用法令により要求される場合は、ライセンシーは、かかる税額を所轄の税務当局に適時に支払った上で、ライセンサーがかかる納税を申告できるようにするために、正式な納税証明書またはその他源泉徴収の証拠となるものを速やかにライセンサーに送付するものとする。
(注):
*applicable lawは、適用法令という意味です。くわしくは、applicable lawの意味と例文をご覧ください。
*deductは、控除するという意味です。
*withholdは、源泉徴収するという意味です。
*the proper tax authorityは、所轄の税務当局という意味です。
*tax certificateは、納税証明書という意味です。
*other evidence of such withholdingは、ここでは、その他源泉徴収の証拠となるものという意味です。
*sufficient to enable Licensor to claim such payment of taxesは、ライセンサーがかかる納税を申告できるようにするためにと訳しています。
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