Letter of Attorney

訳:

委任状

意味合い:

Letter of Attorney(委任状)は:
本人が第三者(代理人)に対して、自らに代わって特定の法的行為(契約書への署名、交渉、手続きなど)を行う公式な権限(代理権)を与えたことを証明する、独立した法的な書面を指します。英文契約においては、実際の交渉や調印の場に社長が出席できない場合などに、役員や現地の弁護士に正当な権限を与えてビジネスを代行させるための授権ツールです。

法的解釈(Legal Interpretation):

Letter of Attorney(委任状)は:
法的には、英米法における Power of Attorney (POA) と全く同義であり、これによって指名された代理人(Attorney-in-Fact)がサインした契約は、本人(会社)が直接サインしたのと全く同じ重さの法的拘束力を本人に対して発生させるという絶大な法的効果を持ちます。したがって、この書面が適法に成立していることは、のちに本人から「そんな権限は与えていなかったから、あの契約は無効だ」という無権代理(Unauthorized Agency)のハシゴ外し(言い逃れ)をされるリスクを法的に完全に撲滅する意味を持ちます。

実務のヒント(Practical Tip):

Letter of Attorney(委任状)は:
代理人の選任条項(Appointment of Attorney-in-Fact)において、代理人が勝手に暴走して会社の名前で不要な契約を結んでしまうリスクを制御しなければなりません。実務上の防衛策として、「その権限は、別紙添付の特定の委任状によって証明されなければならない(shall be evidenced by a separate executed Letter of Attorney)」と手続きをガチガチに縛っておくことで、口頭やメールでの曖昧な「代わりにやっといて」という指示を一切排除し、委任状に書かれた「特定のスコープ(範囲)」の行為しかできないように代理人の手足を縛る実務が不可欠です。

類似・関係する用語との違い:

  • Power of Attorney(委任状、代理権授与書)との違い:
    両者は法律上、完全に同じ「委任状」を指します。現代の英文契約の実務においては Power of Attorney(通称POA) の方が圧倒的に広く使われており、Letter of Attorneyはやや古風、またはイギリス連邦系の一部の法域で頑固に使われ続けている伝統的なバリエーションというスタイルの違いだけです。
  • Proxy(委任状、議決権行使委任状)との違い:
    Letter of Attorneyが契約締結やビジネス全般の広範な法的行為を行う「代理権」を授与する書面であるのに対し、Proxyは株主総会における「議決権の行使」という、ピンポイントかつ限定的なシチュエーションでの代理投票の権利を与える書面に特化して使われるという実務上の違いがあります。
  • Mandate(委任契約)との関係:
    Mandate(委任契約)が「仕事を頼む側と引き受ける側の、お互いの間の約束(契約)」を指すのに対し、Letter of Attorney(委任状)は「この男は、私の代わりにサインする正当な権限を持っています」と、外の世界の第三者(取引相手など)に見せて納得させるための証明書(書面)であるという、矢印の向きの違いがあります。

用法:

Letter of Attorney(委任状)は:
主にAppointment of Attorney-in-Fact(代理人の選任条項)や、M&A・合弁契約のクロージング手続きで使用されます。

  • (文脈):海外子会社の設立や大型アセットの買収において、「この現地の弁護士に、自社の代わりにすべての書類にサインする権限を正式に与える」と社外に宣言する文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、本人が代理人に対して「取消不能(irrevocable)」という強力な代理権を与えるにあたり、「その証拠として、別紙Bのフォーマットで別途作成された署名済みの委任状を提示しなければならない」という、権限の絶対的な発生条件として機能しています。

例文(Appointment of Attorney-in-Fact (代理人の選任条項)から):

The Principal hereby irrevocably constitutes and appoints the Agent as its true and lawful attorney-in-fact, with full power of substitution, to execute and deliver any necessary documents, provided that such authority shall be evidenced by a separate executed Letter of Attorney in the form attached hereto as Exhibit B.

(日本語訳)
本人は、代理人を、必要な文書を作成および交付するための復代理人選任権を含む完全な代理権を有する真の正当な代理人として、取消不能な形で任命する。ただし、かかる権限は、本書に添付の別紙Bの様式による別途署名済みの委任状によって証明されるものとする。

例文の注記:

  • irrevocably constitutes and appoints(取消不能な形で任命する): 一度この権限を与えた以上、本人の都合で後から勝手に「やっぱり今のなし」と途中でハシゴを外すことができない、代理人側の地位をガッチリ守る強力なコンビネーションワードです。
  • true and lawful attorney-in-fact(真の正当な代理人): 弁護士資格の有無を問わず、法律上、本人の生き写し(分身)としてすべての法的行為を行うことを公的に認められた正式な代理人であることを宣言する定型句です。
  • with full power of substitution(復代理人選任権を含む完全な代理権): 任命された代理人が、さらに忙しい場合などに「自分の代わりに別の第三者をピンチヒッター(復代理人)として指名して手続きさせる権利」までをあらかじめ本人から許可されていることを指します。
  • shall be evidenced by a separate executed(別途署名済みの〜によって証明されるものとする): 口頭での「代わりにサインして」という曖昧な依頼を完全にシャットアウトし、物理的に独立した、署名済みの確固たる書面(委任状)が存在することを発効の絶対条件とする防衛ルールです。