in its entirety

訳:

全体として、その全体を

意味合い:

一部の修正や削除に留まらず、対象となる契約や条項の「最初から最後まで丸ごと」を指します。既存の合意事項をすべて白紙に戻し、新しい内容に完全に置き換える際の包括性を強調する表現です。

法的解釈 (Legal Interpretation):

「特定の規定(provision)」との対比で使われ、契約の一部ではなく契約全体の効力を消滅させ、新しい合意に承継させる法的効果を持ちます。これにより、旧契約のどの部分が残るのかという疑義を排除し、完全な合意(Entire Agreement)の形成を促します。

実務のヒント (Practical Tip):

契約の全面改定(Restatement)を行う際、どの条項が修正されたかを個別に列挙する手間を省き、「本合意によって旧合意を丸ごと差し替える」と宣言することで、管理上のミスや新旧条項の矛盾を防ぐことができます。

類似・関係する用語との違い:

  • as a whole(全体として)との関係:
    as a whole は「個々の部分をバラバラに見るのではなく、一体として」という解釈の姿勢に重点がありますが、in its entirety は「範囲の網羅性(欠ける部分がないこと)」に重点があります。
  • in part(一部)との関係:
    in its entirety の対義語であり、契約の特定の部分のみを修正・削除の対象とする場合に使用され、残りの部分は効力を維持(remain in full force)させます。
  • exclusive of(~を除いて)との関係:
    特定の部分を「除外する」表現ですが、in its entirety は「何も除外しない」ことを宣言する際に、対照的な文脈で使用されます。

用法:

主に Amendment(修正条項)Entire Agreement(完全合意条項)Termination(終了条項) で使用されます。

例文(in its entirety:全体として、その全体を):

【Amendment (修正条項)より】
This Agreement may be amended only by a written instrument executed by both Parties. Any such amendment may replace a specific provision or the Agreement in its entirety, superseding all prior agreements between the Parties regarding its subject matter.

(日本語訳)
本契約は、両当事者が署名した書面によってのみ修正できる。当該修正は、特定の規定または本契約の全体を差し替えるものとし、本契約の主題に関する当事者間の事前の合意すべてに優先するものとする。

例文の注記:

  • written instrument executed by both Parties(両当事者が署名した書面): 口頭での合意による変更を認めず、証拠力の高い正式な文書による修正のみを有効とする「修正の厳格化」を図っています。
  • superseding all prior agreements(事前の合意すべてに優先する): 契約の書き換えが、単なる追記ではなく、過去のやり取りや合意を無効化(上書き)することを明示しています。
  • regarding its subject matter(その主題に関して): 優先される範囲を「本契約が扱うトピック」に限定し、本件とは無関係な他の契約まで意図せず失効させることを防いでいます。