訳:
法的権限
意味合い:
legal power(法的権限)は:
法律や契約当事者の合意、あるいは組織の定款によって正当に与えられた、特定の法律行為を有効に行い、権利義務を発生・変更・消滅させることができる適法な権能を指します。英文契約では、サインをする当事者自身、またはその法人そのものが「この契約を結ぶための十分なバックボーンを保有していること」を客観的に証明・保証するために用いられます。
法的解釈(Legal Interpretation):
legal power(法的権限)は:
法的には、超能力的な「法律上の変更を起こす力」であり、この範囲内で行われた行為のみが有効な法律効果として確定します。万が一、会社や役員がこのlegal powerを逸脱して行った行為(例:定款の目的範囲外の行為)は、英米法において「目的外行為(Ultra Vires)」の法理により、原則として会社を拘束しない無効な行為とされる致命的なリスクをはらんでいます。
実務のヒント(Practical Tip):
legal power(法的権限)は:
海外企業とM&Aや大規模なライセンス契約を締結する際、相手方の代表者がこの「full legal power」を有しているか、サインを交わす前に必ず定款や取締役会の「議事録の抜粋(Incumbency Certificate:役員証明書)」を要求して確認するのが実務上の鉄則です。契約書内にこの文言を確約させておくことで、もし後から「社内の承認手続きが完了していなかった」という身勝手な理由で契約の履行を拒否された場合、即座に保証責任の追及や損害賠償へと持ち込むことができます。
類似・関係する用語との違い:
- legal capacity(法的能力)との違い:
legal capacityが法律上「権利義務の主体となりうる器や資格(未成年ではない等)」を広く指すのに対し、legal powerはその器を持った主体が、現実に特定の契約を締結して社会を動かすための具体的な法的実行力を指す違いがあります。 - lawful authority(適法な権限)との関係:
legal powerが法律や定款の根底から湧き出る「大枠の権能」を指すのに対し、lawful authorityは組織内での役職や委任状(Power of Attorney)によって個人にピンポイントで与えられた「具体的な執行権」を指し、実務ではセットで記載されます。 - discretion(裁量)との関係:
discretionは権限を与えられた枠内において、自分の判断で物事を決めてよいという「自由な選択の幅」を指すのに対し、legal powerはその前提となる、法的な効果を発生させるための根源的な資格そのものを指します。
用法:
legal power(法的権限)は: 主に表明保証条項(Representations and Warranties Clause)で使用されます。
- (文脈):契約締結のまさにその瞬間において、自社が管轄国の法律に基づいて適法に存在し、本契約に拘束されるための一切の法律上のパワーを不備なく保有していることを宣言する文脈で使用されます。
- (例文での役割):例文では、各当事者が自らの属する国家や地域の法律に違反することなく、契約書にサインをしてすべての義務を完全に実行できる強力な大前提を保有していることを確約するための重要表現として機能しています。
例文(legal power)Representations and Warranties(表明保証条項)から:
Each Party hereby represents and warrants to the other Party that it is a corporation validly existing under the laws of its jurisdiction, and has the full legal power and lawful authority to execute this Agreement and to perform all of its obligations in accordance with the terms specified herein.
(日本語訳)
各当事者は、相手方当事者に対し、自らが管轄区域の法律に基づき有効に存続する法人であり、本契約を調印し、本契約の条件に従ってすべての義務を履行する完全な法的権限および適法な権限を有することを表明し、保証する。
例文の注記:
- hereby(これによって): 本契約書のこの書面、この条項をもって、今この瞬間にその行為を公式に実行することを宣言する実務的なリーガル用語です。
- lawful authority(適法な権限): 法律の定めに合致し、社内の正規の手続きに基づいているという正当な合意形成の権限を指します。
- execute(調印する): 単にサインするだけでなく、署名や押印、交付を経て、契約書を法律上完全な状態に仕上げるという厳格な行為を意味します。
- specified herein(ここに定める): 契約書の外部のルールではなく、本契約書の内部にピンポイントで記載されている条件や規程をスマートに指し示す定型表現です。