訳:
~までに(当日を含む)
意味合い:
on or before(~までに(当日を含む))は:
特定の行為(金銭の支払い、通知の発送、成果物の納品など)を完了しなければならない最終的な期限(デッドライン)を指定する表現です。英文契約書においては極めて頻出する基本用語であり、指定された基準日「当日」およびそれよりも「前」の期間をすべて含んで行為を有効に履行できる期間の枠組みを定義します。
法的解釈:
on or before(~までに(当日を含む))は:
期間の計算において、指定された期日当日を確実に履行期間の「内側(含む)」として算入します。例えば「9月30日までに(on or before September 30)」とあれば、9月30日の取引時間終了時(またはその日の23時59分)までに義務を果たせば、法的な履行遅滞(default)や契約違反(breach)は発生しないと解釈されます。期限の終着点を曖昧さなく確定させる法的効果を持ちます。
実務のヒント:
on or before(~までに(当日を含む))は:
単に before 〇〇 や by 〇〇 と記述した場合に生じる「その基準日当日が含まれるのかどうか」という解釈の曖昧さ(ambiguity)を完全に排除するために使用されます。実務上、債務の履行期日や解除通知の最終受付日などを設定する際には、1日のズレが重大な違約金や権利消滅に直結するため、必ずこの表現を用いて確定させることが鉄則です。また、相手方が期限内に義務を履行しなかった場合の遅延損害金(interest)の発生起点とも深く連動します。
類似・関連する用語との違い:
- on or after((日付が)~以後)との違い:
on or after は、指定された基準日当日を含め、それよりも後ろの将来に向かって続く期間の「スタート地点」を指定する表現です。これに対して on or before は、過去からその基準日に至るまでの期間の「ゴール(締め切り)」を指定するため、期間の方向性が真逆になります。 - by(~までに)との違い:
by も日常のビジネスシーンで「〜までに」という意味で広く使われますが、契約実務においては、基準日当日がその期間に含まれるのかどうかが各法域の解釈原則によって揺れることがあります。on or before は「on(その日に)」と「before(それ以前に)」を明記することで、その揺れや曖昧さを100%排除する機能を持っています。 - within(~以内に)との違い:
within は、特定のイベントや基準日(例:通知の受領日、契約締結日など)を起点として、「その日から〇日以内」という相対的な期間の幅を指定する際に使われます。これに対して on or before は、「2026年9月30日」のように、カレンダー上の具体的な特定の日付をピンポイントで最終期限として指定する点で異なります。
用法:
on or before(~までに(当日を含む))は:
主にPayment(支払条項)で使用されます。
- (文脈):買主が購入した製品の代金全額を、指定された特定の支払期日までに、売主が指定する銀行口座へ電信送金によって支払うという義務履行の期限を定める文脈で使用されています。
- (例文での役割):支払いのデッドラインとなる日付を当日含めて明確に画定し、これを超えた場合に支払遅滞の責任が発生する基準を設けるとともに、その前提条件(成果物の適正な受領)との先後関係を法的に紐付ける役割を果たしています。
例文 on or before(~までに(当日を含む)):
【Payment(支払条項)より】
The Buyer shall pay the full purchase price for the Products to the Seller on or before September 30, 2026, by wire transfer to the bank account designated by the Seller in writing, provided that all relevant deliverables have been duly accepted by the Buyer prior to such payment date.
(日本語訳)
買主は、すべての関連する成果物が当該支払期日より前に買主によって適正に受領されていることを条件として、売主に対し、2026年9月30日までに、書面により売主が指定した銀行口座への電信送金により、本製品の購入代金の全額を支払うものとする。
例文の注記:
- full purchase price(購入代金の全額): 分割払いや一部相殺などを認めず、代金の全額を一括して支払うべき対象であることを明示しています。
- wire transfer(電信送金): 銀行振込による支払方法を具体的に指定し、小切手や現金など他の手段による履行を制限する記述です。
- designated by the Seller in writing(書面により売主が指定した): 口頭での指定による誤解やトラブルを防ぐため、振込先口座の通知方法を書面に限定する安全弁としての文言です。
- provided that(~を条件として): 後続の節が、主節の義務(支払い)を発生させるための不可欠な「停止条件(condition precedent)」であることを示す強い接続表現です。