Event of Default(債務不履行事由の条項)

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英文契約書において債務不履行事由の条項として規定されるEvent of Defaultについて解説します。例文をとりあげて、要点と対訳をつけて基本表現に詳しい語注をつけました。

1.解説:

1)Event of Defaultとは

Event of Defaultとは、

不履行当事者(the defaulting party)によるどのような行為、または出来事の発生が債務不履行(default)に該当するのか

について規定する

英文契約書の債務不履行事由の条項のことをいいます。

(次のパートで例文をとりあげています)

2)Events of Defaultに盛り込まれる他の規定や条項

債務不履行事由の条項(Events of Defaultは、通常、単独の契約条文でなく、

不履行当事者が犯した債務不履行がどのような内容なのかにより、以下の①~④の他の規定や条項のいずれかが、セットになって盛り込まれるのが一般的です。

期限の利益喪失条項Acceleration):

期限の利益喪失条項(Acceleration)とは、

不履行当事者(the defaulting party期限の利益を喪失する

ことを規定した条項です。詳しくは、こちらをご覧ください。

不履行当事者(the defaulting party)債務不履行事由(Events of Defaultに該当する行為があると、

『その不履行当事者(the defaulting party)が期限の利益を喪失する』

という内容が追加されて表現されます。

次に解説する、

②金銭的損害賠償(money damages)の規定

契約解除条項Termination

救済条項Remedies

についても同様です。

すなわち、不履行当事者(the defaulting party)債務不履行事由(Events of Default)に該当する行為があると、その債務不履行事由がどのようなものなにかにより、それぞれ、

②『金銭的損害賠償(money damages)を請求できる』

『契約を解除できる』

裁判所に救済措置を求めることができる』

というような文句が追加されて記載されます。

つまり、債務不履行事由の条項と、これらの他の規定や条項がセットになって表記されるわけです。

(ご参考):

金銭的損害賠償(money damagesの規定:

金銭的損害賠償(money damagesの規定とは、

非不履行当事者(the non-defaulting party金銭的損害賠償(money damagesを請求できる

ことを定めた規定です。

契約解除条項Termination):

契約解除条項(Termination)とは、

非不履行当事者(the non-defaulting party)契約を解除することができる

ことを規定した条項です。詳しくは、こちらをご覧ください。

救済条項(Remedies):

救済条項(Remedies)とは、

不履行当事者(the defaulting party)が行った債務不履行(default)の内容が重大なものであれば、非不履行当事者(the non-defaulting party)裁判所に救済措置を求めることができる

ことを規定した条項です。詳しくは、こちらをご覧ください。

2.例文と基本表現

(注):債務不履行事由のみの条文です。上記で解説した他の規定や条項部分を略しています。

(注):基本表現をハイライトし、下記に語注をいれています。

Events of Default(債務不履行事由の条項) – 例文

債務不履行の事由として、①一定期間内に不履行が是正されない、②債務者の支払い不能等の手続きの開始、③第三者による支払い不能等の申し立て、④履行保証の提供ができない、が挙げられています。

Events of Default.  

Either party will be in “Default” under the Contract if it (1) fails to perform any obligation under the Contract and, if the non-performance can be cured, fails to cure the non-performance within 15 business days after notice from the other party specifying the non-performance, (2) admits in writing its inability to pay its debts as they become due, commences a bankruptcy, insolvency, receivership, or similar proceeding, or makes a general assignment for the benefit of creditors, (3) becomes a debtor in a bankruptcy, insolvency, receivership, or similar proceeding commenced by a third party that is not dismissed within 30 days after commencement, or (4) fails to provide adequate assurance of performance under the Contract within three business days after written demand by the other party.

(訳):

債務不履行事由  

いずれかの当事者は、次の各号の事由が生じた場合に債務不履行に該当する:(1)本契約に基づく義務を履行できず不履行是正できる場合に、相手方から当該不履行を特定する通知の後、15営業日以内に当該不履行是正できないとき、(2)支払期日が到来したときに債務を支払うことができないことを書面で認め、破産、支払不能管財人による管理若しくは同様の手続きを開始する、若しくは債権者の利益のための一般的譲渡を行うとき、(3)第三者により申し立てられた破産、支払不能管財人の管理若しくは同様の手続きにより債務者となり、当該手続きの申し立て後30日以内に取り下げされないとき、または(4)相手方からの書面による請求後、3営業日以内に本契約に基づく履行の十分な保証が提供できないとき。

(注):

*Defaultは、債務不履行という意味です。

*fails toが数か所で使われいますが、~できない、~しないという意味の契約表現です。

the non-performanceは、不履行という意味です。

curedは、cure(是正する)のことで、是正されるという意味です。くわしくは、cureの意味と例文をご覧ください。

*business daysは、営業日、平日という意味です。

inability to pay its debtsは、inability to(~することができないこと)pay its debts(債務を弁済する)の組み合わせで、債務を支払うことができないことという意味です。

become dueは、支払期日が到来するという意味です。 

*commencesは、~を開始するという意味です。

insolvencyは、支払不能という意味です。くわしくは、insolvencyの意味と例文をご覧ください。

receivershipは、管財人による管理という意味です。

*proceedingは、英文契約書では法的手続きという意味に使われます。くわしくは、proceedingsの意味と例文をご覧ください。

general assignment for the benefit of creditorsは、債権者の利益のための一般的譲渡と訳しています。債権者への債務の弁済を目的として債務者の財産をtrustee(受託者)に譲渡する米国破産法の手続きです。

*proceeding commenced by a third partyは、直訳するとproceeding(手続きcommenced(開始させられた)by a third party第三者によりの組み合わせですが、意訳(第三者により申し立てられた)しています。 

dismissedは、取り下げるという意味です。

*commencementは、直訳すると開始ですが、意訳(当該手続きの申し立て)しています。

adequate assurance of performanceは、履行の十分な保証という意味です 

written demandは、書面による請求という意味です。

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