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英文契約書でよく見かける表現のconsent not unreasonably withheldについて解説します。例文をとりあげ訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記しました。
(目次)
1.解説:
1)consent not unreasonably withheldとは
2)consent not unreasonably withheldの関連表現
3)consent not unreasonably withheldの使い方
2.例文と基本表現:
1)例文 – Assignment(譲渡制限条項)から
2)例文 – Grant of License(ライセンス許諾条項)から
3)例文 – Product Liability(製造物責任条項)から
1)consent not unreasonably withheldとは
consent not unreasonably withheldは、直訳すると、
不合理に同意を留保しない
ですが、
正当な理由なく同意を拒否しない、不合理に同意を拒否しない
という意味で使われます。
相手方から事前の同意をもらう必要がある場合に、相手方にその同意の申し出を正当な理由なく拒否できないという義務を課すときに、この表現が使われます。
2)consent not unreasonably withheldの関連表現
関連表現として、以下のものがあります。
・consent not unreasonably withheld or delayed:
正当な理由なく同意を拒否したり、遅らせない
(英文契約書の例文①と例文③をご覧ください)
・approval not unreasonably withheld:
正当な理由なく承諾を拒否しない
(英文契約書の例文②をご覧ください)
3)consent not unreasonably withheldの使い方
consent not unreasonably withheldの表現は、
Assignment(譲渡制限条項)
Grant of License(ライセンス許諾条項)
Product Liability(製造物責任条項)
などで登場します。
使われ方は、以下のようになります。(青文字部分)
・Assignment(譲渡制限条項)で:
当事者の一方は、他方当事者の同意なしに、本契約を譲渡できない。当該同意は正当な理由なく拒否してはならない(consent not unreasonably withheld)。(英文契約書の例文①をご覧ください)
・Grant of License(ライセンス許諾条項)で:
ライセンシーは、ライセンサーの承諾を得て、第三者にライセンスを再許諾できる。当該承諾は正当な理由なく拒否してはならない(consent not unreasonably withheld)。(英文契約書の例文②をご覧ください)
・Product Liability(製造物責任条項)で:
ベンダーは、サプライヤーの同意なしに、第三者からの補償請求について和解することはできない。当該同意は正当な理由なく拒否してはならない(consent not unreasonably withheld)。(英文契約書の例文③をご覧ください)
2.例文と基本表現:
(注):上記で解説したconsent not unreasonably withheldは青文字で示し、他の基本表現をハイライトしています。
1)consent not unreasonably withheld or delayed(正当な理由なく同意を拒否したり、遅らせない)– 例文①
Assignment(譲渡制限条項)からです。
Neither party may assign rights and obligations of this Agreement without the other party’s prior written consent, which will not be unreasonably withheld or delayed.
(訳):
いずれの当事者も、他方当事者の事前の書面による同意を得ることなく、本契約上の権利義務を譲渡することはできない。当該同意は正当な理由なく拒否したり、遅らせてはならない。
(注):
*rights and obligationsは、権利義務という意味です。くわしくは、rights and obligationsの意味と例文をご覧ください。
2)approval not unreasonably withheld(正当な理由なく承諾を拒否しない)– 例文②
Grant of License(ライセンス許諾条項)からです。
The licensee may grant sublicenses to third Parties under the Agreement with the approval of Licensor, which approval shall not be unreasonably withheld.
(訳):
ライセンシーは、ライセンサーの承諾を得て、本契約に基づき第三者にライセンスを再許諾することができる。当該承諾は正当な理由なく拒否してはならない
(注):
*grant sublicensesは、ライセンスを再許諾するという意味です。くわしくは、grant licenseとgrant sublicensesの意味と例文をご覧ください。
3)consent not unreasonably withheld or delayed(正当な理由なく同意を拒否したり、遅らせない)– 例文③
Product Liability(製造物責任条項)からです。ベンダーは、サプライヤーの同意なしに、第三者からの補償請求について和解できません。サプライヤーは、この同意を正当な理由なく拒否したり、遅らせてはなりません。
Vendor will notify Supplier promptly after Vendor becomes aware of the basis for a claim under this Section. The parties will cooperate with other to determine the root cause of a defect in or failure of the Products. Supplier may examine and test all available Products are subject to a third-party claim. Vendor will endeavor to include Supplier in settlement discussions where indemnity has been or will be sought from Supplier, and Vendor may not settle or compromise any third-party claim that gives rise to an indemnification claim without Supplier’s prior written consent, which will not be unreasonably withheld or delayed.
(訳):
ベンダーは、本項に基づく請求の根拠を知った後、直ちにサプライヤーに通知するものとする。両当事者は、製品の欠陥または製品の故障の根本原因について、相互に協力して判断するものとする。 サプライヤーは、第三者請求の対象となるすべての製品について、調査しテストをすることができる。 ベンダーは、サプライヤーに対する過去と今後の補償責任追及についての解決協議の場に、サプライヤーを含めるよう努める。ベンダーは、サプライヤーの事前の書面による同意なしに、補償責任を生じる第三者の請求について解決や和解を行わないものとする。当該同意は正当な理由なく拒否したり、遅らせてはならない。
(注):
*becomes aware ofは、~を知るようになる、~を知ったという意味です。
*The partiesは、両当事者という意味です。くわしくは、partyとpartiesの関連表現の意味と例文をご覧ください。
*the root causeは、根本原因という意味です。
*subject toは、(第三者請求)の対象となるという意味です。
*endeavorは、努めるという意味です。
*settlement discussions where indemnity has been or will be sought from Supplierは、直訳するとsettlement discussions(解決の協議)とwhere indemnity has been(補償責任をこれまで追及し)とor will be sought(またはこれから追及する)とfrom Supplier(サプライヤーから)ですが、サプライヤーに対する過去と今後の補償責任追及についての解決協議の場と意訳しています。
*settle or compromise any third-party claimは、settle(解決する)と、or compromise(または和解する)と、any third-party claim(第三者の請求)で、第三者の請求について解決や和解を行うという意味です。
*gives rise toは、~を生じさせるという意味です。
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