訳:
~の満足のいく条件で
意味合い:
on terms satisfactory to(~の満足のいく条件で)は:
契約内容の変更、追加の合意、あるいは代替品の提供などを行う際に、その具体的な条件が、指定された当事者にとって「主観的かつ十分に納得・満足できるものであること」を要求する表現です。当事者の同意なしに一方的な条件変更が押し付けられることを防ぐための強力な防御的文言です。
法的解釈:
on terms satisfactory to(~の満足のいく条件で)は:
法的な合意の成立要件として、各当事者に一種の「拒否権(veto)」を付与する効果を持ちます。仮に新しい条件の提示があったとしても、当事者が「この条件では満足できない(not satisfactory)」と判断すれば、法的にその変更を受け入れる義務は一切発生せず、従前の契約関係が維持、または変更が無効であると解釈されます。
実務のヒント:
on terms satisfactory to(~の満足のいく条件で)は:
将来の予測できない事情変更によって契約改定を余儀なくされた際、自社のビジネスモデルや利益率を損なうような「不利な妥協案」を強要されるリスクを排除する絶対的な砦となります。口頭での安易な合意(エストッペルなど)を防止するためにも、満足のいく条件を「権限ある代表者が書面で適式に締結(duly executed in writing)」するまでは一切拘束されないという二重の防御線を張っておくことがポイントです。
類似・関連する用語との違い:
- subject to mutual agreement(相互の合意を条件として)との違い: subject to mutual agreement は、単に「双方で話し合って合意に達すること」という客観的な合意形成のプロセスに重きを置きます。これに対して on terms satisfactory to は、合意の結果としての条件そのものが「当事者それぞれを満足させるクオリティであること」という主観的な納得度を直接的に要求する点で、より踏み込んだ表現です。
- on commercially reasonable terms(商業的に合理的な条件で)との違い: on commercially reasonable terms は、市場価格や業界の一般的な取引慣行から見て「客観的に妥当な条件」であることを求めます。これに対して on terms satisfactory to は、客観的な妥当性にかかわらず、その当事者自身が「満足するかどうか」という主観的基準が優先されるため、より強い裁量(拒絶権)が残ります。
- in accordance with the terms of(~の条件に従って)との違い: in accordance with the terms of は、すでに契約書内に確定して存在する特定の「既存の条項や条件」に忠実に従うことを義務づける表現です。on terms satisfactory to は、これから新しく決める、または変更する条件の「受け入れ基準」を指すため、適用される場面が異なります。
用法:
on terms satisfactory to(~の満足のいく条件で)は:
主にAmendment(変更条項)で使用されます。
- (文脈):本契約の内容を追加、修正、変更するにあたり、その変更内容が双方の当事者にとってそれぞれ十分に満足のいく条件であり、かつ権限ある代表者が書面で適式に署名・締結しない限り、法的な拘束力を生じないという文脈で使用されています。
- (例文での役割):一方の当事者が力関係などを背景に勝手な契約変更を強要してくるリスクを排除し、新しい合意形成には双方が対等かつ主体的に納得している必要があるという厳格な手続的枠組み(安全弁)を構築する役割を果たしています。
例文 on terms satisfactory to(~の満足のいく条件で):
【Amendment(変更条項)より】 No supplement, modification, or amendment of this Agreement shall be legally binding upon the Parties unless such alteration is duly executed in writing by authorized representatives of both Parties on terms satisfactory to each Party, provided that any such amendment shall not affect any rights or obligations accrued prior to the effective date thereof.
(日本語訳)
本契約のいかなる追加、変更、または修正も、各当事者の満足のいく条件で、各当事者の権限ある代表者が書面により適式に締結しない限り、両当事者を法的に拘束するものではない。ただし、当該変更は、その発効日前に生じた権利または義務には影響を及ぼさないものとする。
例文の注記:
- supplement, modification, or amendment(追加、変更、または修正): 既存の契約内容に手を加えるあらゆる行為(付け足し、一部変更、全面的な改定)を漏れなく包括する表現です。
- legally binding upon(~を法的に拘束する): その合意内容が法律上の義務として当事者を縛り、裁判所などを通じて不履行に対して強制執行などが可能になる強さを持つことを意味します。
- duly executed in writing(書面により適式に締結される): 単なる口頭の約束ではなく、社内規定に基づく正しい署名手続きを施した書面の形を整えることを要求する決まり文句です。
- rights or obligations accrued(生じた権利または義務): 契約が変更される「前」の段階ですでに発生・確定していた、あるいは既得権となっている当事者の利害関係を指します。