Non-Solicitation Clause

訳:

勧誘禁止条項

意味合い:

Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項)は:
契約の当事者が、相手方の従業員、顧客、取引先などに対して、自社への引き抜きや他社への乗り換えを働きかける不当な勧誘行為(Solicitation)を禁止する法的効力を指します。特にM&Aの検討段階、業務委託契約、合弁事業において、協業 the 過程で開示された相手方の貴重な人材や人脈のネットワークを、契約終了後などに自社に都合よく掠め取られるリスクを未然に防ぐために機能します。

法的解釈(Legal Interpretation):

Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項)は:
法的には、英米法上の「営業の自由の制限(Restraint of Trade)」に該当するため、その効力が認められる範囲が合理的なレベルに限定されているかが厳格に審査されます。具体的には、対象となる従業員の範囲、禁止される期間(一般的には契約終了後1〜2年間)、および地理的な範囲が、相手方の正当な事業利益を保護するために真に必要な限度を超えていないことが、裁判所で執行可能性(Enforceability)を認められるための絶対的な要件となります。

実務のヒント(Practical Tip):

Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項)は:
実務上、「積極的な勧誘(Solicitation)」と「偶発的な応募(General Advertisement)」の境界線を明確にするための防御策が極めて重要です。単に「引き抜き禁止」とだけ書くと、相手方の従業員が自発的に公募求人を見て応募してきた場合にまで違反となるのかが曖昧になります。これを解決するために、「一般に公開された求人広告(新聞やWebサイト)に対して、従業員が自発的に応募し、直接の働きかけを行わずに採用された場合は、本条の違反とはみなさない」という例外規定(Carve-out)を明記しておく実務が、不要な紛争を回避するために非常に有効です。

類似・関係する用語との違い:

  • Non-Competition Clause(競業避止条項)との違い:
    Non-Competition Clause(競業避止条項)が「相手方と競合する同種ビジネスを行うことそのものを全面的に禁止する」という非常に広範な営業制限を課すのに対し、Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項)はビジネス自体は自由に行ってもよいが、相手方の特定の従業員や顧客に直接アプローチして奪う行為のみをピンポイントでピン留めして禁止するという、より制限が狭く実務上も認められやすい性質であるという違いがあります。
  • Confidentiality Clause(秘密保持条項)との関係:
    Confidentiality Clause(秘密保持条項)が「開示された技術や顧客リストなどの情報を第三者に漏洩・悪用させない」という情報の財産価値を守るのに対し、Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項)はその情報(顧客名簿や技術担当者の連絡先など)を利用して、実際に引き抜きという具体的なアクションを起こす実力行使を直接的に差し止めるという補完関係にあります。
  • No-Hire Clause(採用禁止条項)との関係:
    Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項)が「こちらから積極的に声をかけて引き抜く行為(勧誘)」を禁止するにとどまるのに対し、No-Hire Clause(採用禁止条項)は「理由や経緯を問わず、結果として相手方の従業員を自社で雇い入れることそのものを一律に禁止する」という、より当事者の行動を厳格にロックする強力な網をかけるという違いがあります。

用法:

Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項)は:
主にM&A・組織再編に関する基本合意書サービス提供に関する業務委託契約書権利・秘密保持に関するNDA(秘密保持契約書)で使用されます。

  • (文脈):共同プロジェクトの打ち合わせやデューデリジェンスの過程で、相手方の優秀なエンジニアや営業幹部と直接接点を持つ機会が増えるため、協業のチャンスに乗じて自社の人材を引っこ抜かれるという裏切り行為をあらかじめ封印する文脈で使用されます。
  • (例文での役割):例文では、契約期間中のみならず、契約が終了した(失効した)後であっても、そこから起算して正確に1年間は、相手方の従業員や顧客に対して関係を解消するよう働きかけるアプローチをしてはならないという時間的な拘束力を明確にする役割を果たしています。

例文  Non-Solicitation Clause(勧誘禁止条項):

During the term of this Agreement and for a period of one (1) year after the expiration or termination thereof, neither Party shall, directly or indirectly, solicit, induce, or attempt to solicit or induce any employee, consultant, or client of the other Party to terminate their relationship with such other Party.

(日本語訳)
本契約の期間中およびその満了または終了後1年間は、いずれの当事者も、直接または間接を問わず、相手方の従業員、コンサルタント、または顧客に対し、相手方との関係を解消するよう勧誘、誘導、または勧誘もしくは誘導しようと試みてはならない。

例文の注記:

  • directly or indirectly(直接または間接を問わず): 自社が直接声をかけるケースだけでなく、子会社や関連会社、あるいは人材紹介会社(ヘッドハンター)などをダミーとして間接的に間に挟んで引き抜こうとする裏道ルートも一網打尽にして禁止する表現です。
  • solicit, induce, or attempt to solicit or induce(勧誘、誘導、または勧誘もしくは誘導しようと試みてはならない): 実際に引き抜きや乗り換えという結果が完了したかどうかにかかわらず、メールや会食などで「うちに来ないか」「関係を辞めたらどうか」と働きかけたり、そのために誘いをかけようとしたりした行為そのものを広く捉えて違反とするための厳格な文言です。
  • employee, consultant, or client(従業員、コンサルタント、または顧客): 禁止対象を正社員(従業員)だけに限定せず、外部の専門家であるコンサルタントや、相手方が苦労して開拓した大切な「顧客(クライアント)」まで網羅することで、企業のビジネス基盤そのものを包括的に守る役割を果たしています。
  • to terminate their relationship(関係を解消するよう): 相手方から人材を奪って自社で雇う行為だけでなく、「相手方の元を離れるように仕向ける」という、相手方の事業に損害を与える嫌がらせや妨害行為そのものを根底から差し止める表現です。