訳:
表明または保証をしない
意味合い:
make no warranties or representations(表明または保証をしない)は:
英文契約において、情報を開示する側や商品を販売する側が、「自分が提供するデータや物品の内容が100%正確であること、あるいは買い手の目的に完全に合致していることについて、一切の太鼓判を押さない(責任を持たない)」という姿勢を明確に宣言するフレーズです。
法的解釈(Legal Interpretation):
make no warranties or representations(表明または保証をしない)は:
法的には、英米法上の「表明(Representations:過去または現在の事実の主張)」と「保証(Warranties:将来の事実の担保・約束)」の双方を全面的に免責(Disclaimer)する強力な効果を持ちます。この文言が契約書にあることで、後から「もらった情報が間違っていたから損害が出た」と相手方に責め立てられても、「最初に一切保証しないと合意した」という法的盾(防壁)として機能します。
実務のヒント(Practical Tip):
make no warranties or representations(表明または保証をしない)は:
M&Aの初期段階(意向表明書)や、技術ライセンス、秘密保持契約(NDA)において、情報を差し出す側が自己防衛するために最も重要視する条項の1つです。実務上、相手に渡す資料に不可抗力の誤りが含まれているリスクをゼロにすることはできません。そのため、例文のように「本契約に明示的に規定されている場合を除き(Except as expressly set forth…)」と前置きした上で、明示・黙示を問わずすべての保証を切り捨てることで、不測の損害賠償請求から自社を守る実務が徹底されています。
類似・関係する用語との違い:
- disclaim(免責する)との違い:
disclaim(免責する)が「(発生し得る責任や保証を)放棄する、認めない」という行為そのものを直接表す動詞であるのに対し、make no warranties or representations(表明または保証をしない)は「いかなる表明も保証も、最初から構築・提供(make)することはない」という不作為の形で免責を達成する表現であるという違いがあります。 - as is(現状有姿で)との関係:
as is(現状有姿で)が「物や情報の状態を、今あるがままの姿で引き渡す」という客観的な条件を提示するのに対し、make no warranties or representations(表明または保証をしない)は「その引き渡すものに対して、主体的に一切の責任や保証を付与しない」という当事者の意思表示に焦点を当てている関係にあります。 - hold harmless(補償する、害が及ばないようにする)との関係:
hold harmless(補償する)が「損害が発生した際、相手方にその責任を追及しない(または肩代わりする)」という事後の救済に関する約束であるのに対し、make no warranties or representations(表明または保証をしない)は「そもそも保証違反という事態(責められる原因)を発生させない」という事前の予防線であるという違いがあります。
用法:
make no warranties or representations(表明または保証をしない)は:
主にConfidentiality(秘密保持条項)や、Representations and Warranties(表明保証条項)の免責規定で使用されます。
- (文脈):開示当事者が相手方に技術情報や事業データを渡す際、その情報の不完全性やエラーによって相手に生じた損害の責任をあらかじめ回避する文脈で使用されます。
- (例文での役割):例文では、契約内に特別に書いた例外を除いて、開示する秘密情報の「正確性」「完全性」「特定の目的への適合性」のすべてに対し、法的な保証を一切与えないという鉄壁の免責(ガード)として機能しています。
例文 make no warranties or representations(表明または保証をしない):
【Confidentiality(秘密保持条項)より】
Except as expressly set forth in this Agreement, the Disclosing Party shall make no warranties or representations, whether express or implied, with respect to the accuracy, completeness, or fitness for a particular purpose of any Confidential Information disclosed to the Receiving Party under the terms of this Agreement.
(日本語訳)
本契約に明示的に規定されている場合を除き、開示当事者は、本契約の条件に基づき受領当事者に開示される秘密情報の正確性、完全性、または特定の目的に対する適合性に関して、明示的か黙示的かを問わず、いかなる表明または保証もしないものとする。
例文の注記:
- Except as expressly set forth(明示的に規定されている場合を除き): 契約書の他の部分で「これだけは保証します」と特別に約束した例外事項のみをすくい上げ、基本ルールの免責と矛盾させないための重要なクッション言葉です。
- whether express or implied(明示的か黙示的かを問わず): 口頭や書面でハッキリ言ったこと(明示)だけでなく、法律上勝手に発生する「一般的な品質(商品性)の保証(黙示)」までも残さずまとめて排除するための強力な包括文言です。
- accuracy, completeness(正確性、完全性): 提供するデータに数字の誤り(不正確)や、必要なファイルの不足(不完全)があっても、それによるプロジェクトの遅延などの責任を一切負わないことを確定させる知財・情報開示の定番ワードです。
- fitness for a particular purpose(特定の目的への適合性): 相手方が「この秘密情報を使えば新しいシステムが開発できるはずだ」と特定の目的を勝手に期待していたとしても、その期待通りに機能するかどうかについては一切関知しないという強力な免責文言です。