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英文契約書の責任制限条項や補償条項などで使われる表現のact or omissionについて解説します。 例文に訳をつけ、例文中の他の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1)act or omissionとは
act or omissionの表現は、作為または不作為という意味です。
・actが当事者の作為(=何かをすること)のことを意味します。
・omissionが不作為(=なすべきことをしないこと)を意味します。
act or omission(作為または不作為)という表現には、
当事者の不作為を含め、あらゆる行為のことを指す
意味合いがあります。
2)act or omissionの使い方
act or omission(作為または不作為)の表現は、
Limitation of Liability(責任制限条項)や
などで使われます。
以下のような使い方です。(青字部分)
Limitation of Liability(責任制限条項):
『売主は、自らに作為または不作為(act or omission)があっても、商品の使用から生じる一切の間接的損害については、責任を負わない。』(下記の英文契約書の例文①をご覧ください)
『売主は、自らの契約違反から、または自らの作為または不作為(act or omission)から生じた損失から、買主を補償し免責する。』(下記の英文契約書の例文②をご覧ください)
2.例文と基本表現:
(注):上記で解説したact or omissionは青文字で示し、他の基本表現をハイライトしています。
1)act or omission(作為または不作為)– 例文①
Limitation of Liability(責任制限条項)からです。売主は、間接損害については、自らに作為または不作為があっても、責任を負いません。
IN NO EVENT WILL SELLER BE LIABLE TO BUYER, OR FOR ANY SPECIAL, INDIRECT, EXEMPLARY, INCIDENTAL, PUNITIVE OR CONSEQUENTIAL DAMAGES, AS A RESULT OF THE OFFER, SALE OR USE OF GOODS OR SERVICES, UNDER ANY THEORY OF LIABILITY, WHETHER BASED IN CONTRACT, NEGLIGENCE, TORT, WARRANTY OR OTHER WRONGFUL ACT OR OMISSION OF SELLER AND EVEN IF SELLER HAS BEEN ADVISED OF THE POSSIBILITY OF SUCH DAMAGES.
(訳):
いかなる場合も、売主は、買主に対し、商品もしくはサービスの提供、販売または使用から生じるあらゆる特別、間接的、例示的、偶発的、懲罰的もしくは結果的損害については、法的責任の根拠にかかわらず、契約、過失、不法行為、保証もしくはその他売主の不正な作為もしくは不作為に基づくものであっても、かかる損害の可能性について売主が知らされていたとしても、責任を負わないものとする。
(注):
*IN NO EVENTは、いかなる場合も~しないという意味です。くわしくは、In no eventとUnder no circumstancesの意味と例文をご覧ください。
*BE LIABLE TOは、~に対して責任を負うという意味です。
*SPECIAL, INDIRECT, EXEMPLARY, INCIDENTAL, PUNITIVE OR CONSEQUENTIAL DAMAGESは、特別、間接的、例示的、偶発的、懲罰的もしくは結果的損害という意味です。
*UNDER ANY THEORY OF LIABILITYは、法的責任の根拠にかかわらずという意味です。
*NEGLIGENCEは、過失という意味です。
*TORTは、不法行為という意味です。くわしくは、tortの意味と例文をご覧ください。
2)act or omission(作為または不作為)– 例文②
Indemnification(補償条項)からです。売主は、自らの契約違反から、または自らの作為または不作為から生じた損失から、買主を補償し免責します。
Seller shall indemnify, defend, and hold harmless Buyer from and against any and all claims, liabilities, damages, losses, costs and expenses (including reasonable attorney’s fees and costs) (collectively, “a Loss”) arising out of or relating to the failure of the Goods to conform to any warranty, Seller’s failure to comply with its obligations under this Agreement, or any act or omission by Seller except when a Loss results from the sole negligence of Buyer.
(訳):
売主は、商品が保証に適合しなかったこと、売主が本契約に基づく義務を遵守しなかったこと、または売主に作為もしくは不作為があったことに起因または関連する、一切の請求、責任、損害、損失および費用(合理的な弁護士費用を含む)(総称して「損失」という)から、買主の単独の過失により損失が生じた場合を除き、買主を補償し、防御し、免責するものとする。
(注):
*indemnify, defend, and hold harmless ~ from and against ~は、から~を補償し、防御し、免責するという意味です。くわしくは、indemnify and hold harmlessの意味と例文をご覧ください。
*any and allは、一切のという意味です。英文契約書では、対象範囲を広げたいとき、any and all(一切の)というような表現がよく使われます。
*costs and expensesは、費用と訳しています。類語を並べた強調表現です。
*collectivelyは、総称して~というという意味です。
*arising out of or relating toは、に起因または関連するという意味です。
*conform to any warrantyは、保証に適合するという意味です。
*failure to comply withは、を遵守できないという意味です。failureは、~を怠る、~できないの意味で、failure to doの形で使用されます。
*the sole negligenceは、単独の過失という意味です。
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