loss or damage

訳:

滅失または毀損、損失または損害

意味合い:

loss or damage(滅失または毀損)は:
売買契約や輸送契約の対象となっている製品・物品が、配送の途中や保管中に、物理的に消失すること(loss=滅失)、または物理的に傷つき、価値が下落すること(damage=毀損)を指します。天災地異、事故、盗難など、原因を問わず物品の物理的ステータスが悪化するリスクの総称です。

法的解釈(Legal Interpretation):

loss or damage(滅失または毀損)は:
「危険負担(Risk of Loss)」の議論において、最も中心となる法的概念です。物品が相手方に引き渡される前に、どちらの当事者の落ち度でもない不可抗力によって「loss or damage」が発生した場合に、その金銭的な損害(代金支払義務の存続や代替品納品義務)をどちらが泣き寝入りで負担するかという責任の分岐点を確定させる意味を持ちます。

実務のヒント(Practical Tip):

loss or damage(滅失または毀損)は:
国際売買契約や製造物供給契約において、単に「引き渡すまで売主が負担する」と曖昧に書くのではなく、インコタームズ(Incoterms:FOBやDDPなど)のどの条件を採用し、どの物理的な地点(港、船上、買い手の倉庫など)でリスクが自動移転するのかをミリ単位で厳密にすり合わせる必要があります。これにより、輸送保険をどちらが手配すべきかも明確になります。

類似・関連する用語との違い:

  • loss と damage の違い:
    loss(滅失)は火災で全焼した、海に沈んだ、盗まれたなど「物品の物理的な存在そのものがなくなること」を指すのに対し、damage(毀損)は製品の一部が割れた、濡れて動かなくなったなど「存在はしているものの、物理的に傷つき価値が損なわれること」を指すという違いがあります。
  • transfer of risk との関係:
    transfer of risk(危険負担の移転)は、物品に生じる「loss or damage」の責任を引き受ける担当者が、売主から買主へと法律上バトンタッチされるアクションやその瞬間を指すという関係にあります。
  • acceptance との関係:
    acceptance(検収、受入)は買主が届いた物品を検査し、契約通りであることを確認して正式に受け入れる行為を指し、この検収の完了をもって、loss or damage のリスクが完全に買主へと移転するという密接な関係にあります。

用法:

loss or damage(滅失または毀損)は:
主に Risk of Loss(危険負担条項) や Delivery / Shipment(配送・出荷条項)で使用されます。

  • (文脈):工場から出荷され、トラックや船で買い手の元へ運ばれる途中で、製品が事故や災害に巻き込まれて全損・破損した場合に、売主がタダで作り直さなければならないのか、それとも買主がそのまま代金を払わなければならないのかを決定する文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、指定された引渡場所(designated delivery point)で製品が買主に正常に配送され、かつ検収(accepted)されるその瞬間まで、発生したあらゆる滅失・毀損の責任(risk)を売主が背負い続けるべき対象として指定されています。

例文 loss or damage(滅失または毀損):

【Risk of Loss(危険負担条項)より】
The Seller shall bear all risk of loss or damage to any Products until such Products are successfully delivered to and accepted by the Buyer at the designated delivery point, at which time all such risk of loss or damage shall automatically pass to and be fully assumed by the Buyer.

(日本語訳)
売主は、指定された引渡場所において製品が買主に正常に配送され、かつ検収されるまで、製品の滅失または毀損に関するすべてのリスクを負担するものとし、その時点で、滅失または毀損に関するすべてのリスクは自動的に買主に移転し、買主が完全に負担するものとする。

例文の注記:

  • bear all risk(すべてのリスクを負担するものとし):道中で起きた事故が、売主の過失によるものか、あるいは運送業者のミスか、あるいは台風などの不可抗力によるものかを問わず、金銭的な不利益を一手に引き受けるという重い義務を表しています。
  • successfully delivered to and accepted by(正常に配送され、かつ検収される):単に買い手の敷地に荷物を「ドロップ(放置)」しただけでは足りず、買主側が中身を確認して問題ないと認める(検収する)まではリスクが移転しないという、買い手側に非常に有利な条件です。
  • automatically pass to(自動的に移転し):検収が完了したその瞬間、特別な書面の交わし直しなどを必要とせず、法律上の危険負担がリアルタイムで相手方にスイッチすることを明確にする実務的な表現です。
  • fully assumed by the Buyer(買主が完全に負担するものとする):リスク移転後に、倉庫で火災が起きて製品が全損したとしても、買主は「もう製品がないから代金は払わない」という言い訳ができず、代金全額の支払義務(または自己負担での処理)を丸ごと背負うことを意味します。