Litigation Costs(訴訟費用の条項)

英文契約書の一般条項として置かれることがある Litigation Costs(訴訟費用の条項)について解説します。例文をとりあげ、要点と対訳と詳しい語注をつけました。

1.解説:

1)Litigation Costsとは

英文契約書の 一般条項 として、Litigation Costsが置かれることがあります。

Litigation Costsとは、

契約に関して訴訟が提起された場合に、訴訟にかかる費用を誰が負担するのか

等について定めた条項です。

2)Litigation Costs(訴訟費用の条項)の内容

具体的には、訴訟費用の内訳負担方法が定められます。

訴訟費用の内訳:

訴訟費用の内訳としては、

弁護士費用、裁判所費用、証人費用等があります。

この内、弁護士費用については高額になりやすいため、これを制限するため、

reasonable attorney’s fees(合理的な額の弁護士費用)

として個別に条文を設けて規定することもあります。

訴訟費用の負担方法:

訴訟費用の負担方法については、以下のようなものがあります。

・各当事者が自ら費用を負担する

・両当事者で均等に負担する

一部勝訴であれば、裁判所が決定する割合に応じて負担する。

敗訴当事者が負担する

下記のLitigation Costs(訴訟費用の条項)の実際の例文が参考になると思うので、ご覧ください。以下は例文のポイントです。

・ 原則、敗訴当事者の負担とし、一部勝訴なら裁判所が決定する割合です。仲裁費用も同じやり方です。

・ また、弁護士費用についてはreasonable sum(合理的な金額)と規定して、制限を設けています。

(ご参考):仲裁費用については、Cost of Arbitration(仲裁の費用負担)についてをご覧ください。

3)Litigation Costs(訴訟費用の条項)の実務上重要な意味合いと
注意点

Litigation Costs(訴訟費用の条項)は、単に「訴訟にかかった費用を誰が払うか」を定めるだけでなく、契約当事者の将来の行動や紛争解決のプロセスに大きな影響を与える、実務上重要な条項です。

訴訟提起への抑止力:

多くの契約で採用される「敗訴当事者が訴訟費用を負担する(loser pays)」というルールは、特に重要です。

この規定がある場合、訴訟を提起する側は、勝訴しなければ相手方の訴訟費用(特に高額になりがちな弁護士費用)まで負担するリスクを負うことになります。

これにより、安易な訴訟提起への強力な抑止力となり、当事者は訴訟を起こす前に、勝訴の見込みや費用対効果をより慎重に検討するようになります。

交渉における有利不利の形成:

この条項の有無や内容(例:弁護士費用の制限など)は、契約交渉において重要なポイントとなります。

・自社が「訴えられにくい立場」にいたい、あるいは「訴訟リスクを軽減したい」と考える場合、この条項によって相手方が訴訟をためらうような仕組みを設けることが考えられます(例:敗訴者が訴訟費用を負担する、という規定など)。

・逆に、相手方がこの条項を削除しようとしたり、内容を自社に不利なものにしようとしたりする場合は、将来の紛争解決方針について、相手方と深く議論する必要があります。

高額な費用リスクへの備え:

国際訴訟や複雑な商事訴訟では、弁護士費用が数千万以上に上ることも珍しくないと言われています。

この条項がない場合、勝訴しても自社の弁護士費用は自社で負担することになるため、勝訴しても「費用倒れ」になるリスクがあります。

Litigation Costs条項は、この高額な費用リスクをカバーする重要な役割を果たすため、契約締結前にその内容を十分に理解し、自社にとって最適な負担方法が規定されているかを確認することが極めて重要です。

仲裁費用への適用:

例文でも示されているように、この条項は訴訟だけでなく、仲裁にも適用されることが一般的です。

仲裁も紛争解決の手段として広く利用されており、その費用も高額になり得るため、仲裁費用に関する規定も同様に重要となります。

 

Litigation Costs条項は、契約の「おわりに」近い部分に置かれがちですが、その実態は、契約の「もしもの時」に、当事者の法的・経済的状況を大きく左右する、非常に実践的かつ重要な意味を持つ条項です。

契約書全体のリスク管理において、この条項を軽視せず、その内容を徹底的に確認することが求められます。

 

2.例文と基本表現:

(注):英文契約書の基本表現をハイライトしています。

Litigation Costs(訴訟費用の条項)の例文と基本表現

原則、敗訴当事者の負担とし、一部勝訴なら裁判所が当事者の配分を決定します。仲裁費用も同じやり方です。また、弁護士費用に制限を設けています。

LITIGATION COSTS

If any litigation or arbitration is commenced between Suppler and Distributor concerning any provision of this Agreement, the party prevailing in the litigation or arbitration is entitled, in addition to such other relief that is granted, to a reasonable sum as and for their attorney’s fees in such litigation or arbitration, provided that if each party prevails in part, such fees shall be allocated in such manner as the court or arbitrator shall determine to be equitable in view of the relative merits and amounts of the parties’ claims.

(訳):

訴訟費用 

本契約のいずれかの規定に関して、サプライヤーと販売店の間で訴訟または仲裁が開始された場合、訴訟または仲裁勝訴した当事者が、付与される他の法的救済に加えて、当該訴訟または仲裁にかかる弁護士費用として合理的な金額を受け取る権利を有する。 ただし、各当事者が部分的に勝訴した場合は、当該費用は、裁判所または仲裁人が両当事者の請求内容の優劣と請求金額を考慮して、公正であると決定する方法で割り当てられるものとする。

*litigation or arbitrationは、訴訟または仲裁という意味です。

the party prevailingは、ここでは、勝訴した当事者という意味です。 

is entitled toは、~する権利を有するという意味です。 

*reliefは、ここでは、(裁判所による)法的救済という意味です。

a reasonable sum as and for their attorney’s feesは、弁護士費用として合理的な金額と訳しています。

provided thatは、~を条件にという意味ですが意訳しています。詳しくは、provided thatとprovided, however, thatの意味と例文をご覧ください。

prevails in partは、ここでは、部分的に勝訴するという意味です。 

arbitratorは、仲裁人という意味です。 

determine to be equitableは、公正であると決定するという意味です。 

in view ofは、を考慮してという意味です。 

the relative meritsは、優劣という意味です。

 

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