no less A than B

訳:

Bと同様にAな、Bに劣らずAな

意味合い:

no less A than B(Bと同様にAな、Bに劣らずAな)は:
契約上の義務や基準、あるいは注意の度合いを設定する際に、「Aの度合いや厳格さは、Bという基準と同等か、それ以上でなければならない(Bを下回ることは許されない)」という最低ライン(ボトムライン)を確保するための比較表現です。相手方に課すハードルを、すでに存在する客観的な基準(例:自社向けの基準や業界標準)にリンクさせて設定する際によく用いられます。

法的解釈(Legal Interpretation):

no less A than B(Bと同様にAな、Bに劣らずAな)は:
法的には、債務者が尽くすべき「注意義務(Standard of Care)」などの過失割合を測るための下限を合意する効果を持ちます。債務者が「自分としては十分にやった」と主張しても、それが「B(自社に対する注意など)」のレベルを下回っていれば、それだけで契約上の義務違反(善管注意義務違反など)があったと法的に看做される客観的な証拠として機能します。

実務のヒント(Practical Tip):

no less A than B(Bと同様にAな、Bに劣らずAな)は:
秘密保持契約(NDA)において、開示された情報を相手がどれくらい大切に扱ってくれるかを拘束するための実務的な生命線となります。情報を預かる側(受領当事者)に「業界最高水準で守れ」と要求すると反発されますが、「あなたが自分の会社のトップシークレットを守るのと同じレベル(no less stringent than… your own…)で我が社の情報も守ってください」と言えば、相手も拒否できなくなります。自社の情報が、相手方の杜撰な管理によってついでに漏洩させられるリスクを鉄壁の論理で防ぐ実務手法です。

類似・関係する用語との違い:

  • at least(少なくとも)との違い:
    at least(少なくとも)が「最低限、数値や基準としてこれ以上」という単なる下限のラインを提示するのに対し、no less A than Bは「Bという具体的な比較対象を引き合いに出し、それと同等以上に厳格である」という、実質的な質の高さを強く要求する点に違いがあります。
  • reasonable degree of care(合理的な注意義務)との関係:
    reasonable degree of careが「世間一般の常識的なレベルの注意」という抽象的な基準であるのに対し、no less A than B(本例文のケース)は「常識的なレベル(B)はもちろんのこと、自社の秘密を守るレベル(A)のどちらか高い方を下限とする」という、二重の安全網(セーフティネット)を張る関係にあります。
  • best efforts(最善の努力)との関係:
    best efforts(最善の努力)が、結果の達成に向けて「会社としての能力を最大限に尽くす行為」という主観的で広範な努力義務を課すのに対し、no less A than Bは注意の「厳格さの度合い」を既存の具体的なモノサシと比較して客観的に固定するという違いがあります。

用法:

no less A than B(Bと同様にAな、Bに劣らずAな)は:
主にConfidentiality (秘密保持条項)で使用されます。

  • (文脈):預けた秘密情報や資産を、相手方が手抜き管理によって紛失・漏洩させるのを防ぐため、管理レベルの下限を既存の基準と同期させる文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、開示された秘密情報を扱う際、受領側が自社の同種の秘密情報を守るための「厳格さ」と同等以上のレベルを義務付け、さらに一般の「合理的な注意」をも下回ることを禁止する強力な足枷として機能しています。

例文 no less A than B(Bと同様にAな、Bに劣らずAな):

【Confidentiality (秘密保持条項)より】
The Receiving Party shall treat the Disclosing Party’s Confidential Information with a degree of care that is no less stringent than the degree of care that the Receiving Party applies to protect its own confidential information of a similar nature, but in no event less than a reasonable degree of care.

(日本語訳)
受領当事者は、開示当事者の秘密情報を、受領当事者が同様の性質の自社の秘密情報を保護するために適用する注意の程度と同様に厳格な注意をもって取り扱うものとし、いかなる場合も合理的な注意を下回ってはならない。

例文の注記:

  • treat the Disclosing Party’s Confidential Information(開示当事者の秘密情報を取り扱う):義務の対象物を明確にしており、他社から預かった大切なデータやノウハウを適切に処遇・管理するプロセス全体を指しています。
  • applies to protect its own confidential information(自社の秘密情報を保護するために適用する):相手方の「社内管理基準」をそのままモノサシとして採用し、「自社のファイルと同じように鍵をかけ、同じようにアクセス制限をかけろ」という具体的な行動基準を突きつけています。
  • of a similar nature(同様の性質の):比較する対象を絞り込んでおり、単なる一般ゴミの管理ではなく、同じように価値のある機密データや顧客情報などのレベルと比較すべきであるという言い訳を封じのフレーズです。
  • in no event less than a reasonable degree of care(いかなる場合も合理的な注意を下回ってはならない):万が一、相手方の社内基準がもともと極端にズタズタで緩いものだった場合(自社基準と同等=ノーガードになってしまうリスク)に備え、「どれほどあなたの会社の基準が低かろうが、世間一般の常識的なライン(Reasonable)だけは絶対に死守しろ」という、最後のトドメの防衛策です。