訳:
プレスリリース条項、広報発表条項
意味合い:
Press Release Clause(プレスリリース条項)は:
契約の締結事実、取引の内容、または提携の進捗などについて、当事者がメディアや一般大衆に向けて公式な発表(プレスリリース、記者会見、SNSでの公表など)を行う際の手続きや制限を定める「条項そのもの」を指します。相手方の事前同意なしに一方的な発表が行われ、企業秘密が漏洩したり、企業のレピュテーション(社会的評判)が損なわれたりするのを防ぐ役割を持ちます。
法的解釈:
Press Release Clause(プレスリリース条項)は:
契約当事者に対し、「相手方の事前書面同意(prior written consent)がない限り、公の発表を原則として禁止する」という作為・不作為の義務を法的に課す効力を持ちます。ただし、上場企業における適時開示義務など、法律や証券取引所の規則に基づく強制的な開示については、この条項の禁止対象から除外する「法的例外(except…)」を設けるのが一般的です。
実務のヒント:
Press Release Clause(プレスリリース条項)は:
実務上、共同開発やM&Aなどの案件において、どのタイミングで、どのような文言(文面)で発表するかを事前に両者で一語一句すり合わせるための枠組みとして機能します。「同意を不合理に拒絶または遅延してはならない(shall not be unreasonably withheld or delayed)」という文言を追加することで、広報活動がスムーズに進むようバランスを取ることが多いです。
類似・関連する用語との違い:
- Confidentiality Clause(秘密保持条項)との違い: Confidentiality Clauseは、技術情報や営業秘密など、契約履行中に開示される具体的な「情報そのもの」を第三者に漏らさないことを広く網羅的に義務付ける条項です。これに対して、Press Release Clauseは、その秘密情報をもとにした「公式な広報発表やメディア向けの声明」という、対外的な情報発信のメディアコントロールの手続きに特化して制限をかける条項であるという違いがあります。
- Non-Disclosure Clause(守秘義務条項)との違い: Non-Disclosure Clauseは、主に契約交渉段階や取引の初期において、「現在交渉を行っている事実そのもの」や資料を外部に開示しないことを目的とする条項です。これに対して、Press Release Clauseは、契約が正式に成立した後の「商業的な広報マーケティング活動」において、ブランドイメージや市場へのインパクトを両当事者でコントロールすることを主目的とする違いがあります。
- Publicity Clause(パブリシティ条項)との違い: Publicity Clauseは、プレスリリースだけでなく、ウェブサイトでのロゴの掲載、顧客事例としての紹介、展示会でのアピールなど、マーケティングや広告宣伝における「相手方の名前や商標の利用」全般を広く規制する包括的な条項です。これに対して、Press Release Clauseは、その中でも特に新聞やニュースメディアに対する「公式なニュースリリース」のコントロールに焦点を絞った条項であるという違いがあります。
用法:
Press Release Clause(プレスリリース条項)は:
主に、独立した条項(Press Release / Announcements)として、または秘密保持条項(Confidentiality)の一部として使用されます。
- (文脈): 取引の存在や契約条件について、一方の当事者が独断で勝手にメディアに公表し、市場や競合他社に情報が漏れるのを防ぐ文脈です。
- (例文での役割): 相手方の事前の書面同意なしでの公式発表を厳格に禁止しつつ、法令や証券取引所規則による義務的開示のみを適法な例外として除外する機能を果たしています。
例文 Press Release Clause(プレスリリース条項):
【Press Release Clause(プレスリリース条項)より】
Neither party shall issue any public announcement, media statement, or official press release regarding the existence, terms, conditions, or performance of this Agreement without obtaining the prior written consent of the other party, except as may be strictly required by applicable laws, governing regulations, or the rules of any recognized stock exchange.
(日本語訳)
いずれの当事者も、適用法、準拠規則、または公認の証券取引所の規則により厳格に義務付けられる場合を除き、相手方の事前の書面による同意を得ることなく、本契約の存在、条件、または履行に関する公の発表、メディア向け声明、または公式のプレスリリースを行ってはならない。
例文の注記:
- existence, terms, conditions, or performance(存在、条件、または履行)は: 契約の具体的な中身(条件)だけでなく、「あの企業と契約を締結した」という事実そのもの(存在)や、現在順調にプロジェクトが進んでいるかという状況(履行)に至るまで、公表を制限する対象を漏れなく網羅する表現です。
- prior written consent(事前の書面による同意)は: 口頭での「いいよ」という軽い口約束によるトラブルを防ぐため、広報発表を行う前に、必ず相手方の権限ある担当者がサインまたは捺印した書面(または合意された電子書面)を形式的に取得しておくことを絶対条件とする役割を持っています。
- except as may be strictly required by(〜により厳格に義務付けられる場合を除き)は: 契約上の守秘義務よりも、公的な法律や規制が優越することを認め、法令違反になることを防ぐための必須の除外文言(セーフハーバー)です。
- rules of any recognized stock exchange(公認の証券取引所の規則)は: 当事者が上場企業である場合、投資家保護のために契約の締結などを速やかに開示(適時開示)しなければならないルールがあるため、その取引所規則に基づく開示行為を契約違反にしないための重要な免責要件です。