influence

:

① (~に)影響を与える
② 影響

意味合い :

① 行為として: 他人の決定や行動を、特定の方向に導くために働きかけることを指します。特に腐敗防止条項では、公務員への不正な働きかけを禁止する文脈で使われます。

影響として: 本人の自由意思を阻害する外部からの圧力や支配を指します。契約締結時に「不当な影響(Undue Influence)」がなかったことを確認する文脈で重要となります。

法的解釈(Legal Interpretation) :

影響を与えるとして: 米国海外腐敗行為防止法(FCPA)等の文脈では、ビジネスを得るための「不正な意図を持った働きかけ」が厳格に禁止されており、その核心的行為をinfluenceと呼びます。

影響として: 英米契約法上の「不当な影響(Undue Influence)」は、一方の当事者が他方を支配する関係を利用して契約を結ばせた場合に、その契約を取り消し得る根拠(Vitiating factor)となります。

実務のヒント(Practical Tip) :

影響として:不当な影響を排除するため、一般条項(Miscellaneous)には「双方が独立した法的助言(Legal Advice)を得る機会があった」という文言を入れます。これにより、後から「相手に圧倒されて契約してしまった」という抗弁を封じることが実務上のセオリーです。

類似・関係する用語との違い :

  • affect(影響する)との違い:
    affectは事象の変化(結果)に重きを置きますが、influenceは意思決定のプロセスや「人を動かす力」に重きを置くニュアンスがあります。
  • control(支配する)との関係:
    controlは直接的な支配権(決定権)を指しますが、influenceはより広範で、間接的な働きかけも含みます。
  • duress(強迫)との違い:
    duressは暴力や脅迫による強制的・肉体的な圧力を指すのに対し、undue influenceはより微妙な、信頼関係を悪用した精神的な支配を指します。

用法 :

影響を与えるとして: 主にAnti-Corruption Clause(腐敗防止条項)で使用されます。公務員等への賄賂や不適切な働きかけを禁止する文脈です。

影響として: 主にMiscellaneous(一般条項)で使用されます。契約締結が自由意思に基づき、外部からの不適切な圧力がなかったことを確認する文脈です。

例文1((~に)影響を与える:Anti-Corruption(腐敗防止条項)から) :

The Distributor represents and warrants that it has not offered or paid, and shall not offer or pay, any money or anything of value to any government official for the purpose of influencing any act or decision of such official in order to assist the Company in obtaining or retaining business.

(日本語訳)
販売店は、会社の事業の獲得または維持を支援することを目的として、公務員の行為もしくは決定に影響を与えるために、当該公務員に対し、金銭または価値のある物品を、これまで提供もしくは支払っておらず、今後も提供もしくは支払わないことを表明し、保証する。

例文の注記 :

  • anything of value(価値のある物品):現金だけでなく、接待、旅行、贈答品など、あらゆる利益供与が禁止対象となることを示しています。
    obtaining or retaining business(事業の獲得または維持):賄賂の目的が商取引に関わるものであることを特定する、腐敗防止条項の標準的なフレーズです。
    government official(公務員):規制の対象となる相手方を定義しており、これには公的な役割を担うあらゆる人物が含まれます。

例文2(影響:Miscellaneous(一般条項)から) :

Each Party acknowledges that it has entered into this Agreement voluntarily and of its own free will, without any fraud, duress, or undue influence exerted by the other Party. Each Party further represents that it has had the opportunity to seek independent legal advice prior to the execution of this Agreement.

(日本語訳)
各当事者は、詐欺、強迫、または相手方による不当な影響を受けることなく、自発的に、かつ自らの自由意思に基づいて本契約を締結したことを確認する。また、各当事者は、本契約の締結に先立ち、独立した法的助言を受ける機会を得たことを表明する。

例文の注記 :

  • undue influence(不当な影響):不公平な利益を得るために行使される、不適切な精神的支配や圧力を指す法的用語です。
  • voluntarily and of its own free will(自発的に、かつ自らの自由意思に基づいて):契約の有効性の根拠となる、当事者の自由な合意(Mutual Assent)を強調しています。
  • opportunity to seek independent legal advice(独立した法的助言を受ける機会):後日、内容を理解していなかった等の主張を封じるための重要な防御規定です。