Works Made for Hire(職務著作条項)

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英文契約書において職務著作条項として規定されるWorks Made for Hireについて解説します。例文をとりあげ要点と対訳をつけました。例文中の基本表現に注記を入れました。

1.解説:

1)Works Made for Hireとは

Works Made for Hireは、職務著作と訳されます。

職務著作については、日本の著作権法15条で規定されています。

米国の著作権法などでも、同様の法制度があります。

Works Made for Hire(職務著作)とは、

雇用者に雇用される従業員が職務上、作成した創作物は、雇用者にその著作権が認められる

ことをいいます。

なお、雇用関係にない独立した受託者であっても、

委託者の指示に基づく業務であり、契約においてWorks Made for Hire(職務著作)が明記されていれば、委託者に著作権が認められる

ことに注意が必要です。(次の2)の解説と例文をご覧ください)

2)Works Made for Hire(職務著作条項)が使われる場面

Works Made for Hire(職務著作)の取り決めがされるのは、たとえば、以下のような種類の英文契約書です。

Employment Agreement(雇用契約)で:

従業員が職務として、作成した創作物は、雇用者の所有物とする。

Service Agreement(サービス委託契約)で:

受託者が委託者からの受託業務として、作成した成果物は、委託者の所有物とする。(以下の例文をご覧ください)

Consulting Service Agreement(コンサルティング契約)で:

コンサルタントがクライアントへのコンサルタント業務として、作成した成果物は、クライアントの所有物とする。

2.例文と基本表現:

(注):works made for hire青文字で示しています。

(注):英文契約書によく出る基本表現をハイライトし注記を入れています。

Works Made for Hire(職務著作条項)– 例文

サービス委託契約からです。受託者が、委託者(当社)からの受託業務として、作成した成果物は、職務著作物とみなされ、委託者(当社)の財産となります。

Works Made for Hire  The Contractor agrees that the services to be performed pursuant to this Agreement, including all tasks, duties, results, inventions and intellectual property developed or performed pursuant to this Agreement, are considered “works made for hire” and that any such work is by virtue of this Agreement assigned to the Company and shall be the sole property of Company for all purposes, including, but not limited to, copyright, trademark, service mark, patent, and trade secret. In the event that any work created by the Contractor does not qualify as works made for hire, the Contractor agrees to assign his or her right in the work to the Company. The Contractor agrees to execute any and all documents prepared by the Company and to do all other lawful acts as may be required by the Company to establish, document, and protect such rights.

(訳):

職務著作  受託者は、本契約に従って遂行される業務が、本契約により創作又は遂行される一切のタスク、職務、成果、発明及び知的財産を含み、「職務著作」とみなされ、かかる創作物が、本契約に基づき当社に譲渡され、著作権、商標、サービスマーク、特許、営業秘密を含むがこれらに限定されない一切の権利として当社の単独の財産となることに合意する。受託者が作成した成果物が職務著作にあてはまらない場合、受託者その成果物の権利を当社に譲渡することに合意する。受託者は、当社が準備した一切の文書を執行し、かかる権利を確立、文書化及び保護するために、当社が求めた場合は、一切の法令上の行為を履行することに合意する。

(注):

*The Contractorは、受託者という意味です。 

*pursuant toは、~に従ってという意味です。なお、pursuant to this Agreement(本契約に従って)と同様の契約表現にunder this Agreement(本契約に従って)があります。

developed or performedは、創作又は遂行されるという意味です。 

by virtue ofは、に基づきという意味です。詳しくは、by virtue ofの意味と例文をご覧ください。

assigned toは、に譲渡されるという意味です。  

the sole propertyは、単独の財産という意味です。  

including, but not limited toは、 ~を含むが、それらに限定されないという意味です。詳しくは、including, but not limited to / including, without limitationの意味と例文をご覧ください。

assign his or her right in the work toは、その成果物の権利を~に譲渡するという意味です。 

*any and allは、一切の、全てのという意味です。英文契約書では、対象範囲をモレなくカバーしたいときany and allというような表現がよく使われます。前述のincluding, but not limited to(~を含むが、それらに限定されない)と同じ意味合いがあります。

*lawful actsは、法令上の行為、合法的行為という意味です。

as may be requiredは、に求められた場合はという意味です。 

documentは、文書化するという意味です。

 

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