trade secret(トレードシークレット)の解説と例文

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英文契約書の秘密保持条項などで使われる特有な表現であるtrade secretについて解説します。例文をとりあげ、要点と対訳をつけ基本表現に語注をつけました。

1.解説:

1)trade secretとは

trade secretとは、

トレードシークレット(営業秘密、企業秘密)

のことを意味します。

2)trade secretと国内外の関連法令

日本:

日本において、営業秘密不正競争防止法により保護を受けるためには、以下の三つの要件があります。

①秘密管理性:秘密として管理されていること

②有用性:有用な営業上又は技術上の情報であること

③非公知性:公然と知られていないこと

海外:

知的財産権に関する国際条約であるTRIPS協定では、trade secretトレードシークレットについて、以下のように定義しています。

①一般に知られておらず、容易に知ることができない情報であること

②秘密であることにより、経済的価値のある情報であること

③情報を秘密に保持にするための合理的な措置がとられていること

米国の場合、trade secretの保護法令として、以下のものがあります。

州法であるUniform Trade Secrets Act(UTSA)

連邦法のDefend Trade Secrets Act of 2016 (DTSA)

UTSADTSAは、共に、trade secretの保護について、国際条約のTRIPS協定と同様の規定をおいています。

以上のように、海外の法規制では、trade secretの保護の要件として、情報を秘密に保持にするための合理的な措置が当事者に求められます。

そして、trade secretを秘密に保持にするための措置のひとつとして、契約書が活用がされます。

3)trade secretの使い方

trade secretについて、英文契約書が活用される代表的な例として、

NDA(秘密保持契約)又はConfidentiality(秘密保持条項)

Non-Competition(競業避止条項)

Works Made for Hire(職務著作条項)

があります。

そして、trade secretの保護を図るため、それぞれ、以下のような内容で規定されます。(青字部分)

NDA (注:雇用契約の場合):

『従業員は、就業中および退職後も、トレードシークレット(trade secret)等を含む会社の秘密情報について、秘密保持義務を負う』

Non-Competition(競業避止条項)

『従業員は、就業中および退職後の一定期間は、トレードシークレット(trade secret)等の流用につながる競業関係に立つ会社に勤務してはならない』

Works Made for Hire(職務著作条項)

『従業員が、職務として作成したトレードシークレット (trade secret) 等を含む成果物は、雇用者に帰属する』

2.例文と基本表現:

(注):上記で解説したtrade secret青文字で示し、基本表現をハイライトしています。

trade secret(トレードシークレット例文

業務委託契約のWorks Made for Hire(職務著作条項)からです。受託者が、職務として作成したトレードシークレット等を含む成果物は、委託者である会社に帰属します。

The Contractor agrees that the services to be performed pursuant to this Agreement, including all tasks, duties, results, inventions and intellectual property developed or performed pursuant to this Agreement, are considered “works made for hire” and that any such work is by virtue of this Agreement assigned to the Company and shall be the sole property of Company for all purposes, including, but not limited to, copyright, trademark, service mark, patent, and trade secret. In the event that any work created by the Contractor does not qualify as works made for hire, the Contractor agrees to assign his or her right in the work to the Company. The Contractor agrees to execute any and all documents prepared by the Company and to do all other lawful acts as may be required by the Company to establish, document, and protect such rights.

(訳):

受託者は、本契約に従って遂行される業務が、本契約により創作又は遂行される一切のタスク、職務、成果、発明及び知的財産を含み、「職務著作」とみなされ、かかる創作物が、本契約に基づき会社に譲渡され、著作権、商標、サービスマーク、特許、トレードシークレットを含むがこれらに限定されない一切の権利として会社の単独の財産となることに合意する。受託者が作成した成果物が職務著作にあてはまらない場合、受託者はその成果物の権利を会社に譲渡することに合意する。受託者は、会社が準備した一切の文書を執行し、かかる権利を確立、文書化及び保護するために、会社が求めた場合は、一切の法令上の行為を履行することに合意する。

(注):

*Contractorは、受託者という意味です。

*pursuant toは、に従ってという意味です。なお、次のpursuant toは、意訳(により)しています。

*developed or performedは、創作又は遂行されるという意味です。 

*works made for hireは、職務著作という意味です。

*by virtue ofは、に基づきという意味です。詳しくは、by virtue ofの意味と例文をご覧ください。

*In the event thatは、の場合にはという意味です。

*assigned toは、に譲渡されるという意味です。

*the sole propertyは、単独の財産という意味です。  

*including, but not limited toは、~を含むが、それらに限定されないという意味です。詳しくは、including, but not limited to/including, without limitationの意味と例文をご覧ください。

*assign his or her right in the work toは、その成果物の権利を~に譲渡するという意味です。 

*any and allは、一切のという意味です。

*as may be requiredは、に求められた場合はという意味です。 

*documentは、文書化するという意味です。

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