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改正民法では、契約不適合責任における期間の制限が規定されています。
1.期間制限の対象
この期間の制限は、「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合」のみが対象です。
目的物の数量や権利の移転が契約の内容に適合しない場合は、期間制限の対象とはならず、消滅時効の規定に従います。この点に注意が必要です。
2.権利行使の方法
現行民法:
瑕疵担保責任の追及は、買主が瑕疵を知ってから、1年以内に権利行使、すなわち契約の解除又は損害賠償の請求が必要とされていました(現行民法570条、566条3項)。
権利行使については、裁判上の権利行使までは必要ありません。少なくとも、売主に対して具体的に瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求を行う意思を表明し、請求する損害額の算定根拠を示す等、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要があるとされています。
改正民法:
買主の負担を軽減するため、買主が契約に適合しないことを知ってから、1年以内にその旨を通知するだけでよいことになりました。
すなわち、1年以内に買主が行うべき行為が、「契約解除又は損害賠償請求」から「契約不適合である旨の通知」で済むようになりました。
通知としては、契約不適合が存在する旨を伝えるのみでは足りません。契約不適合の内容の把握が可能な程度に、不適合の種類や範囲を通知する必要があるとされています。
契約内容不適合にかかる権利行使をするためには、上記の期間内に通知しなければなりません。改正民法が規定するこの期間は、除斥期間と呼ばれるものです。この期間内に通知しないと、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求や契約解除ができなくなります。
(改正民法566条)
*除斥期間:法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過により権利が消滅する制度です。
3.消滅時効の適用
消滅時効については、「権利を行使することができることを知った時」から5年間行使しないとき、又は「権利を行使することができる時」から10年間行使しないとき、消滅します。(改正民法166条1項)
4.商人間の売買の取引:
商人間の取引の場合には、買主の検査と通知義務が規定されています。
買主は、目的物の受領後、遅滞なく検査をしなくてはいけません。
検査により売買の目的物が種類、品質、又は数量に関して、契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨を通知しなければ、契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求ができません。
売買の目的物について、6か月以内に直ちに発見することができない不適合を発見した場合も同様です。
(改正商法526条)