legal provision

訳:

法的条項
法律の規定

意味合い:

① legal provision(法的条項)は:
契約書を構成している個別の箇条、規程、または約束事そのものを指します。英文契約の内部における独立したひとつの「取り決め」の単位であり、契約書の内側の約束を指していることを明確にするための表現です。

② legal provision(法律の規定)は:
契約書の外部に存在する、国家や政府機関、地方自治体などが定めた法令の条文そのものを指します。ビジネスを行う上で必ず順守しなければならない外側の公的な法体系を指していることを表します。

法的解釈(Legal Interpretation):

① legal provision(法的条項)は:
法的には、契約の成立後に裁判所によって一部の条項が無効・違法と判断された際、その不利益が契約全体に波及して全面無効になるのを防ぐための、分離条項(Severability)などの対象として法的な意味を持ちます。

② legal provision(法律の規定)は:
法的には、当事者の合意よりも上位に位置する強制法規(公序良俗など)を指し、いかなる契約内容であってもこの外部の法律の規定に違反することは許されないという、契約の有効性を根底から支配する法理的な効果を持ちます。

実務のヒント(Practical Tip):

① legal provision(法的条項)は:
自社に著しく不利な法的条項(過大な損害賠償など)が含まれていた場合、裁判所にその条項の無効を訴えることになりますが、契約の他の健全な部分まで道連れにされて失われないよう、分離条項とセットでこの言葉の適用範囲を制御することが実務上重要です。

② legal provision(法律の規定)は:
法令遵守条項において、この「法律の規定」を破った瞬間に即座に重大な契約違反とみなされるリスクがあります。防衛策として、対象範囲を「本契約の履行に直接適用される法律の規定」に限定し、自社が予期せぬ周辺法規の違反に巻き込まれるのを防ぐカスタマイズが極めて有効です。

類似・関係する用語との違い:

  • clause(条項)との違い:
    clause(条項)が契約書の中の第〇条、第〇項という「物理的な条文の区切り」を指すのに対し、①のlegal provision(法的条項)はその条文の中に込められた法的な権利義務の約束中身そのものを指すという抽象度の違いがあります。
  • statute(法令、成文法)との関係:
    statute(法令、成文法)が国会などで制定された文字通りの法律そのものを指すのに対し、②のlegal provision(法律の規定)はその法律や条例の中に含まれている個別の具体的な条文ルールを指すという全体と一部の関係にあります。
  • regulation(規則)との関係:
    regulation(規則)が主に政府機関や行政が定めた具体的な手続きやルールの全体を指すのに対し、②のlegal provision(法律の規定)は行政規則だけでなく憲法や法律まで含めたあらゆる法規範の規定を広く包括できる強さを持っています。

用法:

① legal provision(法的条項)は:
主にSeverability(分離条項)で使用されます。

  • (文脈):裁判によって契約の一部が違法・無効と切り捨てられた際、残されたクリーンな条項だけで契約を生き残らせる文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文1では、一部の条項が死んだとしても残りの契約全体の効力をビジネス上維持させるための対象として機能しています。

② legal provision(法律の規定)は:
主にCompliance with Laws(法令遵守条項)で使用されます。

  • (文脈):管轄する政府機関のあらゆるルールを、自分たちのサイフから実費を出して100%守り抜くことを誓わせる文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文2では、違反が起きた場合に隠蔽を許さず直ちに相手に書面で報告させるという、通知義務の引き金として機能しています。

例文1(法的条項:Severability(分離条項)から):

If any legal provision of this Agreement is held to be invalid, illegal, or unenforceable by a court of competent jurisdiction, such provision shall be modified to the minimum extent necessary to make it valid and enforceable, and the remaining provisions of this Agreement shall remain in full force and effect.

(日本語訳)
本契約のいずれかの法的条項が管轄権を有する裁判所によって無効、違法、または執行不能と判断された場合、当該条項はそれを有効かつ執行可能とするために必要な最小限の範囲で修正されるものとし、本契約の残りの条項は引き続き完全な効力を有するものとする。

例文1の注記:

  • invalid, illegal, or unenforceable(無効、違法、または執行不能): 契約の効力を完全に奪い去る、裁判所が下す3大否定判断を網羅した定型フレーズです。
  • modified to the minimum extent(最小限の範囲で修正される): 条項を丸ごと削除して契約に穴をあけるのではなく、有効化できるギリギリのラインで言葉を書き換える実務的な救済手続きです。
  • remaining provisions(残りの条項): 汚染されて無効になった部分以外の、影響を受けていない健全な他のすべての約束事を指します。
  • remain in full force and effect(引き続き完全な効力を有するものとする): 契約書が一部の不備によって崩壊することなく、今もなお有効に生き続けていることを確定するリーガル英語の定番です。

例文2(法律の規定:Compliance with Laws(法令遵守条項)から):

Each party shall, at its own sole expense, strictly comply with any applicable legal provision, statute, ordinance, and regulation of any competent governmental authority having jurisdiction over the performance of its obligations under this Agreement, and shall immediately notify the other party in writing if any violation of such laws occurs.

(日本語訳)
各当事者は、本契約に基づく義務の履行を管轄する権限を有する政府機関の、適用されるいかなる法律の規定、法令、条例、および規則も、自己の費用負担において厳格に遵守するものとし、かかる法律に違反が生じた場合は、直ちに相手方当事者に書面で通知するものとする。

例文2の注記:

  • at its own sole expense(自己の費用負担において): 規制をクリアするために発生する検査代や手続き費用を、相手方に1円も転嫁せず自腹で決済する経済的義務を課しています。
  • strictly comply with(厳格に遵守するものとし): 努力目標ではなく、1ミリの違反も許されない絶対的な遵守義務を発生させる強力な動詞句です。
  • competent governmental authority(権限を有する政府機関): 営業許可や輸出入の監査を行う、法的な取締権限を持った公式の行政・国家機関を指します。
  • immediately notify(直ちに通知する): 違反が発発覚した際、タイムラグによる損害の拡大を防ぐため、猶予なく最優先で相手に連絡を入れる実務上の最重要防衛線です。