訳:
劣後する、従属する
意味合い:
subordinate(劣後する、従属する)は:
複数の権利、担保権、または契約上の地位が存在する場合に、自己の権利の優先順位(弁済順位や実行順位)を、他の特定の権利や担保権よりも低い位(後順位)におくことを意味する動詞・形容詞です。
法的解釈:
subordinate(劣後する、従属する)は:
権利の優先的効力を制限・変更する法的効果を持ちます。例えば賃貸借契約が抵当権等に劣後すると定めた場合、不動産の競売等が発生した際に、賃借人が買受人に対して自身の賃借権を対抗できなくなるという法的関係を確定させます。
実務のヒント:
subordinate(劣後する、従属する)は:
Subordination(劣後条項)、Intercreditor Agreement(債権者間協定)などで使用されます。金融取引や不動産取引で多用され、不動産賃貸借では「自動的に劣後する(be automatically subordinate to)」と規定して手間を省く工夫がなされます。ただし、賃借人側の実務としては、抵当権実行時にも立ち退きを免れるよう「Non-Disturbance Agreement(明渡不可請求協定)」の締結をあわせて求めるのが重要です。
類似・関連する用語との違い:
- prior to(~に優先する)との違い:
prior toは他の権利よりも先順位・優先であることを示します。これに対し、subordinateは他の権利よりも後順位に服するという逆の優先順位を指す点に違いがあります。 - subject to(~に従って・~に従属して)との関係:
subject toは広く他の条項や条件に従うことを指します。これに対し、subordinateは担保権の順位や債権の弁済順位といった法的な優先順位の劣後関係に特化して用いられる点に違いがあります。 - waive(放棄する)との関係:
waiveは権利そのものを全面的に放棄します。これに対し、subordinateは権利自体は保持しつつ、その順位のみを後回しにする点に違いがあります。
用法:
subordinate(劣後する、従属する)は:
主に、英文契約書のSubordination(劣後条項)などで使用されます。
- (文脈): 賃借権の法的順位を、対象物件に設定される既存または将来の抵当権等よりも後順位に置く文脈で使用されます。
- (例文での役割): 抵当権者等の優先権を確保するため、賃借人の権利を自動的に劣後させ、追加の合意書を作成することなく法的順位を確定させる役割を果たしています。
例文 subordinate(劣後する、従属する):
【Subordination(劣後条項)より】
This Lease Agreement and all rights of the Tenant hereunder shall be automatically subordinate to any and all mortgages, deeds of trust, or other ground leases that may now or hereafter affect the leased premises, without the necessity of executing any further legal instruments by either party.
(日本語訳)
本賃貸借契約および本契約に基づく賃借人のすべての権利は、賃借物件に現在または将来設定される一切の抵当権、信託証書、またはその他の土地賃貸借契約に対し、当事者による追加の法的文書の作成を要することなく、自動的に劣後するものとする。
例文の注記:
- shall be automatically subordinate to(自動的に劣後するものとする)は: 権利の弁済・対抗順位を後順位へ移行させる規定です。個別手続きなしに法的順位の劣後関係を効力化させる作用を持ちます。
- any and all mortgages, deeds of trust, or other ground leases(一切の抵当権、信託証書、またはその他の土地賃貸借契約)は: 優先される対象権利の範囲を包括的に指定する記載です。既存・将来の担保設定を網羅し担保権者の優先権を保つ機能を果たします。
- that may now or hereafter affect the leased premises(賃借物件に現在または将来設定される)は: 適用対象となる時期の幅を定める規定です。契約締結後の将来的な資金調達や担保設定に対しても適用を可能にする効果をもたらします。
- without the necessity of executing any further legal instruments(追加の法的文書の作成を要することなく)は: 順位変更に伴う手続的負担を排除する規定です。合意書面の再作成を不要とし実務手続の円滑化を実現する効果を発揮します。