exclusiveとnon-exclusiveの意味と例文

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英文契約書でよく用いられるexclusivenon-exclusiveとその関連表現について、とりあげます。 併せて、例文をとりあげ対訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記を入れました。

1.解説 

1)exclusiveとnon-exclusiveとは

exclusive:

独占的、排他的という意味です。

non-exclusive:

exclusive独占的、排他的)と反対の意味を表します。非独占的、非排他的という意味です。

exclusivenon-exclusiveの用語は、

Distribution Agreement(販売店契約)
License Agreement(ライセンス契約)

などの英文契約書でよく使われる用語です。

なお、Distribution Agreement(販売店契約)とは、

製品の売主であるベンダーが、ある地域における買主である販売店に対して、製品を継続的に売り渡す契約

のことをいいます。

また、License Agreement(ライセンス契約)とは、

特許発明、意匠、商標、ノウハウ、トレードシークレットなど、知的財産の利用を相手方に許諾する契約

のことをいいます。

2) exclusiveとnon-exclusiveを使った表現:

exclusive distributor:

独占的販売店という意味です。

独占的販売店とは、

指定された販売地域において商品を独占的に販売する権利を付与された販売店

のことをいいます。(使い方は、下記の例文①をご覧ください)

non-exclusive distributor:

非独占的販売店という意味です。

非独占的販売店とは、

指定の販売地域において商品を独占的に販売する権利を有しない販売店

のことです。(使い方は、下記の例文②をご覧ください)

exclusive right:

独占的権利、排他的権利という意味です。(使い方は、下記の例文③をご覧ください)

non-exclusive right

非独占的権利、非排他的権利 という意味です。(使い方は、下記の例文④をご覧ください) 

exclusive jurisdiction:

専属裁判管轄という意味です。

専属裁判管轄とは、

訴訟を管轄する裁判所をどこにするかについて、特定の裁判所による裁判管轄とする当事者間の合意

のことをいいます。

例文については、Jurisdiction(裁判管轄条項)をご覧ください。

non-exclusive jurisdiction:

非専属裁判管轄という意味です。

非専属裁判管轄とは、

訴訟を管轄する裁判所をどこにするかについて、特定の裁判所以外に、他の裁判所への提訴も認める当事者間の合意

のことをいいます。

例文については、Jurisdiction(裁判管轄条項)をご覧ください。

 

3) 独占性・非独占性のビジネス上の意味と交渉のポイント

exclusive(独占的)とnon-exclusive(非独占的)という用語は、契約当事者間の権利の範囲とビジネス戦略に直結する非常に重要な概念です。

これらの概念の理解は、契約交渉において、自社のメリットを最大化し、リスクを最小化する上で不可欠となります。

ア.独占性(Exclusive)のメリット・デメリットと交渉ポイント

Exclusiveな関係は、通常、強いコミットメントと密接な協力を意味します。

独占供与側のメリット(例:ベンダー、ライセンサー):

販売促進へのコミットメント:

独占権を与えられた側(例:独占販売店、独占ライセンシー)は、その市場において競合が存在しないため、より積極的な投資や販売努力を行うインセンティブが生まれます。

パートナーシップの深化:

独占パートナーとの関係が深まり、製品や市場に関する情報共有や戦略策定がより円滑に進む傾向があります。

独占供与側のデメリット:

機会損失のリスク:

独占パートナーのパフォーマンスが低い場合、その市場でのビジネス拡大の機会を逃すリスクがあります。

他の潜在的なパートナーと契約できないため、事業成長がその独占パートナーの能力に依存することになります。

市場支配力への懸念:

特定の市場での独占性が強すぎると、独占禁止法などの規制に抵触する可能性も考慮する必要があります。

独占付与される側のメリット(例:独占販売店、独占ライセンシー):

市場競争の排除:

指定された地域や分野で唯一の供給者となるため、価格競争が緩和され、より高い利益率を確保しやすくなります。

ブランド構築への投資意欲:

長期的な視点でブランドや市場シェアを構築するインセンティブが生まれます。

独占付与される側のデメリット:

販売ノルマや最低購入数量義務:

独占権の対価として、最低販売数量(minimum purchase quantity)や販売目標(sales target)、あるいは特定のプロモーション活動を義務付けられることが多く、これを達成できない場合は、独占権を失う(termination for failure to meet minimums)か、契約自体を解除されるリスクがあります。

特定の製品・サービスに縛られる:

他の競合製品を取り扱えないnon-compete(競業避止)義務が課されることもあります。

交渉のポイント:

独占範囲の明確化:

「独占」が何を意味するのか(地域、製品カテゴリ、顧客セグメント、販売チャネルなど)を極めて具体的に定義することが重要です。

「誰に対し(to whom)、何を(what)、どこで(where)、どのように(how)、いつまで(for how long)独占か」を詳細に規定します。

最低販売目標と達成不能時の影響:

独占権を付与する側は、機会損失を避けるため、達成可能な範囲で具体的な目標設定を行い、未達成時の独占権喪失や契約解除の条件を明確にすべきです。

独占権を受ける側は、目標設定の現実性や、未達成時の救済措置(例:猶予期間、目標見直し)を交渉すべきです。

例外規定:

独占契約であっても、特定の既存顧客、政府機関への直接販売など、ベンダーが直接行うことができる例外(reserved rights)を規定することがあります。

イ.非独占性(Non-Exclusive)のメリット・デメリットと
交渉ポイント

Non-Exclusiveな関係は、通常、柔軟性と市場カバレッジの拡大を可能にします。

メリット:

市場カバレッジの最大化:

ベンダーは複数のパートナーを通じて製品やサービスを提供できるため、より多くの顧客にリーチし、市場シェアを拡大する機会が増えます。

リスク分散:

特定のパートナーに依存するリスクを避け、もし一社が不調でも他のパートナーでカバーできます。

柔軟なパートナーシップ:

非独占的な関係は、一般的に契約期間や義務の拘束が緩やかであり、柔軟なビジネス展開が可能です。

販売店の多様な製品ラインアップ:

販売店は複数のベンダーの製品を自由に扱えるため、顧客ニーズに応じた幅広いソリューションを提供できます。

デメリット:

パートナーのコミットメント不足:

非独占パートナーは、競合製品も扱えるため、自社の製品への販売努力や投資が独占パートナーほど期待できない可能性があります。

ブランドの希薄化:

多数の販売チャネルが存在すると、ブランドイメージの一貫性維持が難しくなる場合があります。

価格競争の激化:

複数の販売店が存在するため、価格競争が生じやすくなります。

交渉のポイント:

販売促進のインセンティブ:

非独占契約であっても、販売店が自社製品の販売に注力するよう、インセンティブ(例:売上に応じた追加ボーナス)を検討することが有効です。

市場情報の共有:

複数の非独占パートナーがいる場合、市場や顧客に関する情報共有の仕組みを設けることで、全体の販売戦略の精度を高めることができます。

「Exclusive to the extent(〜の範囲で独占的)」という中間的な選択肢:

完全な独占か非独占かだけでなく、特定の条件(例:特定の地域におけるオンライン販売のみ独占、特定の顧客層に対しては独占)において独占性を付与する複合的なアプローチも交渉で検討可能です。

exclusiveかnon-exclusiveかの選択は、単なる文言上の問題ではなく、企業の市場戦略、リスク許容度、リソース配分に深く関わります。

契約交渉においては、自社のビジネスモデルと市場状況を深く分析し、長期的な視点でどちらの形態が最適かを判断することが極めて重要です。

また、曖昧な表現を避け、具体的な条件を詳細に定めることが、将来的な紛争を避けるための鍵となります。

 

2.例文と基本表現:

(注):exclusivenon-exclusiveを使った表現は、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。

1) exclusive distributor(独占的販売店)- 例文① :

販売店契約からです。指定販売地域における独占販売店に指定します。

ABC Company hereby appoints XYZ Company as the exclusive distributor of Products and Services to Customer in the Territory, subject to the terms and conditions of this Agreement.

(訳):

ABC Companyは、本契約の条件に従い、XYZ Companyを指定販売域内の顧客への製品及びサービスの独占販売店として指定する。

(注):

*subject to the terms and conditions of this Agreementは、本契約の条件に従ってという意味です。くわしくは、subject toの意味と例文をご覧ください。

2)non-exclusive distributor(非独占的販売店)- 例文②:

販売店契約からです。指定販売地域での非独占的販売店に指定します。

ABC Company desires to appoint XYZ Company, and XYZ Company desires to accept appointment, as a non-exclusive distributor of ABC Company’s products within a defined area as set forth herein.

(訳):

ABC Companyは、本契約に規定する指定地域内におけるABC Companyの製品の非独占的販売店として、XYZ Companyを指定することを希望し、XYZ Companyは、当該指定の受諾を希望する。

(注):

*as set forth hereinは、本契約に規定するという意味です。くわしくは、set forthの意味と例文をご覧ください。

3) exclusive right(独占的権利、排他的権利)- 例文③:

業務委託契約からです。会社は、外部サービスを利用する排他的権利を有します。

The company retains the exclusive right to add to, modify, or cancel the availability of any third-party service at any time.

(訳):

会社は、外部サービスの利用を、いつでも追加、変更、又は解除する排他的権利を有する。

(注):

*retainは、~を有するという意味です。

*the availability of any third-party serviceは、外部サービスの利用という意味です。

4) non-exclusive right(非独占的権利、非排他的権利)- 例文④:

ライセンス契約からです。ライセンシーにライセンスの非独占的権利を許諾します。

LICENSOR hereby grants to LICENSEE the non-exclusive right and license to use, manufacture, have manufactured, sell, distribute, and advertise the Licensed Products in the Territory.

(訳):

ライセンサーは、本契約により、ライセンシーに対し、指定地域内において、ライセンス製品を使用、製造、製造委託、販売、流通及び広告する非独占的権利並びにライセンスを付与する

(注):

*grants toは、~に許諾する、~に付与するという意味です。

*have manufactured は、製造委託するという意味です。くわしくは、have madeとhave manufacturedの意味と例文をご覧ください。

 

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