in one’s sole discretion

訳:

(その者)の単独の裁量で、その単独の裁量で

意味合い:

他方の当事者の意見や承諾に左右されず、またその判断の理由を説明する義務もなく、「自分一人で自由に決めることができる」強力な決定権を指します。

法的解釈 (Legal Interpretation):

通常、契約における判断には「合理性(reasonableness)」が求められますが、この表現がある場合は、「客観的に見て合理的かどうか」を問わず、主観的な判断のみで決定できるという極めて高い自由度を付与する法的効果があります。

実務のヒント (Practical Tip):

譲渡条項(Assignment)や解約条項などで、「相手が嫌だと言えばそれまで」という状況を作る際に使われます。受け入れ側としては、せめて not to be unreasonably withheld(不合理に拒絶しない)という修正を求め、裁量の暴走を抑えようとする交渉がよく見られます。

類似・関係する用語との違い:

  • at its option(その選択により)との関係:
    at its option は「複数の選択肢から選べる」という権利に重点がありますが、in its sole discretion は「判断の基準そのものが自分にある」という裁量の強さを強調します。
  • subject to consent(同意を条件として)との関係:
    subject to consent は相手との合意が必要ですが、in its sole discretion は「相手の合意を必要としない(または拒否権が絶対的である)」という点で対極にあります。
  • reasonably determines(合理的に判断する)との関係:
    決定的な違いがあります。reasonably は「第三者から見ても妥当な理由」が必要ですが、sole discretion は「理由が主観的であっても良い」とされます。

用法:

主に Assignment(譲渡条項)Termination for Convenience(任意解約条項)Approval(承認条項) で使用されます。

例文(in one’s sole discretion:(その者)の単独の裁量で、その単独の裁量で):

【Assignment(譲渡条項)より】
Neither party may assign or transfer any of its rights or obligations under this Agreement without the prior written consent of the other party, which consent may be withheld in its sole discretion.

(日本語訳)
いずれの当事者も、相手方の事前の書面による同意なく、本契約に基づく自己の権利または義務を譲渡もしくは移転してはならず、当該同意を与えるか否かは、相手方の単独の裁量により決定できるものとする。

例文の注記:

  • without the prior written consent(事前の書面による同意なく): 勝手な権利譲渡を禁止し、必ず事前に相手方の許可を得ることを義務付けることで、契約当事者の固定(信頼関係の維持)を図っています。
  • consent may be withheld(同意は拒絶されることがある): 同意を求める権利はあるが、相手方にはそれを拒む権利(拒絶権)があることを明示しています。
  • in its sole discretion(単独の裁量により): 同意を拒絶する際に「合理的な理由」を説明する必要すらなく、「嫌だと言えば通る」という絶対的な拒絶権を片方に与えています。