訳:
~を約因として、~を対価として
意味合い:
英米法上の概念である「約因(Consideration)」を指し、契約が法的に拘束力を持つために必要な、当事者間の相互の利益または負担の交換を指します。
法的解釈 (Legal Interpretation):
契約の成立要件を満たしていることを証明するための「宣言的フレーズ」です。単なる約束ではなく、互いに対価を出し合っていることを明示することで、裁判所において契約が有効であると認められるための根拠となります。
実務のヒント (Practical Tip):
前文(Recitals)の最後に必ず登場する定型句です。the receipt and sufficiency of which are hereby acknowledged(対価を受領し、それが十分であることをここに確認する)という表現とセットで使われます。
類似・関係する用語との違い:
- as payment for(~の支払いとして)との関係:
payment は具体的な「金銭の支払い」に限定されますが、consideration は「法的な利益や負担の交換(権利放棄等も含む)」という、より広い概念です。 - in exchange for(~と引き換えに)との関係:
日常用語に近い表現ですが、in consideration of は「対価関係がなければ契約が成立しない」という英米法上の厳格な成立要件(約因)をより強く意識した法的表現です。 - for value received(受領した対価のために)との関係:
どちらも対価性を指しますが、in consideration of は「これから行われる約束の根拠」を指すのに対し、for value received は「既に何らかの価値を受け取った事実」を強調する際に使われます。
用法:
主に Recitals(前文) から本文への移行部で使用されます。
例文(in consideration of:~を約因として、~を対価として):
【Recitals(前文)より】
NOW, THEREFORE, in consideration of the premises and the mutual covenants contained herein, and for other good and valuable consideration, the receipt and sufficiency of which are hereby acknowledged, the parties hereto agree as follows:
(日本語訳)
よって、ここに、既述の事実および本契約に含まれる相互の約定を約因として、ならびに他の正当かつ価値ある約因(その受領および十分性はここに確認される)を対価として、本契約の両当事者は次の通り合意する。
例文の注記:
- good and valuable consideration(正当かつ価値ある約因): 約因が形式的なものではなく、法的に有効で価値があるものであることを強調する伝統的な表現です。
- receipt and sufficiency of which are hereby acknowledged(その受領および十分性はここに確認される): 約因が確かに授受され、契約成立に十分な対価性があることを双方が認め、後日の争いを封じる文言です。
- agree as follows(次の通り合意する): 背景説明(前文)を終え、ここから先が法的拘束力を有する具体的な義務(本文)であることを宣言する境界線となります。