訳:
取り返しがつかないほど、回復不能なまでに
意味合い:
irreparably(取り返しがつかないほど)は:
損害を与える程度が極めて深刻で、後から修正や修復を行うことが論理的または実務的に不可能であるという様態を表す副詞です。契約実務では「irreparably harm(回復不能なまでに損害を与える)」という動詞との組み合わせで、事態の緊急性と不可逆性を強調するために使われます。
法的解釈(Legal Interpretation):
irreparably(取り返しがつかないほど)は:
裁判所に対して、事後的な裁判による解決を待つ余裕がなく、「今すぐ(即時に)」措置を講じる必要があることを訴えるための修飾語です。この語が含まれる条項に同意していることは、万が一の際に相手方が「裁判を待て」という主張をすることを封じ、即時の救済(Immediate relief)を正当化する強力な証拠となります。
実務のヒント(Practical Tip):
irreparably(取り返しがつかないほど)は:
差止請求の条項において、「without the necessity of posting a bond(保証金の供託を必要とせずに)」というフレーズと併用されることが重要です。通常、差し止めには担保(保証金)が必要ですが、「損害が取り返しがつかないほど(irreparably)深刻である」という前提を共有しておくことで、この担保提供の免除を主張しやすくなる実務的メリットがあります。
類似・関係する用語との違い:
- Irretrievably(取り戻せないほど)との違い:
ほぼ同義ですが、Irretrievablyはデータの消失や信頼関係の破綻などに使われることが多く、法的損害についてはirreparablyが一般的です。 - Severely(深刻に)との違い:
Severelyは損害の「大きさ」を強調しますが、irreparablyは一度起きたら「元に戻せない」という質的な性質を強調します。 - Fatal(致命的に)との関係:
Fatalは「契約や事業そのものが終わる」ニュアンスが強いですが、irreparablyは特定の権利や情報価値が消滅してしまう文脈で好まれます。
用法:
irreparably(取り返しがつかないほど)は:主にConfidentiality(秘密保持条項)で使用されます。
- (文脈):情報の不正利用があった際、その価値が瞬時に失われ、事後的な修復が不可能であることを際立たせる文脈で使用されます。
- (例文での役割):違反が発生した際に、保証金の供託というハードルを越えてでも即座の差し止めが必要であることの論理的裏付けとして機能しています。
例文(irreparably)Confidentiality(秘密保持条項)から:
The Receiving Party acknowledges and agrees that any unauthorized disclosure or use of Confidential Information would irreparably harm the Disclosing Party, and therefore, in the event of any breach, the Disclosing Party shall be entitled to seek immediate injunctive relief from any court of competent jurisdiction without the necessity of posting a bond.
(日本語訳)
受領当事者は、秘密情報の不正な開示または使用が開示当事者を 回復不能なまでに損害を与えることを認識し、これに同意する。したがって、違反が発生した場合、開示当事者は、保証金の供託を必要とせずに、管轄権を有する裁判所に対し、即時の差止命令による救済を申し立てる権利を有するものとする。
例文の注記:
- unauthorized disclosure or use(不正な開示または使用):情報の流出そのものだけでなく、許可なく利用すること自体を損害のトリガーとしています。
- immediate injunctive relief(即時の差止命令による救済):通常の裁判手続きを待たず、緊急の仮処分などを求める意図を明確にしています。
- without the necessity of posting a bond(保証金の供託を必要とせずに):差し止め申立てに必要な多額の預け金(担保)を免除させる、実務的に非常に重要な特約です。
- in the event of any breach(違反が発生した場合):損害が実際に発生するのを待つのではなく、契約違反という事実だけで差止請求権が発動することを定めています。