Non-Exclusivity of Remedies Clause

訳:

救済手段の非排他性条項

意味合い:

Non-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)は:
契約違反が発生した際に、契約書内に特定の解決策(損害賠償や違約金など)が書かれていたとしても、被害を受けた側がそれ以外の法律上の手段(差し止め請求や契約解除など)も自由に重ねて選択・行使できることをあらかじめ約束しておく条項を指します。この条項がないと、違反を起こした側から「契約書に損害賠償としか書いていないのだから、業務の差し止め請求までは認められないはずだ」と言い逃れをされ、被害の拡大を止められなくなるリスクが生じます。

法的解釈(Legal Interpretation):

Non-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)は:
法的には、契約で合意した救済手段が「排他的(それ一つ限定)」なものではなく、「累積的(cumulative:重ねて行使可能)」であることを確定させる効果を持っています。英米法の原則では、契約書に特定の救済方法が詳細に書き込まれている場合、裁判所が「当事者はこれ以外の救済手段を排除する意図だった」と解釈する危険(明示による排除の原則)があるため、本条項を明記することで、コモン・ロー(普通法)およびエクイティ(衡平法)が認めるすべての救済権利を網羅的にキープする明確な法的手続きとしての効果を発揮します。

実務のヒント(Practical Tip):

Non-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)は:
自社がサービスを受ける側や、ノウハウを厳重に守りたいライセンサー側(権利を出す側)に立つ場合、想定外の契約違反から自社の利益をフルに守るための必須のセーフティネットとして機能します。例えば、秘密保持契約(NDA)において、違反時の損害賠償額だけを定めておくと、相手にお金を払えば秘密を漏らし続けてもよいと誤解されかねません。この「救済手段の非排他性条項」を単独の条項として堂々とセットしておくことで、「損害賠償の請求はもちろん、裁判所への情報漏洩差し止め命令(Injunction)の申し立てなど、使える法律上の武器はすべて同時に使わせてもらう」という強い姿勢を実務上担保するために徹底されています。

類似・関係する用語との違い:

  • exclusive remedy(排他的救済手段)との違い:
    exclusive remedy(排他的救済手段)が、「違反時の解決策はこれしか認めない(例:製品の無償修理のみ)」と手段を一つに厳格に限定するのに対し、Non-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)は、「すべての解決策を重ねて、または並行して請求してよい」と真逆の自由度を認める状態を指すという決定的な違いがあります。
  • sole and exclusive remedy(唯一かつ排他的な救済手段)との違い:
    sole and exclusive remedy(唯一かつ排他的な救済手段)が、当事者が利用できる法的な解決策を一つだけに完全に封じ込め、裁判所への一切の他の訴えをシャットアウトするのに対し、Non-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)は、契約上の手段も法律上の手段もすべて「上乗せ(cumulative)」して行使できるオープンな状態を保障するという違いがあります。
  • Liquidated Damages(損害賠償額の予定条項)との関係:
    Liquidated Damages(損害賠償額の予定条項)は、違反があった場合の賠償額をあらかじめ固定する規定です。これにNon-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)が組み合わされていない場合、違反側から「予定された金額を払えば、これ以上の追加請求や差し止めは一切受け付けない」と主張されるリスクが生じるため、実務上は両者の調整が極めて重視される関係にあります。

用法:

Non-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)は: 主にNon-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項)自体として独立した条項で使用されます。

  • (文脈):契約書の終盤(雑則など)において、契約全体の総括として、あるいは違反時のペナルティを定めたセクションの直後において、本契約で個別に定めた救済方法が、当事者が持つ全ての法律上の権利を何ら制限するものではないことを宣言する文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、この条項自体が出典となり、契約に明示的な例外がない限りは、書かれている救済措置が他の手段を一切排除しないこと、大び法律上・衡平法上のあらゆる救済手段が累積的に追加されることを法的に確定させる重要なキーワードとして機能しています。

例文  Non-Exclusivity of Remedies Clause(救済手段の非排他性条項):

Except as otherwise expressly provided in this Agreement, no remedy conferred by any of the specific provisions of this Agreement is intended to be exclusive of any other remedy, and each and every remedy shall be cumulative and shall be in addition to every other remedy given hereunder or now or hereafter existing at law or in equity.

(日本語訳)
本契約に明示的に別途規定されている場合を除き、本契約の特定の条項によって付与される救済措置は、他の救済措置を排除することを意図するものではなく、すべての救済措置は累積的であり、本契約に基づき、または現在もしくは将来において法律上もしくは衡平法上存在する他のすべての救済措置に追加されるものとする。

例文の注記:

  • Except as otherwise expressly provided(明示的に別途規定されている場合を除き): 契約内の他の場所で「この違反については修理交換のみを唯一の救済とする」といった例外(排他的救済)が書かれている場合はそちらを優先するという、契約内の矛盾を防ぐための調整弁です。
  • shall be cumulative(累積的とする): 救済手段が「あれかこれか」の選択式ではなく、「あれもこれも」と積み重ねて(同時に、または順番に)請求できる性質であることを明確に宣言しています。
  • at law or in equity(法律上もしくは衡平法上): 英米法特有の表現で、金銭賠償を基本とする「コモン・ロー上の権利」と、差し止め命令や履行強制などを可能にする「衡平法上の権利」の双方を漏れなくカバーし、あらゆる法的手続きを可能にする効果を持っています。
  • no remedy conferred by any of the specific provisions(特定の条項によって付与されるいかなる救済措置も〜ない): 契約書内の個別条項でせっかく定めた救済措置が、他の汎用的な救済規定によって上書きされたり薄められたりして機能不全に陥るリスクを打ち消す、実務上極めて厳格な全否定の構文表現です。