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1.適用範囲とは
適用範囲の条項は、基本契約に書かれる条項です。
基本契約の適用範囲はどこまで及ぶのかを特定し、基本契約と個別契約との優先関係を明らかにするものです。
基本契約が結ばれた後の個別契約は、基本契約をベースにして結ばれたものです。したがって、基本契約が個別契約に適用されることは問題ありません。
しかし、基本契約が結ばれる前に、個別契約を結んだ場合には、その個別契約に基本契約が適用されるのどうかがハッキリしません。そのため、既に結んだ個別契約についても基本契約の適用があることを明らかにしておいたほうが良いといえます。
通常は、基本契約が結ばれた後に、個別契約が結ばれることになります。
原則は、個別契約の内容が基本契約と異なる場合、個別契約によって基本契約の内容を変更したものと考えられます。そのため、個別契約が優先されるという基本契約の規定をいれた場合、注意的な規定となります。
個別契約を優先させるのではなく、基本契約を優先させる場合には、その旨の規定を設ける必要があります。
下記に示す条項例では、基本契約と個別契約の優先適用の関係につき、いくつかのパターンを示しました。
2.適用範囲の条項の書き方の例
① 個別契約が優先される場合:
第○条 (適用範囲)
1 本契約の各条項は、次条以下で定める甲と乙が締結する全ての個別契約に適用される。
2 個別契約の内容が本契約と異なるときは、個別契約の規定が優先するものとする。
② 基本契約が結ばれる前から存在する個別契約にも適用する場合:
第○条 (適用範囲)
1 本契約の各条項は、次条以下で定める甲乙が締結する全ての個別契約に適用される。
2 個別契約の内容が本契約と異なるときは、個別契約の規定が優先する。
3 本契約の規定は、甲乙間で既に締結された以下の契約にも適用される。
・令和○年○月○日付○○契約
③ 基本契約が優先される場合:
第○条 (適用範囲)
1 本契約の各条項は、次条以下で定める甲乙が締結する全ての個別契約に適用される。
2 個別契約の内容が本契約と異なるときは、本契約の規定が優先するものとする。
④ 基本契約と個別契約とで内容に食い違いがある場合に、協議して決める場合:
第○条 (適用範囲)
1 本契約の各条項は、次条以下で定める甲乙が締結する全ての個別契約に適用される。
2 個別契約の内容が本契約と異なるときは、甲乙協議のうえ、その取扱いにつき決定するものとする。