訳:
誠意をもって協議する、誠実に協議する
意味合い
negotiate in good faith(誠意をもって協議する)は:
当当事者間に意見の対立や紛争が生じた際、いきなり法廷で争うのではなく、互いに相手の立場を尊重し、真摯に歩み寄りの姿勢を示しながら問題の解決に向けて話し合いを行う義務を課す表現です。単に話し合いの席に着くだけでなく、合意形成に向けて合理的な努力を尽くすことが求められます。核心としては、相手を欺いたり対話を最初から拒絶したりしないというプロセスの誠実性にあります。
法的解釈(Legal Interpretation)
negotiate in good faith(誠意をもって協議する)は:
法的に必ず合意に達することという結果までは保証しないものの、端から合意を拒絶するような不誠実な態度をとってはならないというプロセスの誠実性を義務づけます。英米法においては、あまりに抽象的な協議義務は効力が不確実とされる傾向もありますが、期間や手順をセットで特定することで、紛争発生時の前置手続きとしての明確な法的拘束力を持たせることが可能になります。
実務のヒント(Practical Tip)
negotiate in good faith(誠意をもって協議する)は:
主に紛争解決条項(Dispute Resolution)において、多大なコストと時間を要する裁判や仲裁への突入を抑止するための重要なバリアとして機能します。実務上は、単に誠実に協議すると書くだけでなく、少なくとも30日間(for a period of at least 30 days)といった明確な交渉期間を設定することで、その期間中は相手方がフライングして訴訟を提起できないようにする防衛策が不可欠です。
類似・関係する用語との違い
- discuss(話し合う)との違い:discussが特定の条件交渉や譲歩の意図の有無を問わず、単に情報や意見を交換することを広く指すのに対し、negotiate in good faithは対立を解消して合意を結ぶという明確な目標に向かって互いに真摯に行動する義務を含んでいる点に違いがあります。
- best efforts(最善の努力を尽くす)との関係:
best effortsが目標達成のために、資金や人員の投入も含めて考え得るあらゆる合理的な手段を実行するという、より行動の強度を求める関係にあるのに対し、negotiate in good faithは相手を騙さず不当に拒絶せず誠実に対話する態度に焦点を当てるという違いがあります。 - settle amicably(円満に解決する)との関係:
settle amicablyが紛争の平和的な着地点や最終結果の状態を指すのに対し、negotiate in good faithはその円満解決という目的地に到達するために、当事者がとるべき必須の交渉プロセスを規定しているという関係にあります。
用法
negotiate in good faith(誠意をもって協議する、誠実に協議する)は:
主にDispute Resolution(紛争解決条項)で使用されます。
- (文脈):契約の解釈や履行を巡って当事者間にトラブルが発生した際に、法的な手続き(訴訟や仲裁など)に直接移行するのを防ぎ、まずはテーブルに着いて円満な解決を試みるべき期間を確立する文脈で使用されます。
- (例文での役割):例文では、法的手続きを開始する前の大前提(prior to initiating any legal proceedings)として、最低30日間は誠意をもって話し合うことを選択しなければならないという義務的ハードルを設ける役割を果たしています。
例文 negotiate in good faith(誠意をもって協議する):
【Dispute Resolution(紛争解決条項)より】 In the event of any dispute, controversy, or difference arising out of or relating to this Agreement, the Parties shall first attempt to resolve such matter amicably by electing to negotiate in good faith for a period of at least thirty (30) days prior to initiating any legal proceedings.
本契約に起因し、または関連して何らかの紛争、論争、または不一致が生じた場合、当事者は、法的手続きを開始する前に、少なくとも30日間、誠意をもって協議する(または誠実に協議する)ことを選択し、まず円満に当該事項を解決するよう努めるものとする。
例文の注記
- dispute, controversy, or difference(紛争、論争、または不一致)は、契約上の明確な違反の有無に留まりがちにならず、当事者間の見解や解釈の小さなくい違いから深刻な対立までを漏れなく対象とするための包括表現です。
- resolve such matter amicably(円満に当該事項を解決する)は、裁判所による判決といった強制的な第三者判断を仰ぐのではなく、当事者間の相互譲歩と合意によって和解に至ることを目指す言葉です。
- prior to initiating any legal proceedings(法的手続きを開始する前に)は、訴訟の提起や仲裁の申し立てを行うより前に、必ず通過しなければならない時間的・手続き的な順序を強制しています。
- a period of at least thirty (30) days(少なくとも30日間)は、誠実な協議のための形骸化を防ぐため、最低限キープしなければならない具体的な交渉期間の長さを法的に確定させています。