訳:
いかなる場合も~ない
意味合い:
将来起こりうるあらゆる出来事や状況を想定し、そのすべてにおいて特定の責任や義務が発生しないことを宣言する、契約書で最も頻出する強い否定表現です。
法的解釈 (Legal Interpretation):
特定の損害(間接損害や派生的損害など)を賠償対象から外すための「免責条項」の核となります。even if… advised of the possibility(可能性を通知されていたとしても) という文句を伴うことで、予見可能性(Foreseeability)という法的概念を無効化し、免責を確定させる効果があります。
実務のヒント (Practical Tip):
事業者が「間接損害(二次的な損失)」まで責任を負うと、企業の存続を揺るがす事態になりかねません。この表現を使って責任の範囲を「直接損害」のみに限定することは、契約実務における生命線と言えます。
類似・関係する用語との違い:
- under no circumstances(いかなる状況下でも)との関係:
ほぼ同義ですが、under no circumstances はより「物理的な状況や手段」を制限する文脈に適し、in no event は「法的な結果の発生」を否定する際により好まれます。 - shall not(~しないものとする)との関係:
shall not は単なる禁止ですが、in no event shall は「例外や理由を一切問わず、決して」という強調が含まれ、より防御的な色彩が強いです。 - unless(~でない限り)との関係:
unless は例外を設ける接続詞ですが、In no event shall は「例外をそもそも認めない」という強い否定から文を開始するため、構造的な厳格さが異なります。
用法:
主に Limitation of Liability(責任制限条項)、Waiver(権利放棄条項)、Force Majeure(不可抗力条項) で使用されます。
例文(In no event shall:いかなる場合も~ない):
【Limitation of Liability(責任制限条項)より】
In no event shall either Party be liable to the other for any indirect, incidental, or consequential damages arising out of this Agreement, even if such Party has been advised of the possibility of such damages.
(日本語訳)
いかなる場合も、各当事者は、本契約から生じる間接的、付随的、または派生的損害について、相手方に対し責任を負わないものとする。たとえ、当該当事者がかかる損害の可能性についてあらかじめ通知を受けていた場合であっても同様とする。
例文の注記:
- indirect, incidental, or consequential damages(間接的、付随的、または派生的損害): 「利益の喪失(逸失利益)」など、直接の損害から波及して生じた損失を指し、これらを一括して免責対象としています。
- even if such Party has been advised(可能性を通知されていたとしても): 「あらかじめ危ないと伝えていたはずだ」という相手方の主張を封じ、予見できていたか否かにかかわらず免責するという強力な防御壁です。
- either Party be liable to the other(各当事者は相手方に対し責任を負わない): 片方だけでなく双方向の免責とすることで、条項の「公平性」を保ち、交渉をスムーズにする工夫がなされています。