訳:
~の上記の規定にかかわらず
意味合い:
notwithstanding the foregoing provisions of(~の上記の規定にかかわらず)は:
直前や前方に書かれた記述(foregoing provisions)のうち、特定の条項番号やセクションをピンポイントで指し示し、「その指定された規定があるにもかかわらず、本条項の内容を優先する」という、対象を限定した例外規定を置くための実務表現です。
法的解釈:
notwithstanding the foregoing provisions of(~の上記の規定にかかわらず)は:
単に「上記にかかわらず(notwithstanding the foregoing)」と書くだけでは、直前のどこからどこまでの文章が影響を受けるのかが曖昧になるリスクがあります。そのため、後ろに「Section 4(第4条)」などと明示することで、優先して打ち消す対象を法的に1点に絞り込み、他の箇所の法的効力はそのまま維持させるという、極めて精密な条文間の交通整理を行う効果があります。
実務のヒント:
notwithstanding the foregoing provisions of(~の上記の規定にかかわらず)は:
実務上、支払条件において「買主は請求書受領後30日以内に全額を支払わなければならない(第4条の原則)」と定めた後、別の場所で「ただし、請求内容に異議(間違い)がある場合は、第4条の規定にかかわらずその分の支払いをストップできる(例外)」というように、特定の義務に対してピンポイントでブレーキをかける場面で重宝されます。
類似・関連する用語との違い:
- notwithstanding the foregoing(上記にかかわらず)との違い:
notwithstanding the foregoingは直前の流れ全体を漠然と対象にするため影響範囲の境界線が曖昧になりがちですが、provisions ofの後に条項番号等を明示することで、どの規定を上書き・無効化するのかを完全に特定できる精緻さに違いがあります。 - subject to the provisions of Section X(第X条の規定に従うことを条件として)との違い:
subject to the provisions of Section Xは、指定された条項の内容に全面的にひれ伏し、それに拘束されることを意味します。これに対して、notwithstanding…は指定された条項の効力を部分的にストップさせて自らを優先させるため、関係性が真逆です。 - without prejudice to the provisions of Section X(第X条の規定を侵害することなく)との違い:
without prejudice to the provisions of Section Xは、指定された条項の法的効力や権利を100%残したまま新しいルールを並立させます。これに対し、notwithstanding…は指定条項の義務(支払期限など)を一時的にねじ曲げて例外を割り込ませるという違いがあります。
用法:
notwithstanding the foregoing provisions of(~の上記の規定にかかわらず)は:
主に支払条件条項(Payment Terms)、納品・検査条項(Delivery and Inspection)などで使用されます。
- (文脈):原則として定められた支払期限の義務がある中で、異議のある請求書(間違った請求など)については、その紛争が解決するまで支払いを拒否できる正当な権利を確保する文脈。
- (例文での役割):主節の冒頭で「Section 4(第4条)」を名指しにすることにより、第4条が持つ「期限通りの支払義務」の効力をこの場面に限り一時的に停止させ、買主の「支払留保権」を法的に正当化するリンクの役割を果たしています。
例文 notwithstanding the foregoing provisions of(~の上記の規定にかかわらず):
【Payment Terms(支払条件条項)より】
Notwithstanding the foregoing provisions of Section 4, the Buyer shall be entitled to withhold payment of any disputed invoice or portion thereof until such time as the parties resolve the dispute in good faith through mutual consultations, a competent court, or other dispute resolution mechanisms provided in this Agreement.
(日本語訳)
第4条の上記の規定にかかわらず、買主は、当事者間での誠実な協議、管轄裁判所、または本契約に定めるその他の紛争解決手段を通じて当該紛争が解決されるまでの間、異議の申し立てられた請求書またはその一部の支払いを留保する権利を有する。
例文の注記:
- the Buyer shall be entitled to withhold payment(買主は支払いを留保する権利を有する): 請求書に間違いや過大請求があってもひとまず払わなければならないという理不尽な状況を回避し、実務的に「正しいと分かるまではお金を出さない」という強力な交渉カードを買主に与えるための表現です。
- any disputed invoice or portion thereof(異議の申し立てられた請求書またはその一部): 請求書全体に間違いがある場合だけでなく、「一部の金額(例えば一部の品目の計算ミス)」だけが違っている場合も含め、その該当する部分(portion thereof)だけの支払いを止めるという実務的な細やかさを示しています。
- until such time as the parties resolve the dispute(当該紛争が解決されるまでの間): 支払いをいつまでも永久に拒否できるわけではなく、あくまで当事者間でその問題( dispute)に決着がつくまでの「暫定的な防衛措置」であることを期間として定義しています。
- through mutual consultations, a competent court(誠実な協議、管轄裁判所を通じて): 紛争を解決するための具体的なルートを例示しており、まずは話し合い(協議)から始め、決裂した場合は裁判などの公的手段へとステップを踏んで解決を目指すという、契約書全体の紛争解決プロセスとの整合性を意識した記述です。