No Third Party Beneficiary Clause

訳:

第三者利益条項

意味合い:

No Third Party Beneficiary Clause(第三者利益条項)は:
契約の当事者以外の第三者(子会社、関連会社、顧客、エンドユーザーなど)に対して、その契約に基づく法律上の権利や救済措置などを一切与えないことを宣言する条項です。契約から生じる責任の範囲が、予期せぬ第三者へ拡大することを防ぎ、当事者間(Privity of contract)のみに限定するために規定されます。

法的解釈(Legal Interpretation):

No Third Party Beneficiary Clause(第三者利益条項)は:
法的には、英米法における「契約の相対性(Privity of Contract)」の原則を補強し、第三者の権利を排斥する効果を持ちます。例えば英国の「1999年契約(第三者の権利)法」などでは、契約の中に第三者に利益を与える意図が推認される場合、その第三者が直接当事者を訴えることができると定めていますが、本条項を明記することにより、そのような法律の適用を明示的に排除(オプトアウト)することが可能になります。

実務のヒント(Practical Tip):

No Third Party Beneficiary Clause(第三者利益条項)は:
英文契約の実務においては、ボイラープレート(一般条項)としてThird Party Rights(第三者の権利条項)という単独の独立した条項として配置されるのが一般的です。実務上のリスク管理として、契約内容が第三者に漏れ聞こえた際に、「その契約のおかげで利益を得るはずだったのに、当事者が義務を怠ったから損害を被った」という第三者からの想定外の訴訟に巻き込まれる危険を根絶するために不可欠な規定です。

類似・関係する用語との違い:

  • assignment clause(譲渡条項)との関係:
    assignment clause(譲渡条項)が「契約上の地位や権利そのものを、承認を得て他人に譲り渡す手続き」をコントロールするものであるのに対し、No Third Party Beneficiary Clause(第三者利益条項)は「譲渡などをしていない、全く関係のない外部の第三者が、契約の受益者としての権利を主張すること」をはじめから否定するという違いがあります。
  • indemnification clause(補償条項)との関係:
    indemnification clause(補償条項)が「第三者からクレームを受けた際、その損害を当事者間でどのように補填し合うか」という損害の分配を定めるものであるのに対し、No Third Party Beneficiary Clause(第三者利益条項)は「そもそも第三者がこの契約を根拠に直接訴訟を起こす権利自体を認めない」という、訴訟を起こす資格(原告適格)そのものを制限する違いがあります。
  • successors and assigns(承継人および譲受人)との関係:
    successors and assigns(承継人および譲受人)は、企業の合併や正当な権利譲渡によって「当事者の地位を受け継いだ実質的な当事者」を指します。No Third Party Beneficiary Clauseでは通常、これらの正当な承継人「以外」の第三者を排除するという形で線引きが行われます。

用法:

No Third Party Beneficiary Clause(第三者利益条項)は:
主にThird Party Rights(第三者の権利条項)やMiscellaneous(一般条項)で使用されます。

  • (文脈):業務提携契約や製造物供給契約において、直接の取引相手ではないエンドユーザーや下請け業者が、当事者間の合意を根拠に権利を主張してくることを防止する文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、明示・黙示を問わず、契約の当事者および正当な承継人・譲受人以外の全ての個人・団体に対し、いかなる法的・衡平法上の権利や救済の付与も否定し、契約の影響範囲を厳密に制限する役割を果たしています。

例文 No Third Party Beneficiary Clause(第三者利益条項):

【Third Party Rights(第三者の権利条項)より】
Nothing expressed or implied in this Agreement is intended to or shall be construed to confer upon or give to any person or entity other than the parties hereto and their permitted successors and assigns any legal or equitable right, benefit, or remedy under or by reason of this Agreement.

(日本語訳)
本契約において明示的または黙示的に規定されているいかなる事項も、本契約に基づいて、または本契約を理由として、本契約の当事者およびその正当な承継人および譲受人以外のいかなる個人または団体に対しても、いかなる法的または衡平法上の権利、利益、または救済を与えることを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。

例文の注記:

  • Nothing expressed or implied(明示的または黙示的に規定されているいかなる事項も):文字通り直接書かれている文言だけでなく、契約全体のニュアンスや行間から「第三者を保護する意図があった」と推測される余地も含めて、全面的に否定しています。
  • confer upon or give to any person or entity(いかなる個人または団体に対しても与える):権利の対象者を「自然人(Person)」だけでなく「法人や組合などの組織体(Entity)」まで漏れなく指定し、あらゆる主体からの権利主張を排除しています。
  • permitted successors and assigns(その正当な承継人および譲受人):合併や買収、あるいは適法に許可された譲渡によって契約を引き継いだ者を「例外」として認めることで、正当な権利移転に伴う法的な事業継続を阻害しない配慮を行っています。
  • legal or equitable right, benefit, or remedy(法的または衡平法上の権利、利益、または救済):コモン・ロー上の金銭賠償(Legal)だけでなく、エクイティ上の差し止め請求(Equitable)なども含め、第三者が持ち得るすべての法的手段を網羅して制限しています。