訳:
契約に基づかない請求、契約外の請求
意味合い:
non-contract claims(契約に基づかない請求、契約外の請求)は:
契約書の条文を直接の根拠とする請求(契約上の請求)ではなく、不法行為(Tort)や不当利得、あるいは不実表示(Misrepresentation)など、法律の規定を直接の根拠として発生する金銭請求や法的主張を指します。当事者間で紛争が起きた際、契約違反による訴えだけでなく、契約外の法理を使ったあらゆる角度からの訴訟提起を想定する際に使用される表現です。
法的解釈(Legal Interpretation):
non-contract claims(契約に基づかない請求、契約外の請求)は:
法的には、準拠法条項(Governing Law)や裁判管轄条項(Jurisdiction)の適用範囲を、契約上の問題を超えて広範に拡張する効果を持ちます。英米法の判例では、単に「本契約から生じる紛争は〇〇法に準拠する」とだけ書いている場合、契約締結前の交渉段階での「詐欺的な嘘(不実表示)」や「製造物責任による不法行為」などの契約外の訴えには、その準拠法が適用されないと解釈されるリスクがあります。そのため、本フレーズを明記して、すべての請求を一括して特定の法律の支配下に置くように設計します。
実務のヒント(Practical Tip):
non-contract claims(契約に基づかない請求、契約外の請求)は:
英文契約においては、主にボイラープレート(一般条項)のGoverning Law(準拠法条項)やDispute Resolution(紛争解決条項)の中に必ず組み込むべき重要ワードです。実務において、紛争が泥沼化した際、相手方が「これは契約の解釈トラブルではなく、不法行為による損害賠償請求だから、契約書の準拠法や裁判所の指定は無効だ」と言い逃れして、自国に有利な別の裁判所で訴えを起こすといった管轄破りの戦術を未然に封じ込めるための決定的な防衛策となります。
類似・関係する用語との違い:
- dispute, controversy(紛争、論争)との関係:
disputeやcontroversyが「当事者間での意見の対立や、事実関係の争いそのもの」という広い揉め事の状態を指すのに対し、non-contract claimsはその揉め事を裁判に持ち込む際、契約書の違反ではなく不法行為法などの外側の法理に基づいて組み立てられた、具体的な法的主張や損害賠償の請求を指す違いがあります。 - governed by, and construed in accordance with(準拠し、同法に従って解釈される)との関係:
governed by, and construed…が、発生したトラブルをどこの国の法律を使ってジャッジし、言葉の意味を読み解くかという法的な処理ルールを指定しているのに対し、non-contract claimsはその指定された国の法律によって裁かれる対象となる、契約外の訴訟内容そのものを指す関係にあります。 - conflict of law principles(抵触法の原則)との関係:
conflict of law principles(抵触法の原則)が「複数の国の法律が絡む場合、どこの法律を適用すべきかを決めるための法律上の道しるべ(ルール)」を指すのに対し、non-contract claimsはその抵触法ルールをあえて排除(without giving effect)した上で、一律に指定の法律(例:日本の法律)に従わせる対象となる請求を指すという関係にあります。
用法:
non-contract claims(契約に基づかない請求、契約外の請求)は:
主にGoverning Law(準拠法条項)やJurisdiction(裁判管轄条項)で使用されます。
- (文脈):万が一、将来的に契約が破綻して裁判沙汰になった場合、いかなる種類の手続きや法的主張であっても、すべて自分が指定した国の法律のルール一本で裁かせるように外枠を固める文脈で使用されます。
- (例文での役割):例文では、本契約の履行や違反に関する紛争(Dispute)だけでなく、不法行為などの契約外の請求(non-contract claims)についても一括して「日本の法律」を適用し、他の法律の入り込む余地をなくすための包括的な網として機能しています。
例文 non-contract claims(契約に基づかない請求、契約外の請求):
【Governing Law(準拠法条項)より】
This Agreement, including any dispute, controversy, or non-contract claims arising out of, relating to, or in connection with the performance or breach of this Agreement, shall be governed by, and construed in accordance with, the laws of Japan, without giving effect to any conflict of law principles.
(日本語訳)
本契約は、本契約の履行または違反から生じる、関連する、またはこれに関連して生じるあらゆる紛争、論争、または契約外の請求を含め、抵触法の原則を適用することなく、日本の法律に準拠し、同法に従って解釈されるものとする。
例文の注記:
- arising out of, relating to, or in connection with(〜から生じる、関連する、またはこれに関連して生じる):契約に直接書かれていることだけでなく、契約の周辺や前提となる人間関係から発生した、およそ全てのトラブルを漏れなく一網打尽に回収するための定番の包括表現です。
- performance or breach(履行または違反):約束通りに仕事が進んでいる状態(Performance)に関する争いから、約束を破って決裂した状態(Breach)に関する争いまで、タイムラインの全域をカバーしています。
- laws of Japan(日本の法律):万が一の裁判の際、慣れ親しんだ自国の法律と言語で進められるよう、実務上の手続きや解釈の基準となる中心的な法体系を「日本法」に固定しています。
- without giving effect to any conflict of law principles(抵触法の原則を適用することなく):日本法を指定したにもかかわらず、「国際的なルールに照らすと、この件は相手国の法律が適用されるべきだ」という法律同士の適用優先順位の押し付け合い(抵触法)が発生し、指定がひっくり返るリスクをあらかじめ排除しています。