Litigation Cost Clause

訳:

訴訟費用の条項

意味合い:

Litigation Cost Clause(訴訟費用の条項)は:
契約に関連する裁判が発生した際、勝利した当事者(勝訴当事者)が、本来であれば自腹で支払うべき弁護士費用や裁判実費などの総額を、敗訴した相手方から回収できることをあらかじめ定めておく条項を指します。裁判を起こすこと、または理不尽な訴訟に対抗することの経済的ハードルを下げる役割を持ちます。

法的解釈(Legal Interpretation):

Litigation Cost Clause(訴訟費用の条項)は:
英米法の原則(特に「アメリカン・ルール」:訴訟費用は勝敗にかかわらず各自が負担する原則)を契約によって明示的に覆す法的効果を持ちます。この条項がない場合、米国などでの訴訟で勝訴しても、莫大な弁護士費用で結果的に「勝訴貧乏」になるリスクがあるため、契約による事前の修正が極めて重要な意味を持ちます。

実務のヒント(Practical Tip):

Litigation Cost Clause(訴訟費用の条項)は:
回収できる費用の範囲に「all reasonable attorneys’ fees(すべての合理的な弁護士費用)」という文言が含まれているかを確認することが実務上の最大のポイントです。「reasonable(合理的)」という限定を外すと、相手方が不当に高額な弁護士を雇った場合の費用まで押し付けられる危険があるため、裁判所が判断できる客観的なブレーキ枠を残しておく必要があります。また、この条項の存在自体が、根拠のない嫌がらせ訴訟(不当提訴)を思いとどまらせる強力な抑止力になります。

類似・関係する用語との違い:

  • attorneys’ fees clause との違い:
    attorneys’ fees clause(弁護士費用の条項)は文字通り「弁護士への報酬」の補填に限定してフォーカスする表現であるのに対し、Litigation Cost Clause は弁護士費用に加えて、裁判所に納める印紙代、鑑定費用、旅費など訴訟に付随する一切の実費(court costs)まで包括してカバーするという広いニュアンスの違いがあります。
  • American Rule との関係:
    American Rule(アメリカン・ルール)は各当事者が自分の弁護士代を払うという米国の一般原則を指すのに対し、Litigation Cost Clause はその一般原則を排除し、イギリス型の「敗訴者負担主義(English Rule)」を当事者間の合意によって人工的に作り出す関係にあります。
  • Indemnification Clause との関係:
    Indemnification Clause(補償条項)は主に「第三者から」訴えられた場合の損害や弁護士費用を肩代わりさせる契約上の仕組みであるのに対し、Litigation Cost Clause は「契約当事者同士が」直接裁判で殴り合った結果の費用精算に特化しているという違いがあります。

用法:

Litigation Cost Clause(訴訟費用の条項)は:
主に独立した一条項(Litigation Costs)として契約書の終盤(一般条項:Miscellaneous)に配置されます。

  • (文脈):契約違反があった際に、費用負けを恐れずに自社の権利を法廷で堂々と主張できるようにするため、また相手方に対して「負けたら膨大な弁護士費用まで背負うことになる」というプレッシャーをかけて契約遵守を促す文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、本契約の解釈や履行をめぐってバトルが起きた場合の「勝訴当事者(prevailing party)」に対し、かかったコスト全額を相手のポケットから毟り取る(回収する)ための法的な武器を与える役割を果たしています。

例文 :

【Litigation Cost Clause(訴訟費用の条項)より】
In the event that any litigation or other legal proceeding is brought by either party to enforce or interpret the terms of this Agreement, the prevailing party shall be entitled to recover from the other party all reasonable attorneys’ fees, court costs, and other litigation costs incurred in connection therewith.

(日本語訳)
いずれかの当事者が本契約の条項を履行または解釈するために訴訟その他の法的手続きを提起した場合、勝訴した当事者は、相手方当事者から、これに関連して発生したすべての合理的な弁護士費用、裁判費用、およびその他の訴訟費用を回収する権利を有するものとする。

例文の注記:

  • to enforce or interpret(履行または解釈するために):単に相手の明らかな違反を責める(履行強制)時だけでなく、「この条文の言葉の意味はどういうことか」を白黒はっきりさせるための解釈の裁判であっても、本条項が適用される範囲を設定しています。
  • prevailing party(勝訴した当事者):裁判において、自らの主張が実質的に認められた側の当事者を指す重要用語であり、この主体の特定が費用回収の絶対条件となります。
  • shall be entitled to recover(回収する権利を有するものとする):相手に対して直接その費用を請求し、法的に強制支払いを行わせることができる確定的権利を表す強い定型フレーズです。
  • incurred in connection therewith(これに関連して発生した):その裁判のために直接、または合理的に必要となって生じた費用であることを結びつけ、関係のない雑費まで請求されるのを防ぐ因果関係の文言です。