訳:
裁判所命令
意味合い:
judicial order(裁判所命令)は:
裁判所が訴訟の当事者や第三者に対して、特定の行為を行うこと(または行わないこと)を公式に命じる司法上の指令です。秘密保持契約(NDA)においては、政府機関の要求などと並び、「これによる開示であれば秘密保持義務の違反(違反行為)とはみなさない」という例外を認める規定で必ず登場します。
法的解釈(Legal Interpretation):
judicial order(裁判所命令)は:
国家の司法権に基づく公権力の行使であり、契約当事者間の民事上の合意(守秘義務など)よりも法的な効力が上位に位置づけられます。したがって、裁判所命令に従って秘密情報を開示することは「違法性の阻却」となり、契約上の義務違反に問われないという法的地位が確立されます。
実務のヒント(Practical Tip):
judicial order(裁判所命令)は:
命令が出たからといって、すぐに無条件で何でも開示してよいわけではありません。実務上は、開示する側は「直ちに相手方に書面で通知すること(prior prompt written notice)」が義務付けられます。これにより、情報の本来の所有者が、裁判所に対して開示範囲を狭めるための保護命令(Protective Order)を申し立てるチャンスを確保します。
類似・関係する用語との違い:
- subpoena(召喚状/証拠提出命令)との違い:
subpoenaは主に「証人としての出頭」や「特定の書類の提出」をピンポイントで強制する命令を指しますが、judicial orderは裁判所が出すあらゆる指示・命令を包含するより広い概念です。 - injunction(差止命令)との関係:
injunctionはjudicial orderの一種であり、当事者に対して特定の侵害行為を大至急停止するよう命じる、実務上極めて影響力の強い強力な裁判所命令です。 - governmental regulation(政府規制)との違い:
governmental regulationが行政機関によって一般的に広く定められる「法規制」であるのに対し、judicial orderは司法機関(裁判所)が特定の具体的な事件や当事者に向けて個別に下す命令であるという違いがあります。
用法:
judicial order(裁判所命令)は:
主にConfidentiality(秘密保持条項)またはGeneral Provisions(一般条項)で使用されます。
- (文脈):契約によって厳格な義務(守秘義務など)を課されている当事者が、公権力によってその情報の開示を法的に強制された場合の免責条件を規定する文脈で使用されます。
- (例文での役割):例文では、秘密情報を開示せざるを得ない「正当かつ不可抗力的な法的理由」の筆頭として裁判所命令を規定し、開示者が事前に通知を行うことを条件に、秘密保持義務の違反から免責する役割を果たしています。
例文(judicial order)Confidentiality(秘密保持条項)から:
Notwithstanding any provision herein to the contrary, the Receiving Party may disclose the Confidential Information to the extent required by a judicial order, legally binding decree, or governmental regulation, provided that the Receiving Party gives the Disclosing Party prior prompt written notice of such requirement to enable the Disclosing Party to seek a protective order.
(日本語訳)
本契約のいかなる規定にかかわらず、受領当事者は、裁判所命令、法的拘束力のある判決、または政府規制により要求される範囲で秘密情報を開示することができる。ただし、受領当事者は、開示当事者が保護命令を求めることができるよう、かかる要求について開示当事者に事前に速やかに書面で通知することを条件とする。
例文の注記:
- Notwithstanding any provision herein to the contrary(本契約のいかなる規定にかかわらず):契約書内の他のいかなる厳しい制限(秘密保持の原則など)よりも、本条項の例外規定を最優先で適用するという強力なプレ引句です。
- judicial order(裁判所命令):守秘義務を解除せざるを得ない国家権力による強制的な指示であり、免責の直接の引き金(トリガー)となる文言です。
- provided that(〜を条件とする):例外的な開示が許されるための厳格な前提条件を設定しており、これを満たさない開示は単なる契約違反となります。
- prior prompt written notice(事前に速やかに書面で通知すること):情報が法廷に流出する前に、情報のオーナー側が法的な対抗措置を講じるための猶予時間を与えるための実務上必須の手続きです。