訳:
~の側に、〜の側における
意味合い:
on the part of(~の側に、〜の側における)は:
ある特定の行為、状態、感情、または責任などが、契約当事者のうち「どちらの側(どちらの当事者)」に帰属するものであるかを明確に指し示す表現です。契約書においては、過失や違反といった法的な責任の所在、あるいは義務の履行主体をピンポイントで特定し、曖昧さを排除するために使用されます。
法的解釈:
on the part of(~の側に、〜の側における)は:
法的な責任や義務の発生原因となる行為(過失、故意、契約違反など)が、特定の当事者によって引き起こされたものであるという因果関係を確定させる効果を持ちます。裁判や仲裁において損害賠償や補償を請求する際、その不適切な行為が間違いなく「相手方の側」で発生した事実であることを立証するための、法的な帰属の根拠として解釈されます。
実務のヒント:
on the part of(~の側に、〜の側における)は:
複数の当事者が関与する契約において、責任の範囲を自社と相手方で厳格に切り分けるための重要な境界線となります。特に損害賠償や補償の場面では、自社の負担を最小限に抑えるため、相手方の「どのような行為(軽過失、重過失、故意)」が原因である場合に補償義務が発動するのかを本表現を用いて詳細に規定し、予測不能なリスクを未然にコントロールすることが実務上不可欠です。
類似・関連する用語との違い:
- by(~によって)との違い:
by は行為の主体を直接的かつ能動的に示す(例:breach by the Party)のに対し、on the part of は「~の側で生じた、~の側における」という表現をとり、過失や状態といった名詞の後ろからその帰属先を修飾する傾向があります。法的な意味合いは近いですが、文章の構造や修飾する対象によって使い分けられます。 - on behalf of(~を代表して)との関係:
on behalf of は、法人の代理人や代表者が「その法人のために、またはその名代として」行為を行うという代理権や権限の行使を表します。これに対して on the part of は、行為や責任がどちらの当事者の側に帰属しているかという所在を表すため、意味や使用される文脈が全く異なります。 - in respect of(~に関して)との違い:
in respect of は、ある行為や対象に対する「関連性(~について、~に関して)」を広く表す表現です。これに対して on the part of は、関連性ではなく「特定の当事者の側における」という主体の帰属を限定的に指定するものであるため、機能が異なります。
用法:
on the part of(~の側に、〜の側における)は:
主にIndemnification(補償条項)などで使用されます。
- (文脈):一方の当事者が、相手方の側で発生した特定の過失や契約違反に起因する第三者からの損害を被った場合に、相手方に対してその損害を全面的に補償し、防御・免責することを義務づける文脈で使用されています。
- (例文での役割):補償義務を発生させるための大前提として、損害の原因となった過失や違反が、明確に「補償をしなければならない当事者(補償当事者)の側」にあることを特定し、無関係な損害まで補償させられるリスクを防ぐ役割を果たしています。
例文 on the part of(~の側に、〜の側における):
【Indemnification(補償条項)より】
Each Party shall indemnify, defend, and hold harmless the other Party hereto from and against any and all third-party claims, demands, liabilities, losses, damages, costs, and reasonable expenses arising out of or resulting from any negligence, willful misconduct, or breach of this Agreement on the part of the indemnifying Party.
(日本語訳)
各当事者は、補償当事者の側における過失、故意の不正行為、または本契約への違反に起因または関連して生じる第三者からのあらゆる請求、要求、責任、損失、損害、費用および合理的な経費について、相手方当事者を補償し、防御し、かつ免責するものとする。
例文の注記:
- indemnify, defend, and hold harmless(補償し、防御し、かつ免責する): 相手方が被った実損害を埋め合わせるだけでなく、第三者からの訴訟等に対して自らの費用で弁護士を手配して防御し、一切の法的責任から相手方を解放することを意味する補償条項の定型表現です。
- negligence(過失): 契約上または法律上の注意義務を怠ることを指し、故意と並んで不法行為や契約違反の責任を構成する重要な要素となります。
- willful misconduct(故意の不正行為): 結果が発生することを十分に認識しながら、あえてその行為を意図的に行う極めて悪質な不適切行為を指します。
- indemnifying Party(補償当事者): 契約において、相手方に損害が生じた際にその損失を埋め合わせ、補償を提供する側の義務を負う当事者を指します。