訳:
~に損害を与える、 ~を害する
意味合い:
prejudice(~に損害を与える / ~を害する)は:
権利、救済手段、あるいは法的な地位や主張を、毀損したり、弱めたり、不利益を及ぼしたりする行為を意味する動詞です。主に「ある特定の行為や権利行使をしたこと(またはしなかったこと)によって、他の正当な権利が損なわれることはない」という不利益防止の文脈で多用されます。
法的解釈:
prejudice(~に損害を与える / ~を害する)は:
Remedies(救済手段条項)やTermination(解除条項)において、当事者が法律上または契約上認められている重層的な権利を守るために機能します。一つの救済手段を選択したこと、あるいはその行使が遅れたことが原因となって、他のすべての権利や救済手段が自動的に消滅・制限されてしまうという不利益を法的に遮断します。
実務のヒント:
prejudice(~に損害を与える / ~を害する)は:
実務上、without prejudiece to…(〜に不利益を及ぼすことなく / 〜を害することなく)という定型表現として、解除条項の冒頭などに配置されます。これにより、「契約を解除したとしても、解除前に発生していた損害の賠償請求権は、何ら害されることなくそのまま存続する」という二段構えの法的な枠組みを確立します。
類似・関連する用語との違い:
- harm(~に害を及ぼす、傷つける)との違い:
harmは、物理的な損傷や一般的な実害を指して広く使われる言葉です。これに対して、動詞としてのprejudiceは、物理的な被害ではなく、法律上の「権利、資格、請求権、有利な地位」などが法的に不利な状態に置かれたり、無効化されたりするという抽象的な法的手続きの領域に特化して使用されます。 - waive((権利を)放棄する)との違い:
waiveは、自らの意思によって保有している権利を自発的に捨てる(手放す)行為を指します。これに対して、prejudiceは、特定の行為(または不作為)の副次的効果として「自らの他の権利を(望まない形で)結果的に害してしまう、不利益な影響を及ぼしてしまう」という関係性にあります。 - impair((価値や効力を)減じる、損なう)との違い:
impairは、契約の効力や財産の価値、あるいは権利の「実質的な強さ・機能」を物理的または法的に目減りさせる場合に使われます。これに対して、prejudiceは、相手方との対抗関係や手続きにおいて「法的な不利益や不利な立場(有利な請求権を失うなど)を相手に強制的に負わせる」というニュアンスが強いという違いがあります。
用法:
prejudice(~に損害を与える / ~を害する)は:
主に、Remedies(救済手段条項)で使用されます。
- (文脈): 契約に基づく権利の行使を怠ったり遅延したり、あるいは一部だけ行使したりした場合でも、それによって法律が認める他のすべての救済手段が損なわれることはない、と規定する文脈です。
- (例文での役割): 一部分の権利行使が、残りの権利や他のアプローチによる救済手段を「害したり、排除したりすることはない」という独立性を法的に担保する役割です。
例文 prejudice(~に損害を与える / ~を害する):
【Remedies(救済手段条項)より】
The failure or delay by either party to exercise any right or remedy under this Agreement shall not operate as a waiver thereof, nor shall any single or partial exercise of any right or remedy prejudice or prevent any further exercise of any other right or remedy provided by law.
(日本語訳)
いずれかの当事者が本契約に基づく権利または救済を行使しなかった場合、またはその行使を遅延した場合であっても、当該権利または救済を放棄したものとはみなされない。また、権利または救済の単独もしくは一部の行使が、法律上認められる他の権利または救済のその後の行使を害したり、これに不利益を及ぼしたりすることもない。
例文の注記:
- failure or delay… shall not operate as a waiver(行使の不履行または遅延は放棄として作用しない)は: 相手方の違反に対してすぐに抗議をしなかったからといって、その権利を永久に失う(黙認した)わけではないことを明確にし、実務上の猶予期間を確保するための表現です。
- single or partial exercise(単独もしくは一部の行使)は: 認められている権利の一部だけを差し当たり使った(例えば、未払金の一部だけを請求した)という事実を指します。
- nor shall… prejudice or prevent any further exercise(その後の行使を害したり妨げたりすることもない)は: 一部を実行したことを理由に、「もうその権利はすべて使い切った」とか「他の手段に変えることはできない」といった不利益な法的効果が発生するのを完全に防止する役割を持っています。 provided by law(法律上認められる)は: 契約書の中に明記されている救済手段(解除や違約金など)だけでなく、民法や商法などの適用法が一般的に認めているすべての救済手段(損害賠償請求権や差止請求権など)を漏れなくキープしておくための文言です。