material provision

訳:

重要な条項

意味合い:

material provision(重要な条項)は:
契約書を構成する無数の条項(プロビジョン)の中で、その契約の主たる目的、対価の支払い、知的財産権の帰属、あるいは競業避止義務など、契約全体の骨組みを形成する「核心的な規定」を指します。通知の宛先変更手続きや、軽微な報告書の提出期限といった、本質に直接影響を及ぼさない付随的な条項(Minor Provision)と区別されます。

法的解釈(Legal Interpretation):

material provision(重要な条項)は:
法的には、どの条項の違反が契約全体の解除権(Right of Termination)を発生させるかという、違反の重要度をスクリーニングする役割を持ちます。一部の英米法判例においては、契約書に単に「違反があれば解除できる」と記載されていても、それが些細な規定の違反である場合は解除が無効とされるリスクがあります。そのため、あらかじめ「重要な条項」の不遵守に限定することで、判例法との整合性を取り、解除手続きの法的な確実性を高める効果があります。

実務のヒント(Practical Tip):

material provision(重要な条項)は:
「重要な条項(Material Provision)」という抽象的な表現のまま放置すると、実際に契約を解除したい局面で、「支払条項の違反は重要だが、報告義務の違反は重要ではない」といった不毛な解釈論争に巻き込まれます。実務上の回避策として、解除条項において「第○条(支払)、第○条(秘密保持)、および第○条(知的財産)を含むがこれらに限られない、本契約の重要な条項」という形で、自社にとって絶対に譲れないコア条項の条文番号を例示・特定しておく書き方が極めて有効です。

類似・関係する用語との違い:

  • provision(条項、規定)との違い:
    provision(条項、規定)が契約書に記載されている第1条から最後の条項にいたるまですべての文言・ルールをフラットに指すのに対し、material provision(重要な条項)は「そこが破られたら、もはや契約を維持する意味がなくなる」という主幹条項のみを選別して指すという違いがあります。
  • clause(条項、箇条)との関係:
    clause(条項)が主に「第○条」といった独立した文章の単位や形式的なブロック(例:Severability Clause)を指すことが多いのに対し、provision(規定)およびmaterial provisionは形式的な区切りにとどまらず、文章の中に含まれる特定の「実質的なルール内容、義務の中身」そのものを指すというニュアンスの違いがあります。
  • term(条件、契約条件)との関係:
    term(条件)が契約の有効期間(Term)や、取引の前提条件(Terms and Conditions)といった全体的な枠組み・条件性を指すのに対し、material provision(重要な条項)は契約書の中に具体的な文字として落とし込まれた、義務を発生させる個々の条文規定を直接的に指すという違いがあります。

用法:

material provision(重要な条項)は:
主にTermination(契約解除条項)やRemedies(救済手段条項)で使用されます。

  • (文脈):相手方に契約違反があった際、何でもかんでも即座に解約できるわけではなく、契約の根幹に関わる重要なルールを破り、かつ反省(是正)も見られない場合に限って最終手段としての解除を認める文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、非違反当事者が催告を経て契約を解除できる対象を「重要な条項の不遵守」に厳格に限定し、些細なミスを口実とした不当な契約破棄(不当解除)から自社を守るためのフィルターとして機能しています。

例文 material provision(重要な条項):

【Termination(契約解除条項)より】
Either party may terminate this Agreement upon written notice if the other party fails to comply with any material provision of this Agreement, provided that such failure is not cured within thirty days after the non-breaching party gives written notice requiring the breaching party to remedy the failure.

(日本語訳)
いずれの当事者も、相手方が本契約の重要な条項を遵守しない場合、書面による通知をもって本契約を解除することができるものとする。ただし、非違反当事者が違反当事者に対し、違反を是正するよう求める書面による通知を行った後、30日以内に当該違反が是正されない場合に限る。

例文の注記:

  • fails to comply with(遵守しない場合):契約で定められた禁止行為を行ってしまったり、義務とされた行為を怠ったりした不遵守の事実全般を広く捉える表現です。
  • non-breaching party(非違反当事者):契約を誠実に守っており、相手方の違反によって被害を受けた側の潔白な当事者を指す法的な用語です。
  • requiring the breaching party to remedy(違反を是正するよう求める):感情的な非難ではなく、違反状態を修復し、本来あるべき正しい状態に戻す(Remedy)よう公式に要求することを指します。
  • provided that such failure is not cured(是正されない場合に限る):「30日間の猶予」を与えたにもかかわらず、相手方がその期間内に違反を解決できなかったという結果を解除権発動の最終的な条件としています。