署名押印と記名押印 

1.署名と記名

契約当事者による調印は、署名による場合と記名による場合とがあります。

署名:契約の当事者が氏名を自著する、つまり、手書きで自分の名前を書く、ことをいいます。

記名:タイプ、ゴム印、印刷など署名以外の方法で氏名を表すことをいいます。

2.押印

日本では署名の場合でも押印することが慣行です。ただし、法律的には、署名があれば、押印がなくても有効です。

記名の場合は、法律的には、押印がなければ有効とみなされません。

3.署名押印や記名押印をする理由

契約書に署名押印や記名押印するのは、その契約書が第三者によって偽造されたものではなく、当事者が自らの意思によって作成したということを、署名の筆跡や押印の印影によって証明するためです。

4.契約の成立をさらに確実に証明したいとき

1)署名押印

面前での署名押印は当事者の意思が明確となります。特に重要な契約書や連帯保証人も当事者となっているような契約書の場合には、調印式を設定するやり方もあります。

2)記名押印

記名押印は、後になって相手から「勝手に押されたもので、自分は知らない」と言われる可能性もありえます。 そのような心配がある場合には、相手方の署名と押印を求めるのが安全です。

記名押印は、筆跡がありません。契約書の成立をさらに確実にしたい場合は、実印で押印したうえで、印鑑証明書を添付するとよいです。

5.契約当事者 - 個人の場合と法人の場合

当事者が個人の場合:住所を記載し、署名(記名)押印をします。

当事者が法人の場合:本店所在地と法人名を記載し、代表者(株式会社では代表取締役など、公益法人などでは理事・代表理事など)が署名(記名)押印をします。

6.ご参考 - 行政での押印廃止の動き

行政手続きの簡素化や市民サービスに向けて、官庁で押印の廃止の動きが出ています。一部の自治体ではすでに押印廃止が開始されつつあります。