訳:
重要情報、重要な情報
意味合い:
material information(重要情報、重要な情報)は:
M&A、投資契約、またはライセンス取引において、その事実を知っているか否かによって、当事者が「契約を締結するかどうか」、あるいは「どのような価格・条件で契約するか」という決定を左右するほど決定的な価値を持つ情報を指します。企業の価値評価(バリュエーション)の根幹に関わる情報を意味します。
法的解釈(Legal Interpretation):
material information(重要情報、重要な情報)は:
法的には、開示義務(Duty of Disclosure)の範囲や、表明保証違反における「不実表示(Misrepresentation)」および「詐欺(Fraud)」の成否を分ける決定的な基準となります。取引に重大な悪影響を与える事実(簿外債務の存在や、致命的な訴訟の提起など)を知りながら、あえてそれを相手方に伝えず隠蔽(または沈黙)した場合、法的な開示義務違反となり、契約の取消や巨額の損害賠償請求の直接的な根拠となります。
実務のヒント(Practical Tip):
material information(重要情報、重要な情報)は:
デューデリジェンス(資産・適正評価手続き)を伴う取引の実務において、売主側は「すべての重要情報を開示した」と主張し、買主側は「都合の悪い重要情報が隠されていた」と主張する泥沼の紛争が頻発します。実務上の防衛策として、データルーム(Data Room)に開示した全資料のインデックス(目録)を確定させ、「本インデックスに記載された資料を開示したことをもって、重要情報の開示義務を満たしたものとする」と契約書に落とし込み、開示範囲を物理的に固定する実務が非常に有効です。
類似・関係する用語との違い:
- confidential information(秘密情報)との違い:
confidential information(秘密情報)が「公になっておらず、当事者が秘密として管理している情報全般(重要性の高低を問わない)」を指すのに対し、material information(重要情報、重要な情報)は公知か否かに関わらず、「相手方の投資判断や意思決定を根底から変え得る決定的なインパクトを持つ情報」を指すという違いがあります。 - inside information(インサイダー情報)との関係:
inside information(インサイダー情報)が主に証券取引法などの規制において、一般投資家の判断に影響を与える上場企業の未公開事実を指す(違反には刑事罰が伴う)のに対し、material information(重要情報、重要な情報)は上場・非上場を問わず、個別契約の実務における取引の前提となる最重要事実を広く指すという違いがあります。 - proprietary information(専有情報)との関係:
proprietary information(専有情報)が特許やノウハウなど「その企業が独自の権利を保有し所有している資産としての情報」に焦点が当たるのに対し、material information(重要情報、重要な情報)は権利の有無に関わらず、契約締結の可否を判断するために不可欠な事実(不祥事や負債の事実なども含む)を広く包含するという違いがあります。
用法:
material information(重要情報、重要な情報)は:
主にRepresentations and Warranties(表明保証条項)やDisclosure(開示条項)で使用されます。
- (文脈):企業の買収や大規模な提携において、売主や対象会社が提供した情報が五月雨式で不完全なものではなく、取引の判断に必要な要素をすべて網羅していることを保証する文脈で使用されます。
- (例文での役割):例文では、デューデリジェンスの過程において、買主に誤認を与えないために「伝えるべき必須の事実」を一切省略(オミッション)していないことを売主に厳格に誓約させ、後からの「隠し事」の発覚に対して責任を追及できるフックとして機能しています。
例文 material information(重要情報、重要な情報):
【Representations and Warranties(表明保証条項)より】
The Seller represents and warrants to the Buyer that all documents and statements provided during the due diligence process are accurate, and that it has not omitted to state any material information necessary to make the statements therein not misleading in light of the circumstances under which they were made.
(日本語訳)
売主は買主に対し、デューデリジェンスの過程で提供されたすべての文書および陈述書が正確であり、また、それらの陳述書が作成された状況に照らして誤解を招くものでないようにするために必要な重要な情報を一切省略していないことを表明し、保証するものとする。
例文の注記:
- due diligence process(デューデリジェンスの過程):契約締結に先立って実施される、対象企業の財務、法務、事業に関する詳細な資産査定・調査の手続きを指します。
- omitted to state(一切省略していないこと):積極的な嘘(虚偽の陳述)をつかないことだけでなく、「都合の悪い事実をあえて黙っていること(沈黙による不開示)」も同等の違反として捉えるための厳格な表現です。
- not misleading(誤解を招くものでないように):提出されたデータの数字自体は嘘でなくても、全体の文脈として相手方が実態を見誤るような不親切な出し方をしてはならないという高い誠実性を求めています。
- in light of the circumstances(状況に照らして):情報が提供された当時の、客観的なビジネス環境ややり取りの背景をベースに置いて、その情報の妥当性を総合的に判断するという解釈の基準を示しています。