訳:
両当事者、(複数の)当事者
意味合い:
parties(両当事者、(複数の)当事者)は:
英文契約における最も基礎的な名詞の一つであり、その契約を締結し、契約上の権利を享受すると同時に義務を直接負担することになる当事者(通常は、冒頭文で定義された Party A と Party B の双方)を複数形として一括して指す言葉です。
法的解釈:
parties(両当事者、(複数の)当事者)は:
契約の効力が直接及ぶ法的な主体の範囲(privity of contract)を画定する効力を持ちます。この言葉が主語として用いられる規定(例:the parties agree…)は、一方の当事者だけでなく、契約を交わした全員が「相互に」かつ「対等に」その法的な義務に拘束され、合意内容を遵守しなければならないという対抗力および双務性を基礎づける効果があります。
実務のヒント:
parties(両当事者、(複数の)当事者)は:
実務上、裁判管轄条項(Jurisdiction Clause)や準拠法条項(Governing Law Clause)において、紛争が発生した際の解決のルールを全員に対して一律かつ強制的に縛り付けるために活用されます。実務では、the parties hereby irrevocably agree(両当事者はここに確約し、取り消し不能な形で合意する)という表現を用いることで、将来いざ裁判沙汰になった際に、どちらの当事者であっても「自国法での裁判を求める」といった身勝手な不服申し立てを行う実務上の権利をあらかじめ根底から完全に剥奪し、紛争解決の場所を一本化します。
類似・関連する用語との違い:
- party(当事者)との違い:
partyは、契約の一方の側(単数)をピンポイントで指す言葉です。例えば「違反した当事者(the breaching Party)」や「通知を行う当事者(the notifying Party)」というように、特定の役割や義務を片方にだけ課す場合に使用されます。複数形の parties は、全員が等しくそのルールに従うという「共通の合意・義務」を規定する場面で使い分けられます。 - third party(第三者)との違い:
third partyは、契約の署名者ではない、外の世界にいる全く無関係なすべての個人や法人を指します。partiesが契約の内側にいる「主役たち(当事者)」を指すのに対し、third partyは契約の外にいる「部外者」を指すため、契約上の権利や義務が及ぶか否かの境界線として明確に対比されます。 - parties hereto(本契約の当事者)との違い:
partiesは、文章の流れ(文脈)によって「その文章に出てくる複数の登場人物」を広く指すことができる一般的な言葉です。parties heretoは、hereto(本契約への)という強い限定詞が付くことで、「本契約の冒頭に名を連ねて署名したまさにそのメンバー」であることを厳格に指定するため、契約書全体の特定力においてニュアンスの違いがあります。
用法:
parties(両当事者、(複数の)当事者)は:
主にJurisdiction(裁判管轄条項)などで使用されます。
- (文脈): 契約から発生した法的トラブルの解決場所(裁判所)について、後から当事者間で意見が割れることを防ぐため、全員が従うべき管轄の合意を確定する文脈で使用されます。
- (例文での役割): 契約上の義務を双方向で背負う「両当事者(the parties)」を主語に指定し、特定の裁判所(東京地方裁判所)の管轄に服することへの合意が、双方にとって「取り消し不能(irrevocably)」な形で成立していることを法的に確定させる役割を果たしています。
例文 parties(両当事者、(複数の)当事者):
【Jurisdiction(裁判管轄条項)より】
This agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan, and the parties hereby irrevocably agree that any legal action or proceeding arising out of or in connection with this agreement shall be subject to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court in the first instance.
(日本語訳)
本契約は日本法に準拠し、同法に従って解釈されるものとする。また、両当事者は、本契約に起因または関連して生じるあらゆる法的手続について、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに、取り消し不能な形で合意する。
例文の注記:
- shall be governed by and construed in accordance with(〜に準拠し、〜に従って解釈される)は: 契約の成否や内容の解釈、あるいは違反時の損害賠償の計算などをどの国の法律をベースに判断するか(準拠法)を決定する、英文契約に必須の最重要フレーズです。
- hereby irrevocably agree(ここに〜取り消し不能な形で合意する)は: 「一度サインした以上、後からどんな不満があっても、この合意をひっくり返すことは絶対に認められない」という、将来の言い逃れを法的に100%できないようする強い合意表現です。
- arising out of or in connection with(に起因または関連して生じる)は: 契約違反そのもののトラブル(arising out of)だけでなく、契約前の交渉段階のトラブルや知的財産の帰属問題など、この契約の周辺で起きる「あらゆる付随的な法的紛争(in connection with)」をも漏れなく管轄に引きずり込むための定番の網羅的なフレーズです。
- exclusive jurisdiction… in the first instance(第一審の専属的合意管轄)は: 他の裁判所に訴えを起こす権利を完全に排除(exclusive)し、日本国内外の他の場所ではなく、指定された裁判所(東京地裁)だけで最初の裁判(第一審)を行うことを強制する、実務上極めて影響力の大きい管轄確定文言です。