訳:
意図的に
意味合い:
ある行為を、結果を認識した上で、計画的または自覚的に行う態様を指します。契約実務、特に秘密保持(Confidentiality)の文脈では、故意による漏洩を特定し、その責任を厳格に問うために使用されます。
法的解釈(Legal Interpretation):
intentionally(意図的に)による行動は、不注意(Inadvertently)による行動よりも法的帰責性が高まります。特に情報の開示においては、悪意(Bad Faith)の有無を判定する指標となり、損害賠償額の算定や、解除権の発生要件において重い意味を持ちます。
実務のヒント(Practical Tip):
秘密保持条項において、開示側としては「意図的か過失かを問わず」責任を負わせたいと考えます。一方で受領側としては、過失による軽微な漏洩は免責したいと考えますが、intentionally(意図的な開示)については、実務上いかなる言い訳も通用しない絶対的な義務違反として扱われることを覚悟すべきです。
類似・関係する用語との違い:
- Inadvertently(不注意に)との違い:
対義語に近い関係です。Inadvertentlyは「うっかり」ですが、intentionallyは「あえて」であり、法的責任の重さや免責の可否が大きく異なります。 - Willfully(故意に)との違い:
ほぼ同義ですが、intentionallyは行為者の意図(Intent)に、Willfullyは行為の自発性や強情さにニュアンスの重点がある場合が多いです。 - Deliberately(慎重に/意図的に)との違い:
Deliberatelyは「熟考した上で」というニュアンスが強く、intentionallyよりもさらに計画性が強調される表現です。
用法:
主にConfidentiality(秘密保持条項)やGeneral Provisions(一般条項)の中で使用されます。
- (文脈):義務違反の態様を特定し、開示の方法や手段を問わず、その行為が自覚的になされた場合に厳格な責任を課す文脈で使用されます。
- (例文での役割):秘密情報の漏洩が、わざと(intentionally)であれ不注意(inadvertently)であれ、等しく義務違反となることを強調しています。
例文((intentionally)Confidentiality(秘密保持条項)から):
The Receiving Party shall maintain the confidentiality of all Proprietary Information. This obligation shall strictly apply to any confidential information that is intentionally or inadvertently disclosed by the Receiving Party to any unauthorized third party in violation of this Agreement, regardless of the medium or method of such disclosure.
(日本語訳)
受領当事者は、すべての専有情報の機密を保持するものとする。本義務は、受領当事者が本契約に違反して、権限のない第三者に対し、意図的にまたは不注意に開示した機密情報すべてに厳格に適用され、開示の媒体または方法の如何を問わず適用されるものとする。
例文の注記:
- Proprietary Information(専有情報):企業が独自の権利を有し、機密として管理している情報。Confidential Informationと同義で使用される法的な保護対象です。
- intentionally or inadvertently(意図的にまたは不注意に):漏洩の主観的態様(わざとか過失か)を問わないことを示す、開示側にとって有利な包括的表現です。
- unauthorized third party(権限のない第三者):情報の受領権限を持たない者。ここへの開示が、契約違反(Breach)の構成要件となります。
- regardless of the medium or method(媒体または方法の如何を問わず):口頭、書面、電子メールなど、開示の手段を言い訳にさせないための網羅的なフレーズです。