訳:
(その者)が所持している、その所持にある
意味合い:
対象となる物や情報(特に秘密情報)を、ある当事者が物理的または実質的に「自分の手元に置いている」状態を指します。単に持っているだけでなく、その処分権限がある状態を含みます。
法的解釈 (Legal Interpretation):
秘密保持条項において、返還・破棄の対象となる情報の範囲を確定させる重要な表現です。in its possession or control(所持または管理下にある)と併用されることが多く、直接持っている場合だけでなく、委託先などに預けている状態まで網羅する法的効果があります。
実務のヒント (Practical Tip):
契約終了時に「何を返すべきか」の基準になります。物理的な紙媒体だけでなく、PC内のデータやクラウド上のストレージにあるものも「所持」に含まれるため、written certification(破棄証明書)をセットで要求し、履行を確実にさせるのが実務上の定石です。
類似・関係する用語との違い:
- in one’s control(その者の管理下にある)との関係:
possession は物理的な所持に重点がありますが、control は「自分では持っていないが、命令して返還・破棄させる権限がある」状態を含みます。 - held by(~によって保持されている)との関係:
ほぼ同義ですが、held by は保管場所や保管者に主眼を置くのに対し、in one’s possession は「所持しているという事実と、それに伴う義務」に主眼を置きます。 - owned by(~によって所有されている)との関係:
owned by は所有権の所在を指しますが、in one’s possession は「所有権が誰にあるかに関わらず、今現在持っている」という占有状態を指します。
用法:
主に Return or Destruction of Confidential Information(秘密情報の返還・破棄条項) や Audit(監査条項) で使用されます。
例文(in one’s possession:(その者)が所持している、その所持にある):
【Return or Destruction of Confidential Information(秘密情報の返還・破棄条項)より】
Upon termination of this Agreement, the Receiving Party shall promptly return or destroy all Confidential Information in its possession or control, including all copies thereof, and provide a written certification of such destruction to the Disclosing Party.
(日本語訳)
本契約の終了時、受領当事者は、その所持または管理下にある全ての秘密情報(その全ての複製物を含む)を速やかに返還または破棄するものとし、当該破棄に関する証明書を秘密開示当事者に対して書面にて提出するものとする。
例文の注記:
- in its possession or control(その所持または管理下にある): 自分の手元にある資料だけでなく、部下や外部委託先に預けている情報も含めて、責任を持って処理すべき範囲を広げています。
- including all copies thereof(その全ての複製物を含む): 原本を返せば済むのではなく、コピーやスキャンデータ、バックアップに至るまで一切を消去・返還させることで、情報漏洩の芽を完全に摘み取っています。
- provide a written certification of such destruction(当該破棄に関する証明書を提出する): 「破棄しました」という口頭の報告ではなく、「確かに破棄した」という法的な証拠書類を提出させることで、後日のトラブルを防いでいます。