Amendment Agreement(変更契約書)の解説と要点

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Amendment Agreement(変更契約書)について、その主要条項の要点を中心に解説します。

(目次)
1.Amendment Agreement(変更契約書)とは
2.Amendment Agreement(変更契約書)の構成と要点
 1)Premises (頭書)
 2)Recitals(前文)
 3)Description of Amendment(変更の内容)
 4)Survival(存続条項)
 5)Signature(署名欄)
3.契約レビューの重要ポイント:Amendment Agreement
     (変更契約書)作成・交渉の全体的な視点

1.Amendment Agreement(変更契約書)とは

最初に、Amendment Agreement(変更契約書)とは、

契約当事者間においてすでに締結済みのOriginal Agreement(原契約)の内容を変更する契約

のことをいいます。

2.Amendment Agreement(変更契約書)の構成と要点

Amendment Agreement(変更契約書)の構成は、以下の項目1)から項目5)のとおりです。これら五つの項目から成ります。

これら各項目は、英文契約書の契約条項に該当します。

以下に、各条項の要点についての解説が続きます。

(ご参考):

一般的な英文契約書の構成については、くわしくは、

英文契約書の構成(structure of contract)

をご覧ください。

1)Premises (頭書) :

Premises(頭書)は、

契約の発効日と当事者(会社の種類、会社設立の準拠法会社の本店所在地、会社の商号)を特定する

ことを目的とする条文です。

一般の英文契約書のPremises (頭書)と要領は同じですが、Amendment Agreement(変更契約書)では、

冒頭のThis Agreement(本契約)で始まる部分が、

This Amendment Agreement(本変更契約)

に置き換わります。

(ご参考):

Premises (頭書)の意味と例文について、くわしくは、

英文契約書の構成(structure of contract)

をご覧ください。

2)Recitals(前文):

Recitals(前文)とは、英文契約書に置かれる前文という意味です。

前文とは、契約の締結に至るまでの経緯、背景などを説明した条文のことをいいます。

一般の英文契約書のRecitals(前文)と要領は同じですが、Amendment Agreement(変更契約書)では、以下の二点に留意します。

ひとつは、変更の対象となるOriginal Agreement(原契約)を特定することが必要です。

そして、Original Agreement(原契約)を変更するに至ったBackground(経過)についての説明を入れます。

(ご参考):

Recitals(前文)の意味と例文については、

RecitalsとWITNESSETHとWhereas clauseの意味と例文

をご覧ください。

3)Description of Amendment(変更の内容):

Original Agreement(原契約)のどの条文が、どのような内容に変更されたのかを記載します。

変更のやり方は、大きく二通りあります。

ひとつは、Original Agreement(原契約)の条文の一部分を変更する場合に、

その変更となる部分を特定・引用した上で、ひとつひとつ、語句を置き換えていく

方法です。

もうひとつは、Original Agreement(原契約)の条文の一部分を変更する場合に、

その変更となる部分を含む条文全体を削除して、新しい条文に置き換える

やり方です。

どちらのやり方でもよいのですが、大事なことは、

変更の内容が明確になるよう表記する

ことが必要です。

なお、Original Agreement(原契約)については、修正されることがたびたびあるので、

最新版のOriginal Agreement(原契約)のコピーを別紙として添付する

のが確実といえます。

4)Survival(存続条項)

Survival(存続条項)とは、契約のどの規定が、契約が終了した後も効力を残しておくのかを明らかにするための契約条項です。

Amendment Agreement(変更契約書)では、変更の対象とならなかった、

Original Agreement(原契約)の他の規定は、影響を受けず、継続して有効である

ことを確認する条文を入れます。

(ご参考):

Survival(存続条項)の意味と例文については、

Survival(存続条項)|英文契約書の一般条項

をご覧ください。

5)Signature(署名欄)

一般の英文契約書のSignature(署名欄)の要領と同じですが、注意すべき点があります。

Original Agreement(原契約)においてAmendment and Alteration(修正・変更条項)が設けられている場合は、

Amendment Agreement(変更契約書)に権限のある署名者によるサインを要求

しているケースが多くあります。

その場合は、権限のある署名者以外の者がサインしないように注意することが必要です。

(ご参考):

Signature(署名欄)の内容については、

英文契約書のSignature(署名欄)について

をご覧ください。

(ご参考):

Amendment and Alteration(修正・変更条項)の意味と例文については、

Amendment and Alteration(修正・変更条項)

をご覧ください。

3.契約レビューの重要ポイント:Amendment Agreement(変更契約書)作成・交渉の全体的な視点

Amendment Agreement(変更契約書)は、すでに有効な契約(Original Agreement)の内容を修正するために用いられる重要な文書です。

契約締結後の状況変化に対応し、契約内容を最新の状態に保つために不可欠ですが、その作成や交渉には細心の注意が必要です。

以下の点を入念に検討することで、予期せぬリスクを回避し、契約の法的安定性を確保できます。

ア.変更の必要性と方法の検討

なぜ重要か?:

変更契約書は、契約の一部分を変更するのか、全体を書き換えるのか、追加するのかなど、目的に応じて最適な方法を選択する必要があります。

確認すべきポイント:

変更の範囲と影響:

変更しようとしている条項が、他の条項や契約全体にどのような影響を与えるかを事前に徹底的に分析しましょう。

一部の条項を変更するだけでは、全体として矛盾が生じたり、予期せぬ解釈の余地が生じたりする可能性があります。

既存条項の削除と追加:

単に文言を修正するのか、それとも既存の条項を完全に削除し、新たな条項を追加するのかを明確にしましょう。

Description of Amendment(項目3)で述べられているように、全体を置き換える方が変更点が明確になる場合もあります。

別紙(Exhibit)の活用:

変更箇所が多岐にわたる場合や、修正後の契約全体を明確にする必要がある場合、修正後の原契約の全文を別紙として添付する(Restated AgreementやAmended and Restated Agreement)ことも有効な手段です。

これにより、変更の履歴を追う手間を省き、最新の契約全体像を把握しやすくなります。

イ.原契約の「修正・変更条項(Amendment and Alteration Clause)」の確認

なぜ重要か?:

ほとんどの英文契約書には、契約の修正・変更に関する条項が設けられています。

この条項に従わない変更は、法的に無効となるリスクがあります。

確認すべきポイント:

書面による合意の要件:

変更がin writing(書面)であること、かつduly executed(正式に署名されている)ことが要求されるのが一般的です。

電子署名が認められるかどうかも確認しましょう。

署名権限者:

原契約でauthorized representative(権限のある代表者)やduly authorized officer(正当に権限を与えられた役員)など、変更契約書に署名する者の役職や権限が指定されている場合があります(項目5)。

これに違反すると、変更の有効性が争われる可能性があります。

事前の通知や同意の要件:

特定の変更に際して、第三者の同意や特定の期間前の通知が求められる場合もあります。

ウ.変更の「発効日(Effective Date)」と遡及効

なぜ重要か?:

変更契約書の発効日を明確にすることは、どの時点から変更された契約内容が適用されるのかを定める上で非常に重要です。

確認すべきポイント:

将来効か、遡及効か:

変更が将来に向かってのみ適用されるのか(例:変更契約書締結日から有効)、それとも過去に遡って適用されるのか(例:原契約の締結日に遡って有効)を明確に規定しましょう。

遡及効を持たせる場合は、その旨を明確に記載する必要があります。

法的安定性:

遡及効を持たせる場合、過去の行為に対する法的評価が変わる可能性があるため、特に慎重な検討が必要です。

エ.原契約の他の条項の継続的有効性(Survival)の明確化

なぜ重要か?:

変更された条項以外の原契約の条項が、変更後も引き続き有効であることを明確にすることが不可欠です。

これにより、変更されていない部分について改めて契約を締結する手間を省き、法的安定性を保ちます。

確認すべきポイント:

一般的な文言: 変更契約書には、「本変更契約で明示的に変更されない限り、原契約の他のすべての条項は完全に効力を有し続ける(Except as expressly amended hereby, all other terms and conditions of the Original Agreement shall remain in full force and effect.)」といった趣旨の条項を挿入するのが一般的です(項目4)。

この文言が適切に含まれているかを確認しましょう。

オ.法的レビューと記録管理

なぜ重要か?:

変更契約書は、原契約と同等の法的拘束力を持つ重要な文書です。

確認すべきポイント:

専門家によるレビュー:

重要な変更を行う場合は、必ず専門家にレビューを依頼し、意図しない法的影響がないか、適切な文言が使用されているかを確認しましょう。

記録の保持:

変更契約書は、原契約とともに適切に保管し、関連するすべての当事者(例:担当部署、経理部門)がその存在と内容を認識できるようにすることが重要です。

これにより、契約の解釈や履行における混乱を防ぎます。

管理台帳の更新: 契約管理台帳がある場合は、変更契約書の内容を反映して最新の状態に更新し、常に最新の契約内容が把握できるようにしましょう。

Amendment Agreement は、企業活動における柔軟性と適応性を確保するための重要なツールです。

しかし、その作成と交渉を怠ると、予期せぬ法的リスクやビジネス上の混乱を招く可能性があります。

上記のポイントを参考に、常に慎重かつ全体を見据えたアプローチで臨むことが、円滑な事業運営の鍵となります。

 

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