訳:
現状有姿のままの状態で、現状有姿の引渡し条件で
意味合い:
ON AN AS IS, WHERE IS BASIS(現状有姿のままの状態で、現状有姿の引渡し条件で)は:
目的物の「品質や性能の状態(as is)」だけでなく、その目的物が「現在置かれている物理的な場所・保管場所(where is)」をも含めて、そのままの条件で引き渡すことを表します。M&Aにおける資産譲渡や中古設備・不動産の売買において、売主の責任を最大限に排除する際に用いられる極めて厳格な取引条件です。
法的解釈:
ON AN AS IS, WHERE IS BASIS(現状有姿のままの状態で、現状有姿の引渡し条件で)は:
売主に対して品質に関する保証免責(as is)を課すだけでなく、目的物の搬出、輸送、移転登記、あるいはそれに伴う法的な許認可の手続きや費用、さらにはその場所に存在するリスク(環境汚染など)の一切を、買主がその所在地のまま引き受けるという包括的な法的リスク移転を意味します。
実務のヒント:
ON AN AS IS, WHERE IS BASIS(現状有姿のままの状態で、現状有姿の引渡し条件で)は:
本文中の例文がすべて大文字(CAPITAL LETTERS)で表記されるのには、実務上および法律上の重要な理由があります。米国統一商事法典(UCC)などの法域において、商品性や適合性の黙示保証を有効に排除するためには、免責条項が契約書の中で「目立つ(conspicuous)」形で記載されていなければならないと法律で定められています。そのため、実務では他の条項と明確に区別して裁判所に免責の有効性を認めさせるために、このように条項全体を太字の大文字で記述することがポイントです。
類似・関連する用語との違い:
- on an AS IS basis との違い:
on an AS IS basis は、目的物の「品質・性能」の不備について売主が免責されることに主眼があります。これに対して ON AN AS IS, WHERE IS BASIS は、品質に加えて「置かれている場所・現況」が追加されるため、引き渡し場所からの撤去費用や輸送リスク、設置場所の物理的・法的な障害リスクまですべてを買主が負うという点で、免責の範囲がより広くなります。 - free on board(FOB)との違い:
free on board(本船渡し条件)は、売主が指定の船舶や輸送機関に目的物を積み込むまでの費用とリスクを負担する貿易条件です。これに対して ON AN AS IS, WHERE IS BASIS は、売主が積み込みの手配すら行わず、目的物が現在あるその場所でそのままの状態で引き渡す(買主が自ら引き取りに来る)条件であるため、売主の負担が最も軽くなります。 - with all faults, hidden or apparent との違い:
with all faults, hidden or apparent は、「隠れた瑕疵または明白な瑕疵のすべてを含めて」という意味であり、品質面での瑕疵の存在を徹底的に強調する文言です。ON AN AS IS, WHERE IS BASIS もこれらの瑕疵をすべて内包しますが、品質の瑕疵だけでなく、所在場所から動かす際のリスクまでを総合的にカバーする点で取引条件としての性格が強くなります。
用法:
ON AN AS IS, WHERE IS BASIS(現状有姿のままの状態で、現状有姿の引渡し条件で)は:
主にWarranty Disclaimer(保証の免責条項)で使用されます。
- (文脈):M&Aなどにおける資産譲渡において、買主が目的資産を事前に検査したことを確認した上で、売主による表明保証を一切伴わずに、現状の場所および状態のままで譲渡を受けるという文脈で使用されています。
- (例文での役割):譲渡対象となる資産に将来どのような不具合や移転上の問題が生じても、売主が遡及して一切の責任や費用負担を負わないことを法的に確定させる役割を果たしています。
例文 ON AN AS IS, WHERE IS BASIS(現状有姿のままの状態で、現状有姿の引渡し条件で):
【Warranty Disclaimer(保証の免責条項)より】
THE BUYER ACKNOWLEDGES AND AGREES THAT IT HAS INSPECTED THE PURCHASED ASSETS AND ACCEPTS THE TRANSFER OF SUCH ASSETS STRICTLY ON AN AS IS, WHERE IS BASIS WITH ALL FAULTS, WITHOUT ANY REPRESENTATION OR WARRANTY OF ANY KIND FROM THE SELLER REGARDING THEIR OPERATIONAL CONDITION, MERCHANTABILITY OR FITNESS FOR ANY PARTICULAR PURPOSE.
(日本語訳)
買主は、購入資産を検査したこと、および当該資産の稼働状況、商品性、または特定の目的への適合性に関し、売主によるいかなる表明または保証も伴うことなく、当該資産を、厳格に現状有姿のままの状態で、かつ瑕疵を含めた状態で譲り受けることを認め、これに同意する。
例文の注記:
- ACKNOWLEDGES AND AGREES(認め、これに同意する): 買主が条件を十分に認識し、自発的に納得してリスクを引き受けたことを法的に確定させる文言です。
- PURCHASED ASSETS(購入資産): 契約に基づいて売買や譲渡の対象となる具体的な動産、不動産、または事業資産一式を指します。
- WITH ALL FAULTS(瑕疵を含めた状態で): 目的物に存在するあらゆる欠陥、不具合、破損について、現状のまま買い取ることを明示する強い免責句です。
- REPRESENTATION OR WARRANTY(表明または保証): 事実の表明(現状の正確性の保証)および法的な保証のことであり、これが「WITHOUT ANY(いかなる〜も伴うことなく)」とされることで売主の責任が全否定されます。