訳 :
権利侵害、侵害
意味合い :
特許権、著作権、商標権などの知的財産権を、正当な権限なく使用する行為を指します。名詞形である本用語は、条項内では「侵害の不在(表明保証)」や「侵害が生じた際の通知義務」といった、事象そのものを特定する言葉として多用されます。
法的解釈(Legal Interpretation) :
知的財産権のinfringementは、過失の有無にかかわらず発生し得る(無過失責任に近い性質を持つ)ため、実務では「知る限り(To the best of knowledge)」という限定を付けるか、あるいは「結果として侵害していれば責任を負う」という厳格な保証にするかが、交渉の大きな焦点となります。
実務のヒント(Practical Tip) :
「侵害の通知(Notice of Infringement)」を受けた場合の対応スピードについても、契約で定めておくのが一般的です。単に侵害しないと保証するだけでなく、実際に第三者からクレームが来た際に「速やかに相手方に知らせる義務」を課すことで、損害の拡大を防ぐ防衛策となります。
類似・関係する用語との違い :
- infringe(動詞)との関係:
「第三者の権利を侵害する(infringe)」という行為の結果として生じる「侵害(infringement)という事態」を指します。 - misappropriation(不正流用)との違い:
infringementが主に「登録された権利(特許等)」を侵す際に使われるのに対し、misappropriationは「営業秘密(Trade Secret)」などを不正に取得・使用することを指し、セットで記載されることが多いです。 - violation(違反)との違い:
violationは契約条項や法律全般への「違反」を広く指しますが、知財に関してはinfringementという専門用語を使うのが法的に正確です。
用法 :
主にRepresentations and Warranties(表明保証条項)で使用されます。自社の製品が第三者の権利を侵害しておらず、また侵害の訴えも受けていないことを確約する文脈です。
例文(infringement)Representations and Warranties(表明保証条項)から :
The Seller represents and warrants that the Products do not, and will not, infringe upon or misappropriate any patent, copyright, trademark, or other intellectual property rights of any third party. The Seller has not received any notice or claim alleging any such infringement as of the Effective Date.
(日本語訳)
売主は、本製品が第三者の特許権、著作権、商標権、またはその他の知的財産権を侵害しておらず、今後も侵害しないこと、および不正に流用していないことを表明し、保証する。売主は、効力発生日時点において、かかる侵害を主張する通知または請求をいかなる者からも受けていない。
例文の注記 :
- infringe upon or misappropriate(侵害または不正流用する):特許などの権利侵入(infringe)と、営業秘密などの盗用(misappropriate)の両方を網羅する定型表現です。
- as of the Effective Date(効力発生日時点において):表明保証が「いつの時点」の事実を対象としているかを明確にする、責任範囲の限定に不可欠な文言です。
- notice or claim(通知または請求):正式な訴訟(claim)だけでなく、警告状などの通知(notice)の有無まで開示対象に含めています。